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50.謎のコウモリ

 ソフィア第二王女とハワード商会一行は、その日のうちに慌ただしく帰っていった。 一刻も早くポーションを持ち帰りたいという。


「相手から言い出したこととはいえ、ポーションの代金が金貨300枚というのは、さすがにボッタクリではないか?」 俺の話を聞き終えてリリスが言った。 前々から思っていたけど、悪魔のくせに良心的である。「エルミー曰く、『わたくしに対する王女の謝罪の気持ちも含まれているのでしょう。今回はこれでよしとしてください』だそうだ」


 魔王城で一番高い塔の屋根に並んで腰を下ろし、満月を眺めている。


 就寝前、俺の部屋へリリスがやってきた。 ハワード商会とのやりとりがどうなったかを聞きに来たのだ。 寝室に2人きりでいるというのはマズい気がしたので、月でも眺めながら話そうということになり、どうせなら一番近い場所に行こうとなったのだ。


「妾たちには関係ない話かもしれんが、仕入れ値が金貨300枚ともなれば、貧民街で暮す連中が買うことなんてできんじゃろ?」


「これもエルミーからの受け売りだが、教会を通じて無償で提供されるそうだ。ソフィア殿下というのは、そういうお人柄らしい」


 アンジャル王国は太陽神を信仰する《フレア教》が国教である。 真女神教団の関係者が報復のために暗躍しているという可能性はなさそうだ。


「それはそうと、本当にオークニーを商業ギルドの責任者にしてよかったのか? リリスのボディーガードがいなくなるわけだけど……」


「魔王におらん護衛を、妾がいつまでもつけておくわけにもいかんじゃろ」 リリスは屈託なく笑った。 もともと護衛など必要ないくらいに強い。 身軽になれたことで、案外、喜んでいるのかもしれない。


「……そういえば、サタンが発注しておった魔石の矢尻が完成しておったぞ! 妾が代わりに試し打ちをしてきた」


「おお! どうだった?」


「なかなかの効果じゃった。最近、森で悪さをしておるジャイアント・グリズリーに向けて撃ってみたのじゃが、矢が刺さった直後、ロウソクの芯のよおうに燃え上がりおった。惜しむらくは煤になってしまい、食することができなんだことかの。あはははは!」


 グリズリーって熊だよな? 熊肉は適切に処理されていれば美味と聞く。 部位によっては高級和牛に匹敵するとも……。 疲労回復や美肌効果なども期待できるんだったか?


「そいつは残念だったな」


「すこし前の妾なら落胆していたやもしれん。じゃが今は違う。妾には唐揚げがある。エールやラガーのお供には、これが最高じゃ。サタン魔王様、万歳じゃ!」 <メッセージ>『敵襲!』「何奴じゃ!?」 ベルゼブブとリリスが同時に言った。


 見上げると月をバックに巨大なコウモリが飛んでいた。


「リリス……あんな酷いことをしておきながら、夜中に逢引きとはいい気なものだな。許さない、絶対に!」


「何者だ!?」 俺は立ち上がり戦闘態勢に入る。


「キミが噂の新魔王サマだね。あなたと争う気はないよ。ボコボコにしたいのは隣にいる悪魔だ!」


「何があったのかは知らないが、リリスに手を出そうとする輩を黙って見過ごすわけないだろ!」


 俺とコウモリは数秒間、無言で睨み合った。


「チッ!」 やがてコウモリは舌打ちをすると、森の奥に向かって飛び去って行った。

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