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魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した  作者: りょう
戦国同盟 イエヤス編
142/143

第54陣因縁の地

「ヒッシーも何か災難だったね」


「まさかノブナガさんがそんなこと言い出すとは思っていませんでしたぁ」


 同日午後。

 ノブナガさんの突然の宣言で、わずか三日で安土城を離れることになった俺は、ヒデヨシと一緒にリキュウさんの離れに来ていた。


「災難というか、まあノブナガさんの言っていることも正しいよ。現に一年前俺達だけじゃ歯が立たなかった」


「それはそうだけど、問題は協力してもらえるかだと思う」


「最初から徳川だもんな.......」


 イエヤスとは以前から敵対しているばかりの関係。


(後に織田に付くけど、キッカケは桶狭間で今川を滅ぼしたのがキッカケなんだよな)


 この世界が歴史の通りに動いていないのは分かっている。先日判明したノブナガさんの身体の事も考えたら、桶狭間の戦いも起きない可能性だって高い。


(つまりずっと敵対関係のまま?)


「やってみないことには始まらないか......」


「私達は安土城でお留守番だけど、本当に二人で大丈夫なの?」


「向こうも安易に手は出してこないだろうから、多分大丈夫だと思う。何かあったら守れるし」


「それでも不安ですねぇ。最近徳川は不穏の動きを見せ始めていると聞きますからぁ」


「不穏の動き?」


「噂によると江戸の方でお城を建てているとか。そこから何か大きなことを始めるらしいですねぇ」


「江戸に城を?」


 江戸。つまり現代の日本で言うと東京都にある場所だ。かつてそこで徳川家康は幕府を建てた。所謂江戸幕府なのだが、それは歴史の流れとしてはかなり先の話。


(幕府っていう考えがこの世界にあるのかは分からないけど、もしそんなのができたらこの世界はどうなるんだ?)


「どうしたのヒッシー、何か考え事?」


「いや......ちょっと不安になってさ」


「不安?」


「この世界が俺の世界の歴史上の登場人物と、出来事が似ているって話はしたことあるよな」


「うん」


「もし仮にイエヤスが何かをやろうとしている話が本当なら」


「本当なら?」


「近い内この世界の歴史が大きく動く事になるぞ」


「「世界の歴史が?」」


 俺の言葉に二人の声が重なる。


 ■□■□■□

「この世界の歴史が、ですか?」


 夕食時。

 俺はノブナガさんに先程ヒデヨシにもした話をそのまました。


「勿論絶対と言うわけではありませんが、可能性がある以上下手にイエヤスの場所に向かうのは危険かと」


 今現在、家康は岡崎城にいるとのことで、俺とノブナガさんは明日そちらに向かう手筈なのだが、やはり安全とは言いがたい。ましてやアポなしでなんて、果たして安全にこの地に帰ってこられるのだろうか。


「でもヒスイ様は以前仰りましたよね?この世界はヒスイ様が知っている歴史とは大きく違うって」


「言いましたけど......イエヤスの動きが俺は少し不安なんです」


「その理由を教えてくれませんか?」


「はい」


 俺はノブナガさん達に改めて教えた。この戦国の世の終わりに起きる大きな戦と、その後にイエヤスがすることを。本来なら織田信長という人物は、その時まで生きていないのだが、彼女が生きている以上その戦いに巻き込まれる可能性がある。


(もし織田信長が生きていたら、あの戦はどうなるんだ?)


「関ヶ原......ですか」


 俺の話を聞き終えたノブナガさんは何か考え込むように黙ってしまう。


「お姉様、そこはもしかして......」


「うん。あまり思い出したくないけど、私にとっては絶対に忘れられない場所」


「ヒデヨシにとっての?」


 そこそこ長く一緒にいながらその話は初耳だった。


「ヒデヨシさんとの出会いの場所でもあるんですよそこは」


 ノブナガさんがそう付け加える。


(そうい、俺がこの世界に来る前の話をあまりしたことなかったな......)


 俺が来たときには既にそこに織田軍があったから、あまり気にしていなかったがその辺の話に俺は興味があった。


「気になるって顔してるねヒッシー」


「そりゃあな」


 けど肝心な話を忘れられている気がするので、俺は一度話を戻そうとするが、


「それよりもノブナガさん、さっきの話の続きですが」


「皆さん夕食も終わりましたね。ヒスイ様も私も明日は朝早いので、今日のところはお開きにしましょう」


「あ、ちょっ」


 まるで誤魔化すかのようにノブナガさんは席を外してしまった。それを見てそれぞれが席を立ち始める。


「うまくはぐらかされたな......」


「腹を括るしかないねヒッシー」


「納得はいかないけど、仕方ないか.....」


 ヒデヨシの言葉に俺はため息を吐きながら、席を立つ。こうなってしまえばノブナガさんに何を言っても意味がないので、俺は彼女に従うしかないようだった。


(ただでさえ病気の事もあるから、無理だけはさせたくなかったんだけどなぁ......)


 本心はそれなのだが、ここまできたら俺は諦める他なかった。


(何も起きないといけないけど……)


 けどその願いは虚しく、既に事は始まっているとは俺はまだ知りもしなかった。


 ■◽️■◽️■◽️

 時を同じくして岡崎城。


「ボクッ娘、今の話は本当か?」


「はいイエヤス様、織田家当主ノブナガが明日こちらに向けて発つそうです」


「それであの戦人も一緒とは」


「一年ほど姿を消していた事は知っていましたが、こんなに突然現れるなんて」


「そういえばお主の師匠じゃったな」


「ボクが勝手に言っているだけですけど。それよりどうしますか?安易に歓迎するのは良くないと思いますが 」


「いや、歓迎しよう。久方ぶりの再会じゃ、最高のもてなしをしようぞ」


「……分かりました」

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