序章
千葉県某所。
「……お、おい。なぜおまえがここにいる。どうやって僕の部屋に入ってきた?だいたいおまえは異世界に行ったのではなかったのか?」
「そうです。ただ、私はあちらとこちらを行き来できる高位な魔法を取得しているので、こうしてここにいるわけです」
「な、なるほど。それはすごいな。それで、僕に何の用だ」
「それはもちろん恭君をあちらの世界にお連れするためです」
「あちら?あちらというのは?」
「もちろんまりんさんがいる世界です。まみたんもいますよ」
「まりん?誰だ、そいつは?」
「すいません。そういえば、こちらから向こうに飛ばされた人の記憶はなくなるのでしたね」
「そんなことはどうでもいい。問題はなぜそんなところに僕が行かなければならないということだ?僕は行きたくないぞ」
「それは随分わがままで無責任な話ですね」
「どういうことだ?」
「恭君は、まりんさんたちをやっと覚えた魔法で異世界に放り出しておきながら、自分が同じことをされるのは拒否することをわがままと言わずに何というのですか?それに私たちを異世界に送り込んだ者として、現在どうなっているか確認する責任があります」
「……許してくれ」
「はい?」
「だから、許してくれと」
「そうはいきません。それに、結構楽しいところですよ。異世界は」
「でも僕は嫌だ。行きたくない。許してくれ。お願いだ」
「残念。それは無理です。それにむこうの世界で恭君が演じる役も決まっていますし」
「やめろ~」