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第100陣今度は二人で

 昨夜俺を襲った激しい頭痛と目眩は、翌日になっても消えていなかった。やはりこれも師匠が言っていた寿命が迫っていること示しているのだろうか?


(もしかしてあの力を使っているってことも、意味があったりするのか?)


 ますます疑問が増えていく。あれから色々バタバタしていて深くは考えた事なかったけど、天力というのは一体なんなのだろうか? それにあの時聞いた声の主についても分からないことが多い。


「おーいヒッシー、聞いてる?」


 ボーッとしていると、いつからいたのかヒデヨシが俺を呼びかけていた。


「ん? あ、ああ。何か言ったか?」


「何か言ったかじゃないよ。忍びの里の方に動きがあったんだって」


「忍びの里で? 何かあったのか?」


「詳しくは分からないけど、すごい数を引き連れてどこかへ向かっていたみたいだけど、どこかに攻めこもうとしているのかな」


「それかもしくは、何か重大な人物を見つけて、それを捕らえに言ったか、だろうな」


「でも私が知る限りだと、そういうのってネネとかヒッシーとかじゃないのかな。屋敷を燃やしたというのもヒッシーだし」


「でもこっちに向かっている様子じゃないんだろ? だったら他に考えられるのって、他だと……」


 考えられる可能性はノブナガさんだけど、でもあの時ノブナガさんは……。


「とりあえず私達も向かってみるべきじゃないのかな。もしかしたらノブナガ様の手がかりも見つかるかもしれないし」


「そうかもしれないな。だけど城の事もあるから、俺が行ってくるよ」


「ヒッシー一人で? 大丈夫なの?」


「確認に行くだけだから心配するな。ヒデヨシはここで城を守っていてほしい。特に桜はまだ精神が安定してない。だから頼む」


「……分かった。でも、危なくなったら絶対に帰ってきてね」


「分かっているよ。ついでにノブナガさんを見つけて帰ってくる」


「絶対だよ」


「ああ」


 こうしておれは、再び一人であの忍びの里へと向かうのであった。

 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 それから三時間程経った後に、里の近くにある森の中へ到着。誰かを囲っているなら、この辺りに敵がいると考えた結果だった。


(確かに気配があるな……)


 しかもかなりの数。でもその中に違和感を感じるものが一つ。


(誰かが魔法を使ったか? でも誰が?)


 あり得るとしたらマルガーテくらいだが、それはない。だとしたら誰が?


(とにかく確認するか)


 沢山の気配の中から、二つほどの気配が離れていっているので、もしかしたらそれが囲まれていた人の可能性がある。俺はそれを追っていく。


「誰かいるのか? おーい」


 敵に気づかれないように声を出してみる。すると少し遠くで、動いた気配がした。


「その声ヒスイですか?」


 返事が返ってきた。だがその声の主は、俺の予想の斜めを越えるものだった。


「そ、その声まさかリアラか?」


 思わぬ人物に俺は驚きを隠せない。そして姿を現した。


「あ、やっぱりヒスイじゃないですか。どうしてここにいるんですか?」


「馬鹿、それは俺の台詞だ。何でお前がここに?」


「事情は後で説明します。それよりノブナガ様が一人で戦っているので、助けに行ってください」


「え? ノブナガさんが?!」


 生きててくれたのか? 俺を庇って助けてもらったのに、どうやって……。


「分かった、リアラは安全な場所にいろよ」


「分かりました」


 リアラに合図した後、俺はすぐにノブナガさんの元へ向かう。生きていてくれたならすごく嬉しいけど、一人でかなりの数を相手しているに違いない。


「ノブナガさん!」


 そして戦闘している場所に到着。ノブナガさんはかなり苦戦しているらしく、肩で息をしている。俺は急いで魔法を使って敵の数を減らす。


「ヒスイ様! どうして?」


「後で説明します。それより今はここを何とかしましょう」


「はい」

 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 敵をあらかた片付けて、リアラと合流。その後森を脱出したので、一旦休憩をとることに。


「良かった……。ノブナガさん無事だったんですね」


「リアラさんが助けてくれたんですよ。治療も彼女がしてくれました」


「そうだったんですか。ありがとうリアラ。でもどうしてここに?」


「ノアさんに言われたんですよ。私に何かあったら、あなたが向かってほしいって」


「師匠に?」


 まさかそこまで手配をしてくれていた事に、俺は嬉しかった。だけどそれと反面に、何かあったらという言葉が本当に起きてしまったことに、俺は悲しくなった。


「やっぱり師匠はあの後……」


「ここに繋がるゲートの前でノアさんは倒れていました。私も急いで治療はしたんですけど……」


「いいよリアラ。それ以上は言わなくて。分かっていたから」


 重い空気が場に流れる。分かってはいたけど、奇跡的には生きていたらいいなって思っている自分がいた。だけどそんな奇跡は起きなかった。


「と、とりあえず城に戻りましょう二人とも。まだ追っ手がいますし」


「そうですね」


 三人で城へ向かって移動する。だけど簡単には逃すわけにはいかないのか、さらなる追っ手が迫ってきていた。


「どうしますノブナガさん」


「どうするも何も、戦うしかないですよ。本当は戦闘を避けたかったんですけど」


「ですよね」


 リアラを安全な場所に移動させ、二人で構える。


「この前は失敗しましたけど、今度こそ俺達二人で帰りますよ安土城に」


「勿論です」


 この前みたいに俺だけが安土城に戻ることなんてさせないと決意し、ノブナガさんと共に大群へと走り出していった。

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