部活の条件
「だ~れ~も~こ~ね~え~」
橘茂は学校三階の空教室で、人を、そして、事件を、さらに、星達? を待って
いた。机を窓際に全てどけて、椅子を六つ、円形に人が内側に座れるように並べ
、どこかから持ってきた円形テーブルをデン、と真ん中に置いたばかりだった。
椅子を逆に座り、ドコドコと上下に椅子を動かす様は悪く言えば、駄々をこねる
子供、良く言えば、暴れ馬をのりこなすカウボーイのようである。
そこに斎藤一が来る。
「うわっ、なんだ、このテーブルは?」
「やっほー、はじめ君、手続きはできたかい?」
と、いいながら、茂は椅子に座ったままドコドコとはじめのいる入り口方面に向
かってくる。はじめは、
「きしょい、その状態でよってくんな!」
はじめは説明した。なんとか、校長に取りついで、部活をつくる許可をもらっ
たらしい。あとは、顧問と人数で、四人以上でないと、部活はつくれないとのこ
と。
「それで、このテーブルと椅子はなんなんだ、橘」
茂は明るい調子で、
「おう、いすはな、この空教室のだ。テーブルはな、きいて驚け、通学途中のリ
サイクルショップで交渉してきた」
はぁ、とはじめは額に手をあてて、ため息をはいた。
そして、何かの紙をちらつかせると、
「それで、俺らの教室の後ろに貼ってあったこのビラは何なんだ?」
ビラには、三階の空教室で、星座をつくる星達を募集! という文字と、大きな
北斗七星が書いてある。その下で寝そべってそれを見ている二人は彼らだろうか
。
「ああ、文字の通りだ」
「わけがわからん」
はじめはそう言うと、紙の一番上に胸のポケットからとりだしたボールペンで、
なんでも部、と書きなぐった。茂はそれを見ると、がっかりした。
「おい」
「なんだ?」
「それはセンスがねぇ。しかもなんでも部って……貸せ!」
茂ははじめからペンを奪いとると、なんでも部という文字を横線で消し、星座部
と書き換えた。はじめは
「だから、それじゃあ、意味がわからん」
言い争ったあげく、星座部に補足の文をつけることに決まった。
茂は、ペンを手先で器用に回しながら、
「で、顧問はどうするんだ?」
「担任でいいんじゃね」
「ま・じ・か・よ」
茂が苦手な、真面目な担任教師が顧問なんて、考えたくもなかったが、はじめか
ら、担任しか部活を請け負ってくれる奴はいない、と聞くと、しぶしぶ了承する
しかないのだった。
そういえば最近星をみてないですねえ。
子供の時はあんなにはしゃいで星を探していたと
いうのに。
みなさんもぜひ、星座を探してみてください。
流れ星に出会うかもしれませんよ?