表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した  作者: りょう
新装版 第1章乙女だらけの戦国時代
96/143

第8陣魔法使い初陣

 敵との距離はかなりある


 普通ならば接近しないと倒せない


 だから相手も油断をしている


 しかし残念ながら風属性を太刀に付加させているので、太刀を一振りすればかまいたちとなってそれは敵兵に直撃し、山の木々ごと切り倒す。


「な、何だ。何か飛んできたぞ」


「何人かやられた! ヨシモト様に報告をしに……ぐぁあ!」


 敵が明らかな動揺と混乱を見せる。


(第一印象はこれで十分だな)


「逃がすわけないだろ」


 敵が逃げていく方面に火の玉を出して、倒れた木々を燃やす。自然破壊待った無しの攻撃だが、これも戦い。


(少しだけ心が痛むな……)


「まだまだこんなもんで終わらないからな!」


 次は炎で混乱する敵兵に接近をして、風魔法を乗せたままの太刀で斬りかかる。一振りするだけで風と共に敵を吹き飛ばし、遠くの敵は先ほどのかまいたちで攻撃したりするなど、色々すること三分、ざっと三十くらいいた敵兵はあっという間に全滅。


「ふぅ」


 燃えたところは一応水の魔法で消火をして、一息をつく。陽動の割にはやりすぎた気がするが、これで注意はこちらに引きつけられたはず。


(あとは頼んだぞヒデヨシ)


 ■□■□■□

 一方その頃、


(魔法ってすごいな。あんな事もできるんだ)


 ヒッシーとは別のルートで敵陣へと向かった私は、彼が色々と凄いことをしているのを遠くから感じていた。


(ああいうの憧れちゃうなぁ)


 最初に大きな魔法を使っていた彼の姿を見たとき、思わず格好いいと思ってしまった。だって手をちょっと出すだけで、火とか出せるなんて今まで考えたことなかった。


(私にもいつか教えてくれないかな)


「ヒデヨシ様、間もなく敵陣の中枢です」


 そんなくだらない事を考えていると、兵士の一人が間もなく敵将の所へ付くことを教えてくれた。


「よし、私も頑張ろう!」


 気合を一つ入れ、木の影から飛び出す。ヒッシーが敵を引き寄せてくれているから、一般兵はいないはずだ。あとは敵将の首を取るだけ……。


「あれ?」


 しかしその中枢と思われる場所には敵将はおらず、その場所は人がいた気配があるものの、問題の敵将がいる影がどこにもなかった。


(ま、まさかヒッシー、敵将まで引き寄せちゃった?)


 本陣に雷が落ちた跡がちらほら見えているあたり、彼の魔法は直撃していたらしい。


(まさか嫌な予感が当たるなんて……)


 ヒッシーが相手するのはあの癖が強いヨシモト。ヒッシーがいきなり相手して、勝てるのかどうか……。


(って、そんな事考えている場合じゃないや)


 私も急いでヒッシーの元に急がないと。


 ■□■□■□

 それから俺は、向かうところ敵なしと言わんばかりに、敵を倒していった。無双ゲームをやっているような感覚で倒れていく敵に、楽しさを感じてしまっていた。


(そういえばヒデヨシの方はうまくいっているかな?)


 あれからしばらく経つが、戦いが終わったような様子がない。むしろ俺の方に敵がどんどん増援しはじめている。


(まああれだけ高らかに宣言したらそうなるよな)


「まあまあ随分と暴れてくれましたね。これではせっかくの兵士達が勿体無いじゃないですか」


 その道中どこからか声が聞こえる。が、木々が邪魔でどこにいるのか姿が判明できない。


「上ですよ!」


「おっとっと」


 数秒後上から声がするなり、槍が頭上から降ってきたのを慌てて避ける。槍と共に降ってきたのは、赤髪の女性。


「あなたが織田の謎の新戦力ですか。どのようなものかと思いましたが、まさか男だなんて驚きですね」


 地面に刺さった槍をすぐに抜くと、再び構える謎の人物。槍の長さはざっと一メートル近くあるかなりのものだ。

 相手は遠くからの攻撃、俺は近接武器。どちらが有利かといえば、接近すれば俺が勝つが、槍術には色々なスタイルがあるはずだ。油断はできない。


「まさかもう有名になってるなんて、こっちとしては嬉しい限りだな。俺は桜木翡翠、あんたは?」


「私は今川義元。見ての通り槍術に長けている。新人のあなたに勝ち目は零といったところでしょ」


 今川義元と言ったら、今川軍の総大将。その身体からはノブナガさんに近いオーラを感じる。


(やっぱりこうなったか)


 けど名前よりももっと気になることがある。


「ところで随分と鎧がボロボロになっているが大丈夫か? 所々焦げてるし」


「誰のせいでこうなったと思っているんですか?! あの突然の雷のせいで、私の髪と鎧は焦げてしまったんですよ?!」


「あ、避けられなかったんだ」


 直撃までは狙ってなかったんだけどなぁ。


「やっぱり貴方の仕業だったんですね! よくも私の鎧と大事な髪を!」


「いや、悪かったって。陽動のつもりでやっただけで」


「言い訳無用! その首貰い受けさせてもらいます!」


 こうして半分自業自得の俺とヨシモトとの戦いが幕を開けた。


 ■□■□■□

 動き出したのはほぼ同時


 けど俺の方が若干動き出しが早かったのか、ヨシモトの懐へと潜り込むことに成功。そのまま太刀を引き抜いて一閃する。


「そんな分かりやすい攻撃じゃ、私を倒せませんよ」


 しかしそれを槍の腹で受け止めたヨシモトは俺を弾き飛ばして突きを入れてくる。


「それはどうかな」


 だが俺はその突きを華麗にかわすと、跳躍し上空からヨシモトを斬りつける。


「くっ」


 しかし流石は総大将。何とそれをギリギリのところで横に避けて躱してみせた。


「新入りにしてはやってくれますね」


「褒めてくれるのはありがたいけど、まだまだこれからだからな」


 目を閉じ、精神を集中させ刀に魔力を宿す。何度目かの付加魔法。


(付加魔法付加魔法言うのもあれだし、それぞれに名前でもつけようかな)


 俺が太刀に宿したのは火属性の魔法。


「敵を目の前にして目を閉じるとは。私も舐められたものですね。ではこちらも遠慮なく切らさせていただきます」


 相手が動き出したのを感じる。あの長さの槍だから攻撃はすぐに到達するだろ。チャンスは一瞬。


(今だ!)


 俺は足に力を入れていっきに飛び上がる。今度はさっきのようなただの跳躍じゃない。風の魔法を用いた跳躍。


「な、さっきよりも高く?! どうして」


「聞きたいか? それはな……」


 そして俺はその空中から、魔力を宿した太刀を十字に振り、斬撃に炎を纏わせヨシモトに向かって一直線に飛んでいく。さきほど使ったかまいたちを応用した技、


『焔・一の太刀』


「ひ、火? そんなどうして」


「それは俺が魔法使いだからだよ!」


 それはヨシモトに直撃し、そして彼女を燃やし尽くした。


「きゃぁぁ! 熱い、熱いぃ!」


「俺の勝ちだな、ヨシモト」


 ヨシモトをいきなり殺すつもりはなかった俺は、情けとして水の魔法で火を消してあげる。

 その場に残ったのは、さっきよりも黒焦げになってしまったヨシモトのみ。


「ま、参りました」


 戦意喪失したヨシモトがゲホゲホ言いながら、降伏の宣言をする。


「貴方の今の攻撃は何なんですか? まほうとか言っていましたけど」


「不思議な力みたいなもんだよ。俺はそれを使うことができる人間だ」


「不思議な力……覚えておきましょう」


 煤になった体を払いながらその場を立ち去るヨシモト。が、俺はその彼女を呼び止めた。


「あ、ちょっと待った」


「何ですか? 勝負はついたんですから、私は帰らさせて……」


「とりあえず服きろよ」


 今のヨシモトは鎧以外の部分が燃え尽きてしまった状態。いわゆる裸鎧に近い状態。際どいところは隠せているものの、色々なところが確実に見えていた。


「きゃぁぁ! 変態!」


 本日二度目の悲鳴。


 この後ヨシモトの兵が彼女を回収しに来るまで俺は面倒を見てやり、最後は何故か彼女を見送る形になってしまったのだった。


「お、覚えてなさい! 乙女の体を見た代償は大きいですからね!」


 こんな感じで俺の初陣は何とも言えない感じで幕を閉じたのだった。


「ヒッシー、何かしたの?」


「俺が何かしたって言うよりは、彼女が勝手に自滅したって感じだな」


「何それ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ