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45/51

45.それって俺のせいですか?

 近頃、ジャングリアの魔都・ルシフェルに住まうご婦人方の間で話題になっているものがある。


 エルフの居住区でつくられる、伽羅や白檀などの香木を主原料にした香水だ。


 これまでになかった高貴な香りと大評判で、連日、多くの女性がエルフの居住区に足を運んでいるという。


(品切れになってなきゃいいんだけど……)


 ちなみに、ジャングリアでも貨幣は流通している。


 人間との戦争に敗れる以前、魔族領にそびえし魔王城には、莫大な量の金貨や宝物(ほうもつ)が保管されていた。

 先代魔王が討たれ、連合軍の部隊が魔王城に迫った時、略奪を恐れた魔族は全ての財宝をリリスの城の地下へと移し、魔王城を爆破した。


 現在、ジャングリラで国家事業に携わる者には金貨 or 現物で報酬を支払っている。


 魔法薬店(ポーションショップ)に行くと、入荷したばかりだという伽羅の香水があった。


 この世界において香水は、

・精神を落ち着けるために効果的

・異性を惹き付けるために効果的

・気分をアゲるために効果的

 なポーションとして扱われている。


「人気の商品だから気が引けるけど……1つ欲しい……いいかな?」


「もちろんですわ! リリスさま、ロキアさま、緋魅狐さま、アモンさま……どなたにプレゼントですか?」

 対応してくれたエルフのお姉さんが悪戯っぽく笑う。


「全員、違うわ!」

 強く否定しておいた。


「ところで、ロキアさまといえば……」


(だからロキアは関係ないと言っとるじゃろうが!)


病院(ホスピタル)が大変なことになっているらしいですよ」


(え!?)


 魔王様からお金はいただけませんと固辞されたが、経済を回したい旨を伝え受け取ってもらい、俺は急いでホスピタルへ向かった。



  ***



 エルフの居住区にあるホスピタルは、ジャングリアでも指折りの治癒師(ヒーラー)と最新の治療薬ポーションが揃う。


 料金は無料。

 国営の施設だ。


 50ある病床は人狼で埋め尽くされていた。


「いったい何があったんだ?」

 青い顔でベッドに横たわる人狼のロビンに訊ねる。


 ロビンはロキアの弟で、弓の名手だ。


「姉ちゃんの手料理を食べたら、こんなことに……」


(はぁーーーーー???)


「食あたりですわ。みなさん、症状が落ち着きましたが、ここへ運ばれて来たときは腹痛、嘔吐、ジンマシン、痙攣、幻覚、幻聴……と、それは酷いありさまでしたわ」


 病室で経過を観察していた治癒師のホワイトエルフが言った。


「魔王様が、緋魅狐殿の料理を絶賛しておられたので……。姉ちゃんは『自分もサタンくんに“女子力高いね♡”ってホメてもらいたい』と、包丁を握ったのです。()()()()()()()()()()を試食させられたオレ達は、このようなありさまに……」


(お~まいがぁああああああああ!)


「魔王様、お願いです。どうか、ロキアさまの手料理を食べてください。そして、『美味しい! ロキアは、いいお嫁さんになれるね♡』と言ってあげてください」

 ロビンの隣のベッドに横になっている人狼が言った。


「食えるか! こんな惨劇を見せられて!」


「大丈夫です……魔王様のお力を持ってすれば、ロキアさまの飯テロにも、きっと耐えられるはず……」

 ゲッソリと頬が痩けた別の人狼が言った。


「《飯テロ》の使い方が間違ってるわ!」


 とはいえ、このままロキアを放置しておいたら……。


(更なる犠牲者が生まれる予感しかない!)


「わかった。なんとかするよ……」

 俺は力なく言った。

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