缶蹴り
テーマ:空き缶、火災、マグカップ
で書きました。
空き缶を蹴飛ばした。もう、何年も蹴っていないだろう。
昔は缶コーヒーを買うのが当たり前だったのに、あの日からマグカップにコーヒーを注ぐのが当たり前になっていた。わざわざ家から持ってきたマグカップに、水筒のコーヒーを入れる。
あいつとは毎日缶蹴りをした。親友だった。そいつといたら何もかもが楽しかった。特に、缶蹴りが何よりの楽しみだった。
でも、ある日から俺は勝てなくなった。だから、俺はずるをした。空き缶を杭の上にかぶせて、倒れないようにしたのだ。
それを知らない友人は思い切り蹴って、指の骨を折った。
激怒する友人に、おれは逆切れして、喧嘩別れした。
明日謝ろうって思ったその日の夜だった。あいつの家が火災に見舞われたのは。
やりきれない、十年ほど前の思い出に向かって、おれは缶を蹴飛ばした
マグカップいらねえ……