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№0 イシカ
能力名
「目を起こす」
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見渡すとそこには雲海
大分高いところまで来た
けれどまだ頂上は見えないらしい
この太い幹につかまって上ること1時間
さすがに体力の限界か
「ふう。ちょっと一休み」
座れそうなところを見つけて腰を下ろす
もう汗でびしょびしょだ
「ったく。何メートルあるんだよ。この「世界樹」は」
俺が今上っているこの大きな木は「世界樹」と呼ばれる巨木
好奇心で登ってみることにしたが流石世界で最も大きいと言われる木だけのことはある
上っても上っても頂上が・・・・・・いや、それどころかハッパすら見えてこない
いくら町で「怪物」と騒がれるほどの体力を持っている俺も頂上まで行ける自信はなくなっていた
バックに入ってるペットボトルを取り出し渇いたのどを潤す
「ぷはぁ! 生き返ったぁ! さーてと、ここまで来て諦めるなんてことしたくねぇしもうちょっと上ってみるか」
そういってまた俺は堅い幹に手を置いた
それぐらい上っただろう
上に行くたびになぜか動物の姿を見るようになってきた
リス、シカ、熊、鳥、よく見たことある動物たちだ
「ん?あれは」
不意に横を見ると10mぐらい先のでこぼこに鳥の巣があった
巣の中にはヒナがいたが親鳥がいる様子はなかった
少しの間見ていると巣の中のヒナが前に乗り出したかと思うとそのまま落ちてしまった
「やばい!!」
俺はとっさに幹をつかんでいた手を離しヒナを捕まえようとした
あと10㎝
あと5㎝!
あと1㎝!!
「やった!」
ようやくヒナを自分の方へと引き寄せた
けれど
「っ!! このままじゃ・・・・・・!」
俺はどうすることもできずに雲の中へと吸い込まれていった