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我が彷徨のジオフィス  作者: 六車灯無鬼
1/1

〜一人の探偵と一人の用心棒〜

これは...しがない探偵と、それを支える色々な人たちを取り巻く物語なのである。

「私の名前は丹生隼人、横浜の大学に通っている普通?の大学生です。いろいろなことがあって探偵をしているものです。さて、これから始まりますのは、ある女子大生とそれにまつわるお話...少しだけのぞいてみてはいかがでしょうか?」

〜第1章〜

〜横浜某事務所〜

私は今、テレビをつけながら紅茶をすすりパソコンと向き合いながらスマートフォンでゲームをしていると言ったハイパー忙しい状況の中学校の課題に追われているのだ。今回の課題は集団行動における個人の責任感の低下についての課題だ。赤信号、みんなで渡れば、怖くないといった集団での行動の中では一人一人の責任感は著しく低下していてまとまればまとまるほど判断を誤ることが多いのだ。そういうことをまとめて3日後提出しなくてはならないでも録画を見なくてはならないしソシャゲを進めないとイベントが終わってしまう。そういった状況が今なのだ。なかなか現実は厳しい。と思い10時30分を回りそろそろ下でご飯を食べようと思い行動を起こそうとすると

(ガタンゴトン、バタバタバタバタ)

とだれかが上ってくる・・・と思い少し片付けようとしてあたふたしていたら(ガチャ)そろーりドアが開く。

「隼人、何をやっている!?昨日も競馬で負けたそうだな?飛鳥さんから聞いたぞ。明日からどうするんだ!・・・」とガミガミズカズカ入ってくるのは私の相棒の大窪時雨だ。性格は見ての通りクソ真面目できっちりかっちり人間でありあまり融通がきかない部分があるが能力が高かったため勧誘したら入社してきたのだ。

「第一お前は何でそうやって計画性がないんだ。」このままでは永遠説教くらうと思い私は半分聞き流しながらレポートを書く、そうして時が経ち(ガタンゴトン、バタバタバタバタ)また誰かが上ってくる、私は忙しいので大窪に任せようとアイコンタクトで任せることにした。そしてドアが開くそこに立っていたのは女性少し派手目な人だった。身長は165㎝とスタイル抜群の女性が立っていた

「失礼します。」と入ってきた。

「はじめまして。菅原明里と申します。お願いというか依頼があってきました。」

「どうも、大窪時雨と申します。とりあえずお話は聞くのでこちらにおかけください」と小汚い椅子へ誘導する

「ありがとうございます。」と小汚い椅子へ腰掛ける。

「でさっそく要件なのですが一体なんですか?」と単刀直入に聞いてみる。

「は、はい!実はですね」とゴソゴソカバンの中から書類を出す。

「実は父を探して欲しいんです。」

「ほうほう、そうですか・・・」

「具体的な詳細はそこに書いてあるので分からないことがあればその書類を見てください」

「で?私は君のお父様を探せばいいのかい?それだけなのかい?」と大窪の顔が一気に強張る

「はい、ただどこにいるか私は知りたいだけなのでそこまで会いたいというわけではなくて生きてることさえわかればそれでいいんです。」と涙目で私に訴えかけてくる。

「いったいいつから失踪してしまっているんだい?」

「いや、失踪とかではなくて、ただどこにいるかだけ調べてほしいんです」

「と言いますと?」

「書類に全て書いてあるのですが説明いたしますと10年前ぐらいに書き置きだけ残して家を出てしまったんですよ。でも毎月必ず仕送りがあり母と私は不自由なく生きてこれましたが最近仕送りが来なくなってしまい安否不明なので調べてほしいのです。」

「今の話を聞く限りだと仕送りしてる本人が本当に菅原さんのお父様だという確証はあるのですか?赤の他人、もしくはお父様にお世話になった人の仕送りかもしれないのに?」

「それは絶対にありません。仕送りの中に必ず手紙が入っていまして筆跡は全部父のものでした。その手紙だけが父の安否確認のとれるものでした。それがこなくなったということは父はもう・・・」

「わかりました。調べるだけ調べましょう。お代は解決後に請求させてもらいます。およそ◯◯◯万円ぐらいですかね?」と少しシリアスな声色で話す

「わかりました。父の安否確認が取れれば一生かけてお支払いいたします。よろしくお願いします。」とすぐさま立ち上がり部屋を出ようとすると

「まだあなたの仕事を完全に引き受けたわけではありません。この件は私が調べて理解できなかったら引き受けません。それまでの情報は全てお渡ししますがそれ以降何も関わらないと先に言っておきます。」

「わかりました。よろしくお願いします。」とドアを閉め去っていく。

「どう思う?隼人?」

「どうもこうもないよ。依頼なのだから調べるけどやばそうなら辞めておく」

「だよな、とりあえず書類に目を通してみよう。」

だいぶ冷めてしまった紅茶を一気に飲み干し、書類をひととおり目を通す。

菅原十蔵 身長167㎝、東京防衛研究室技術開発部所属、写真を見る限り少し無精髭が生えており見栄えもよろしくない人なのだけど実績がある人間だ。研究内容は防衛技術開発全般らしい、大学時代シールドスキルの重要性の論文を書いている。結構能力のある人間なのだがなぜ失踪してしまったのだろう?と考え込むうちに夕暮れになってしまいそろそろ活動し始めようと出かけの準備を整える。

昼は暖かいのだが夜は少しひんやりとしている今この頃、私は少し厚着をして部屋を出て階段を降りると、1階は喫茶店とBARになっている。名前はアルカディア。どこにでもありそうな喫茶店のふりをして実はお酒がメインの喫茶店っていうとあまりイメージがわかないのだが昼は喫茶店夜はBARというとしっかりくるであろう。昼間は学生やOLと言ったブランチ感覚で入ってくる人が多いのだから夜になると仕事帰りや2件目と言った社会人が多くなる。そう言った店なのである。

「あら、隼人くん、時雨くんもう19時ですよ?どこかへお出かけですか?」と弱々しい声で話しかけてくるのはこの店のマスターの飛鳥透さん。この人とは昔一悶着あって今の関係になっている。元政府関係の人で関係者といっても協力者という立場で働いていたわけであってそこまで官僚よりではないここぞという時には頼れる兄貴って感じだ。

「さっき入ってきた女性の依頼を調べに行ってくる」

「そうですか?こちらも情報を集められるだけ集めておきます。何卒お気をつけてください。」

「23時ぐらいには戻る予定だからその時間ぐらいに軽いご飯でも作っておいて」と隼人が言う

「かしこまりました。今日の余り物になりますが軽く作っておきます。時雨くんはいかがしますか?」

「俺の分もお願いしてもらっていいですか?」と申し訳なさそうに言う。

「かしこまりました。」

「よろしく、じゃあまたね」と二人は店を立ち去る。駐車場に置いてある車に乗り少し東京の方までひとっ走り国道を通っていけば1時間もかからないのが横浜のいいところだろう。

(とりあえず研究所に向かって話を聞きに行こう)と思いながらアクセルを踏み込む

〜東京防衛研究所〜

ここ東京防衛研究所は戦後、日本が戦争放棄したが海外からの侵略、攻撃の恐れがあるため防衛という名武器開発の研究が進められている。アメリカの保護を受けながら自分たちでも武器を作り戦いに備えている。戦争放棄というのは嘘だったのかだと思うほどに研究は進んでいる。そういった研究所なのだ。防衛省の管理下のもと色々な技術を持っている。例えそれがどんなことに使われようとも・・・

「ここがあの防衛研究所かー」っと近くに車を停めて周りをウロチョロしてみる。隼人は車で待機と周りの調査、そこから敷地調査建物調査、そして所属している人間がどんな人かをネットで色々と調べてみる。防衛研究所は防衛省直属の研究機関なので所長と幹部の名前はホームページにでも載っているのだ。そこから色々とハッキングしてから相関図を調べる。そこまではさっきまでやってくれていたのだがやはり人の心は未知の部分が多く、話を聞かなければならないのであって私達はここにきたのである。二人で張り込んでいると男三人組が歩いてくるではないか。さっそく話を聞いてみようかなーと時雨だけ変装して近寄ってみた。隼人は車の中で相手3人組の素性を調べ始める。

「初めましてー私、週刊ウィークリーの渡辺と申します。」と名刺を出しながら近寄る

「菅原十蔵さんについて調べておりましてここに勤務していると聞いて尋ねてきたのですが今、どちらにいますかご存知ですか?」

「??? うーん、あぁー菅原さんなるほどなるほどブツブツ...」と理系あるあるの根暗な対応、まぁ仕方ないなぜなら数学と科学ばっかりやっていて対人コミュニケーション能力が著しいと心理学的にも証明されている。ただ例外も多いのが理系なのだが研究職はやっぱりコミュニーケーションを取るのが苦手なようだ

「菅原さんなら最近見ないなー」と3人のうちの一人一番若そうな研究者が答えてくれた。

「と言いますと?」と私は話を途切れさせないように軽快に話してみる。

「僕は5年前からこの研究所に勤めているのだけどここ最近は見ないしやめたっていう噂もあるし上層部に呼ばれて違う研究所にいるっていう噂もあるね」と好青年な研究者も気さくに話してくれる。

「やっぱりそうですか、、、菅原さんってどういう人でした?」と何か知っているように話してみると

「優しい人でしたよ!いつも何かの研究に没頭していて若い子の研究にも手を貸してくれたり僕ら仮眠室っていうのがあるんですけどいつもそこで寝泊まりして帰らないで研究している人ですかね?」

「なるほどなるほど」と相づちを打って話をさせるすると

「ジャーナリストさんなんでしょ?なんで菅原さんを追っているの?じゃああの噂聞いたことあるの?というかその情報集めているんじゃないの?」と最後の一番年老いた爺さんが話してくるこういうタイプは噂話大好きな下世話な人なので人に信用してもらえなくなるのだ。

「いやーそこまではーその情報を集めているんですけど何か知っていますか?」と少しどころかだいぶ知ったかぶりをしてみると

「僕と彼は同じ時期にこの研究所に来たんだよ。もう20年くらい前の話かな?彼は色々と抱えていたからね常に時間がないと言っていたよ」

「色々と言いますと?」

「菅原くんは特に優秀だったから政府の人も特に目をつけててね、彼自身もまんざらではなかったのだけどね、そしたらある日防衛省大臣が直接菅原くんに会いにきたんだよ。そこから彼は少しずつこの研究所から見なくなったのだよ」

「なるほど、それは新情報ですね。他にはなんかありませんか?」とグイグイ話を切り進める

「そんなに彼のことが知りたいのなら山口くんに聞いた方がいいかもしれないね」

「誰ですか?その山口さんというのは?」

「菅原くんと一番仲の良かった人だよ。いつも二人で話し込んでいてね」

「その山口さんは今、いますか?」

「いましたよ。さっき僕が先輩呼びに行く時すれ違いました。」と一番若い好青年が話してくれた。

「会うことってできますかね?」ととても失礼な話だが取り合ってもらおうとする

「いやー、彼ねー、ちょっととっつきにくいというか絡みづらいというか」

「と言いますと?」

「対人コミュニケーションがちょっと取れないんですよねーだから優秀な菅原くんとしか話さなかったのもあると思うけど」

「わかりました。写真などあれば見せていただけると助かるのですが」

「ちょっと待ってください。集合写真を撮った時写っているの写真があります。・・・これです。その無愛想な人です。」

「ありがとうございました。だいぶ情報もらいましたので助かります。雑誌に載る際情報提供者として名前をイニシャルで表示することがあるので伺ってもよろしいですか?」と尋ねてみる

「私が佐久間博道だ」と一番歳を重ねている人が答えた。次々に名前を言ってもらい最後にもう一度挨拶をしてその場から少し離れる。そして3時間くらい見張り。夜の22時30分を回る頃に目的の人が現れたのだ。

(あいつが山口だな、たしかに無愛想だな)

とりあえず様子を見て尾行し始める。服装から察するに近くのコンビニに入って夜食というところだろう、帰りに少し話を聞いて今日は帰ろうと思う。それまで相手の特徴。クセ、行動を全て見ておく、みんなにも覚えがあるだろう友人の歩き方がおかしいから顔がわからなくても歩き方でその人だとわかる特徴が、それを確認しておくことも大事なのだ。

山口がコンビニから出ようとするところを

「はじめまして、週間ウィークリーの渡辺と申します。菅原さんについて色々と質問があるのですがよろしいですか?」と聞いてみると

「彼について話すことは何もない」と振り切られてしまう。しかし話を聞かないと何もできないのでついていきながら話す。

「山口さんは菅原さんと仲が良かったと聞きました。菅原さんの真相を知りたくて私はここに来たんです話してくれるまで私はついていきます。」とグイグイ攻めに行く

「しつこいなー帰ってくれ」と少し怒り気味で返してくる

「菅原さんの娘さんからのタレ込みなんですよね。この情報」と聞くと

「明里さんかい?」と立ち止まって聞いてくる

「はい。彼女から真相を書きたいと私にタレ込んできまして。些細なことでも構いませんので情報を持っていればお話いただければ良いのですが、、、」と話すと

「私の娘を助けてくれないか?」と涙を流しながら話してきた。

「???」と私は驚く

「どう言うことですか?詳しく教えてくれませんか?」と驚きながらも話を聞こうとする

「時間がない。明日までにまとめておくから明日取りに来て欲しい」と小声で話してきた。

私は頷くだけにしてその場を立ち去ろうとしたが

「ちょっと待ってくれ、握手してくれないか?」と突然言ってきた。私は依頼と承諾の意味で握手なのかと思い、しっかりと握手した。しかし握手といっても普通はすぐに終わるものだがものすごく長かった。上下に何回も振ってくるしたまに力が入って少し痛い、ながーい間握手をしたあと、我々は、その場を後にした。

時雨はそのまま車に戻り、一通りの内容を隼人に伝えたところ

「私から見ても特に変なところはなかった。最初の三人組は開発チームの中でもとくに何もないそうだし、最後の山口哲也は菅原さんの友人だね。何を話していたんだい?」

「多分菅原さんは色々と知っている、娘が人質になっているらしい、詳しいことは明日、書類を取りに来いって言われたから明日行こう。」と話してくる。

「ちなみに最後の握手の意味はわかったかい?」

「やっぱり最後の握手には意味があるのか?」

「君ぐらいの人間なら理解できたのだと思ったけど、やっぱりまだまだだね君も」

「じゃあお前にはわかったのか?」

「もちろんだよ、何のために僕は車で待機していたと思っているんだ?」

「学生ってことを理由にレポートが終わらないから車の中でレポートをやりつつ身辺調査と言いながらハッキングして情報を手に入れるためだろ?」

「僕のスキルを考えてくれればわかるだろう?」と苦笑いで答える。

「あぁ、ちょっと冗談混じりに話してみただけだ。ところであれは何だったのだ?」

「まぁその話は帰りながらでも話そうか。早く車を出してくれ。食事に間に合わなくなる」

「はいはい」と少しキレ気味に返事する。

〜多摩川付近〜

東京タワーを過ぎて馬込を超えた付近で川崎に入る大橋がある。夜景がとても綺麗で女の子とドライブするにはもってこいかもしれない、私達はこのまま横浜まで帰るがその先のみなとみらいもなかなか景色がいいそんな中、車を走らせて帰る男が二人・・・

「状況の整理から始めようか、依頼主は菅原明里、父親を探している。父親を辿るに当たって一番大事な人物、山口哲也。彼は菅原十蔵の同僚であり仲が良かった。しかし突如菅原さんは消えた。そして山口さんの娘も人質にとられている。俺が考えるにこの事件は密接につながっている気がするんだがどう思う?隼人?」

「結論を出すのはまだ早い、たまたま繋がっただけで答えを出すには時期尚早だと思うよ。」

「それはそうだけど仮説でもいいから君の推理を聞かせてもらいたい」

「明日の情報をもとに仮説は立てるとしよう、そんなことよりさっきの握手は解けたのかい?」

「さっぱりだ。長い握手に意味なんてあるのか?向こうが俺に感謝して長くしてしまっただけなのでは?」

「振った回数と指の動きをよく見れば簡単なことだよ、時雨くん、君の専門分野とはかけ離れているけど私の中では君は勘が良いほうだと思っていたけど実は違っていたのかもしれないな。君の評価をもっと考えなくてはならないな」

「いちいち嫌味な言い方だな、教えてくれ!答えは一体なんなのだ?」ちょっと怒り気味に聞いてくる。

「次の信号か信号がないのであれば近くのコンビニに止まってくれないか?そこで答え合わせといきましょう」とそろそろ向こうが怒り始めてきたので答えを教えることにする。

私たちは近くのコンビニエンスストアに入り私は紅茶、時雨はトイレに向かう、二人とも用事をすませて車に乗り込む。

「さぁ、教えてくれ!あの握手はなんだったのだ?」

少し怒り気味に聞いてくる。

「時雨くんは、セリ市に行ったことはあるかい?」

「はぁ?!」

「いいから、いいから」と少しなだめながら話してみる

「行ったことあるほうが珍しいと思うが?」

「確かに、セリには独特の数え方がありそれを使ってセリをする。まぁオークションをやる感じだよ。その独特の数え方というのが指を使った方法だ。ほら手を出して。」と言いながら握手する。そうすると時雨は鳩がスタンガン食らったような表情になる。

「どうだい?さっきの握手と全部同じだろう」

「あぁ、でもどうしてだい?暗いところで遠くから見てもわかるものなのかい?」

「違うよ、僕はその握手の意味と謎を解いただけだよ。何、簡単なことさ!友よ。答えは2進数だよ。

親指から1・2・4・8・16と番号が決まってあって指を伸ばすか折るかによって数字がわかる仕組みだよ。

それをみていただけだよ。わかったかい?」といちいち嫌味な言い方をする。

「じゃあそれを使ったとしてそれで何がわかるんだ!」

「君の手を握った時は自然に腕を振っていたろ?それがヒントだよ!」

「いちいち勘に触るやつだな、いい加減にしろよ」ちょっと雰囲気が変わって車の中が緊張する。

「わかった、わかった。ごめんって答えは電話番号だよ。指の動きと腕の降った回数が携帯の電話番号にそっくりだった、むしろそれしかないと思った。」とばか少し和んでくる。

「なるほどな、その電話番号に後日かけろってことか」

「まぁ普通に考えればそうだろうな」

「話はそこからだな」っとそろそろ車を走らせる。

多摩川を越えて溝の口に入るそこからまっすぐ道路を走らせると鷺沼に入る。この時期は夜中に車でドライブは最適だろうと思う。夜風は気持ちいいし溝の口あたりから少しずつライトアップよくなって鷺沼に入ってから少しずつ静かになる。川崎というのはそういう町なのだ。いいたらこもあれば悪いところある。それがこの町のいいところだ。そんな中、川崎の多摩川抜ける前あたりから後ろからハイエースがついてきてる「これはあれですね。時雨くん。」

「あぁ完全につけられている。」

「事務所までには撒きたいな。頼めるかい?」

「ちょっと捕まってな!」といきなりアクセルを踏んこんだ。

「ちょっと荒いね。時雨くん。もう少し静かに運転してくれないかい?パソコンが壊れたら私のレポートが台無しになってしまう。」

「どっちなんだ!急ぐのか急がないのかはっきりしろぉ」

「いや急いでくれ、事務所の場所を知られるのが一番困る。」

「はいよ!ちょっと寄り道するけどいいよなぁ?」

「構わない、振り切ってくれ」と急ぎながらも大通りでカーチェイス。これはこれで楽しいもんだと思う。

(バンッバンッ!)銃声が聞こえてくる

「おい、まじか!」

「大通りで撃ってくるとは思ってなかった。向こうも必死だな」

「そんなこと言ってないで対応してくれ」

「銃はどこにあるんだい?いやいい見つけた。」とボックスの中にコンバットマグナムがはいっていた。

「M19なんて僕が撃てると思うかい?」

「やるしかないんだからやってくれ!」

「はいよ!」(バンッ!)当たったとは思わない。

「やっぱり無理がある。君が車で離してくれ」

「はいよぉ!」とアクセルをさらに踏む。

そうしているうちにも後ろから撃ってくるし、向こうもスピードを上げてくるし、正直詰んでる……さて、どうしたものだ。

「いっそ返り討ちにでもしますか?」

「それが手っ取り早いかもな、でどうする?」

「都筑中央公園に行こう。あそこは広いし待ち伏せするにはもってこいの場所だ。」

「オッケー。ソッコー向かう」

〜都筑中央公園〜

「よっしゃっ!やっとついたぞオイ。ここからどうするんだ?」

「とりあえず車から降りよう。車を囮にして背後から攻めに行こう」

「攻撃頻度と時間差とを考えると向こうは二人だ。」

「二人とも傭兵上がりだろう。気を引き締めていこう時雨くん」

「はいよ」………

〜数分後〜

一台の車が私たちの車の近くに停めてきた。確実に奴らだろう。車から降りてきて私たちの車を確認する。二人とも180センチ声の長身筋肉質、一人はニット帽被りもう一人は拳銃を持っている。

「あれはM1911だな。第二次世界大戦後にアメリカ軍で正式採用された自動拳銃だ」ひそひそ声で話してくる。

「あぁ、おおよその予想はしていたがまさかね……」

「そろそろとっちめに行っていいか?」

「いいよ、大体のことは理解した。これはもしかしてもしかしての事件かもしれない」

「その推理はあとで聞かせてもらおう、とりあえず行ってくる……」

「なるべく抑えてくれよ。聞きたいことが2つあるから」

「おけ」と言ったそばから(バキッ)(ドゴォ)「お前は、」(ボキッ!)「この野郎!」(ヒュッ!)「バタフライナイフとは古いな」(ガシッ!)「ホイッ」(ドサァ)

(片付いたかな)(スタスタ)

「終わったかい?」

「あぁ、相手にもならない」

「君が相手なら誰だってそうだ。とりあえずご苦労。さて、お次はこっちだ。」と苦しそうに倒れ込んでいる男性二人組に尋ねる。

「聞きたいことは二つだ、二つとも答えたら命だけは助けてやる。一つ目は誰に雇われたか?二つ目はなぜ我々を狙うのか?だ?3分やる答えろ。」

「ヒィィィィ、しっしらねーよ、俺たちはただ金やるからお前ら二人を殺せと言われただけだ。」

「雇われた相手はどんな人だったかはわかるだろう?」

「手紙で来たから顔なんて知らねーよ、金額が金額だったから俺らは引き受けただけだ」

「もらった金額はいくらだ?」

「お前らのうち片方なら1500万円二人合わせてなら4000万円前払い、振込で500万円残りはお前らを始末してからだって」

「それはいつ依頼が来た?」

「ついさっきだ、3時間前ぐらい」そう言われて時計をチラ見した。23時24分………

(ざっと20時ぐらいか)

「なんで引き受けた?金か?」

「相手に大久保時雨がいるって聞いたのと金が素晴らしいからだ」(バコッ!)

「おまえが取り乱すなんて珍しいな隼人」

「いや、この事件の背景が少し気に入らないだけだよそんなことより急いで戻ろう、お腹が空いてしまった。」

「この二人はどうする?」

「無力化して近くに縛っておいてくれ、僕は手紙をするよ」そうして時雨は二人を縛り上げて拳銃とナイフを取り上げた。私はある人物に手紙を書いて車に貼っておいた。そしてこの場を後にした。

〜横浜某事務所〜

ガラン

「お〜おかえりなさい隼人くん時雨くんそろそろ帰ってくるんじゃないかな〜って思っていましたよ。軽い夜食はもうすぐできるので少々お待ちを」

「ありがとう、飛鳥さん。キッチンを少し借りるよ。」

「紅茶ですか?隼人くんの作る紅茶はなぜあんなに美味しいのか今度教えて欲しいですね。」

「私の淹れる紅茶は手間暇をかけているからだよ、あとはこだわりの問題かな」

「俺のコーヒーも淹れてくれ、食べながら色々と聞かせてくれ」

「またややこしい事件になったのですか?」飛鳥さんが聞いてくる

「厄介どころではないよ。今年一番の事件説あるよ」

「そうなんですか〜私も力になれることがあればお手伝いさせてもらいますのでその時は声をかけてください」

「あぁ、そうするよ。でも今回の事件は飛鳥さんの出番はないよ、お留守番お願いするよ」

「はい、皆さんのために全力でサポートします。」

「ハーヤークーコーヒークーレー」時雨がだだこね始める

「はいはい。」

「夜食もできました〜」と食事が並ぶ。

「それでは頂きましょう。いただきます。」

「「いただきます。」」

「さぁ隼人事件の内容を話してくれ。」

「おっと、その話についてだがまだ結論に至ってない、結論が出ない話はしても無意味だからね」

「言うと思った。まぁいつものことだから聞かないでおくよ」

「いつもすまないね」

「明日からどうする隼人?とりあえず山口さんに電話か?」

「それもそうだが色々と話を聞かなくてはならない、

明日は休暇をとりたまえここからは私の仕事だ。」

「ありがたくもらっておくけどお前大学は大丈夫か?」

「明日は1限から3限までだから午後から活動はできる。」

「なら、夜から俺もここで待機しておこう。俺は特にやることはないからな」

「お食事は皆さん7時30分頃でいいですか?隼人くんはお弁当作りますか?」

「お願いしてもいいかな?飛鳥さんいつもごめんね」

「いえいえ、家と仕事を与えてもらってこんな贅沢なのにこちらこそ感謝しております。」

「気にしないでください。そんなことより明日もよろしくお願いします。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

「じゃあ今日はとりあえず解散って事でいいんだな?」

「うん、みんなご苦労!近いうちに連絡するよ」と言い時雨は自分の部屋に戻っていった。自分の部屋というというのがこのマンションの2階角部屋だ。そこにいつも戻っていく。このマンションは3階建てで1階は飲食店、2階からは小部屋になっている。飛鳥さんの部屋と私の事務所があるのは2階である。私の部屋は3階の角部屋になっている。ちなみに地下1階もあるがそこはまた今度って事で………

飛鳥さんはアルカディアを閉めてから私とともに部屋に戻った。私は部屋に戻ってから明日の準備をする。(明日は忙しくなるぞ)と思いながら色々な人に連絡を取り今日は考えるのをやめて寝るのであった。……

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