愛していると言われたい4
チャラ男と意地悪侍女の話。
幸せは自分で掴みとるもの!
どんな手段をつかっても、最後に幸せになるのは私だと信じている。
あの日は私の番だった。
噂には聞いていた。
彼にとっては、ただのゲームなんだって。
でもそれでもきっと大丈夫、私はまだ諦めない。
サラサラの金髪で甘いマスクの王子様の様な人。
にっこりと笑う。うわべだけの仮面のような笑顔で。
家柄は侯爵家の三男坊。
そして町を中心に守る実力主義の五番隊の副隊長。
町中の独身女が彼を狙っている。
遠いようで近い存在の彼を。
私が捨てられたという話はあっという間に広まって、
意地悪な私は嘲笑われていた。
まだ勝負は終わってないわ!
そう思っても彼に近づけるチャンスはなかなかない。
そんなある日、偶然チャンスはやってきた。
「ジーニアス様!」
そう呼び掛ければ、彼は驚いた後、こちらに来てくれた。
「君、わかってなかったの?」
呆れたように問いかけられた。
「いいえ、わかっておりますわ。でも私、諦めが悪いんです。
覚悟なさってくださいね。」
そうビシッと宣戦布告すると、彼は見たことのない悪い笑顔で笑ってくれた。
きっとこれが彼の本当の姿かもしれない。
そう思うと、押さえきれない笑顔が溢れる。
彼女の笑顔、なかなか好きかも。
どこまで頑張るか、いい暇潰しになる。
「マリアちゃん。」
そう呼び掛けると、彼女は驚き泣き出した。
「知っていらしたんですね。」
俺が名前を呼んでいない事にちゃんと気づいていたんだな。
なかなか侮れない彼女とのゲームをもう少し続けてもいい。
「次のデートの約束、する?」
そう聞くと彼女は俺が気に入っている笑顔で、
「はい!もちろん!!」
と答えてくれた。
ばかだな‥そう思いながらも、次の約束を楽しみに思う自分に少しだけ驚いた。
積極的な女なんて、歓迎されないかもしれない。
でもいいの。
私は私。
彼にいつか言わせるわ!愛している。と