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ヒロインとモブの集い

「ここが庭園……いい匂いがしますね!」

メイちゃんも感じていたか、庭師いえのあなな園、とてもいい匂いがする、しかも薔薇じゃない匂いだ。

……私以外のサボりがいるとみた、しかも堂々と茶会をするような、キモの座ったサボりだ。座りすぎてもはや寝ている。ここには来たことがないが、中央に攻略対象の一人がさぼりに使ってる屋根付きの場所が…

「…何かな?僕様達に何か用があるなら聞くけど?」

「マリア、脅かしてンじゃねェよ、ンな悪い連中じゃなさそうだ」

「……そうかな、異国の僕様達を嫌がるような輩の可能性……って、確かに違うかも、かな」

やっぱり、でもいたのは攻略対象じゃなかった。

現れたのは雪のような白い肌(といっても服で手と顔しか見えない)のスレンダー美女と健康的な褐色の肌(こっちは水着くらい見えてる)のグラマラス美女、露出の差が酷い、スタイルの暴力を感じるからグラマラス美女は布とか巻いてほしい、タオルだと物足りないから毛布、それももこもこのやつ。


「…お、お姉様」

二人も170cm以上はある迫力もあるし、メイちゃんがかなり怖がってる、仕方ないこの人たちのことは聞いてるし、頼りになるお姉さまをやったるかー…

「……あなたがたのことはお兄様から聞いております、南の国の第三王女であらせられるカミラ様に、北の国の皇族であらせられるマリア様、でしょう?」

とりあえずてめぇらのこと知ってるぞ、なんだったらオレはてめぇらのことをよく知らされているような立場のやつと仲良しだぞ、と舐められないための挨拶をした。

「フゥン、そのお兄様とやらは俺様達の敵か?」

「この国の騎士団長です、この国の味方ですわ」

そう、チュロスはあくまでこの国の味方、そういうことにしておかないと不貞を疑われちゃうからね!

「騎士団長の…さっきマリアを口説いてたオモシレー男のか、じゃあ信用できる」

…他国の要人を口説いてたのか、もう!チュロスはどうあがいてもチャラ男!心の中のチュロスに詰め寄るが、目をそらされた、如何してそんなことをするんだ!そしてオモシレー男で信用すんな!カースト上位男みたいなこと言うな!確かにカースト上位女子ではあるんだろうけど!乙女ゲームの世界観っぽいことすな!


「違う、僕の親友に似た目をしていると、顎を掴んでのぞき込まれただけ、かな」

顎クイしてた…ダメだ、反論の余地がないチャラ男だ、恥ずかしい!次からうちのお兄ちゃんはニールだけということにしようか、いや、やめとこう、寂しがったチュロスが何するかわからない、さっき学んだ。


「…しかし、お兄様がそう言うのもわかります、私のもう1人のお兄様とよく似ていますから」

紫の髪に赤の瞳、そして青白いとも言えるほど白い肌、ニールと同じだ。確かに顔の系統も似てる、クール系だ。

「ふぅん、そんなこともあるのかな」

「そうなるとお前達兄弟似てねーな」

「誰1人血が繋がっていませんからね、兄は養子なんです」

そうなるとワンチャンニールとマリアって兄妹?ここにきて血の繋がり?なんてね、ニールは捨てられてた、しかもかなりガリガリで、あまり昔のことは語らないけど、貧しくて口減らしのためにって聞いた、もしマリアのような皇帝に連なる家系ならそんなことになる?しかもわざわざ隣国の中央で捨てるとは思えない。もしかしたら、両親が北の国の人なのかな、それで色味とか顔の系統とかが似てるんだろうなぁ。


あ、それかバクかも、だって2人とも、カミラを含めたら3人はゲームには登場していない、グレース嬢が後宮をしっちゃかめっちゃかにしたから、異国の美人さんまで召集されることになったのだろう、でも2人が後宮に居続けるのはいい事だ、だってこの国が3年前に戦争したのは西の国、2人の国もその国に面している、協力関係を結ぶ、みたいな役割を持っているんだろう。

そりゃ、肝も寝るな、追い出されることなんて普通に考えて有り得ない。


「…あ、そういえば、まだ名乗っていませんでしたわね、私はルイ=マナート、父の位は子爵です、こちらはメイさん、私の妹です」

「お、お姉さま!」

「あら、そう呼んでくださるから、あなたももう了承したものかと思ったのだけれど、違ったのかしら」

「い、いえ、でも私は平民で、お二方に紹介されるようなものでは」

なるほど、恥ずかしかったわけじゃないのか、やはり平凡系凡庸ヒロインだけあって遠慮がち。でも、平民とか言わなくてもいいんだよー、2人は大丈夫だろうけど。

「へえ、その割には品がある、小動物みのほうがあるけどな」

「確かに、顔も申し分ない、キミが選んだのなら、申し分ない女性、なのかな」

ほらね、2人は迫害しなかった。

しかし、カミラのいうことはもっともだった、所作は貴族のお嬢様と比べても遜色ない、小動物特有のプルプル感がなければ、普通にモブ令嬢かな?と素通りした可能性もある。結構長かったのかな、貴族に仕えてた期間。

しかし、あたしがいくら才色兼備のオーラを放っているとはいえ……

「あら、マリア様は私のことを知っていらっしゃるのかしら」

一国のお姫様に準ずるような立場の人にしては人を信用するの早すぎるよ、いや、信用してくれるのは嬉しいけどさ、流石に聞いてみた。すると驚きの答えが返ってきた。

「キミの絵画はボク様の国の教会に聖母像の代わりに飾られているからね、キミが美しく心優しいことは知っている」

「あの絵画、そんなところに……国宝とは」

あたしの美貌、流石すぎる、いや違う、そうじゃない、何しとんねん!何、しやがってんだ北の国の権力者!そんなことするくらいなら土地と金くれ!


「マリア、オマエの聖女サマが困ってんぞ」

「すまない、かな、ボク様もキミがこの国にいることは知らなかった、あの絵はある信仰深い貴族が死んだ後に遺言で教会に寄付されたもので、今まで誰もこれが実在の人物かどうかも知らなかった、だからこそキミを描いた絵は聖女となった、かな」

まぁそれもそうだろうね、こういうのは実在してくれてない方がいい、神格化する上で虚像が生まれる、その虚像と異なる実像などいらないに決まってる。

「おおよそボクらが信仰していた像と変わりない、聖職者達を笑わずにすみそうだ」

「私がどのように思われているのかは聞かないでおきますね」

無表情を少し崩して笑うマリアに、(無表情気味なので言ってることは酷いが可愛いと思ってしまった)あたしは表情を変えずに返した。どんな聖人君子にされているかわかったものでは無い。仕方ない、あたしが存在しているか分からないほどに美しく、可愛かったのがいけないのだ、そりゃ天女や天使と同等にもされる、いや、わかんないけど。


「ま、仲良くしよォや、それこそオマエの兄に聞いたが、関わらねェ方がいいボス猿がいンだろ?アイツのことはコッチも調べたが、イイモンじゃ無さそーだ」

「ボク様もソイツと関わると運気が下がると出ているからね、キミの派閥に入ろうかな」

ボス猿に派閥…一体、どんな風に説明したのやら、まぁ、あんなイライラさせてくる奴、事前説明なしに出会わせるのは国際問題に発展しかねない。ナイスチュロス。


「さて、そンじゃ三姫同盟締結だな」

カミラが茶化すようにそういう、なるほど、確かに派閥?に入れるには2人の持つ名称は強すぎる、同盟と言った方が周囲は納得するだろう、いや、その名で説明されても嫌だけど…

「ボク様もルイも姫じゃないかな」

そうじゃないけど、そうであることをマリアが言う、あたしがどんなに可愛くてすばらしくてもお姫様ではないんだよなぁ…聖女様ではあるらしいけど。

「それにうちの可愛い妹の存在は無視ですか?」

そういいながら緊張した面持ちのまま棒立ちしているメイちゃんを前に出す、カミラとマリアにマジマジと見られてからというものの、ガチガチにかたまってしまっていた。 可哀想に…


「ちぇ、じゃあ、こカミラは自分を飾っていたイヤリング、ペンダント、バングルをとってそれぞれあたし、マリア、メイちゃんに渡した。そこにはまっている石とカミラのへそにあるボディピアスについてる石は同じ赤いものだった。

「紅玉、うちの国の護り石だ、丁度ルイの髪と同じ赤だし?ここから紅玉同盟ってのならカッコつくだろ」

なるほど、ルビーか。あたしの赤ってことで、3人があたしの派閥であることが一目瞭然だ。それに、こんな大きな宝石、そうそう手に入るものじゃない、護り石として、十分働いてくれそうだ。


「いいだろ?」

「えぇ、気に入りました、名前もね」

「そりゃ良かった」

紅はあたしの髪の色であり、少し濃くなるけど、マリアの目の色でもあり、カミラの国の色だ、そして石の意味は困難に打ち勝つこと、ヒロインにはピッタリだ。あたしは逆ハーレムエンドなんて狙ってないし、王子以外の人なら落としてもらっても構わないぞ、メイちゃんみたいな人なら、チュロスもきっと好きになる。

……少し、寂しいけどね。


「…それにしても、ボク様達は運がいいね、まさか一日で『縁人』と親交を結べるなんて」

「…エンジン、ですか?」

「…北の国の言葉ですわね、たしか意味は会わずとも繋がっていた人、でしたか」

メイちゃんは知らなくて当然だ、これはゲーム中にも登場したからあたしは知ってる。あるキャラの言い回しの一つとしてね。

たしかにマリアにとってあたしは縁人だ、でもカミラは?そう思って彼女の方を見ればにや、と楽しそうに笑う。

「オレ様のこと、いンや、オレ様の国のこと、マナート子爵から聞いてねェか?」

「いいえ、お父様が人のことを言う時はありませんから…」

お父様が話題にするのなんてあたしとお母様と植物のことぐらいだ、いや、カミラの国は熱帯気候、植物が多い国だ、お父様があたしが産まれる前に植物を勉強しに行っていたのも、たしか…南の国!


「あの、違うといいのですけど、昔、お父様が食虫植物を贈った女性って…」

この話は元騎士団長、(まぁ引退した時点で呼び方ルークさんだからもうルークさんでいっか)がうちに来た時に、お父様が如何に女性慣れしていないかということを教えるためにあたしに話したものの一つだ。滞在中よくしてくれたから、と食虫植物を植木鉢で3つ贈ったらしい。わかったことはお父様がお母様特効を持ってるってことだ。


「おう、オレ様の母であり、現女王様だ」

お、お父様!何してくれてんの!?今よりもっと若い時ではあるけど、だとしても身分ある女性に贈るものが食虫植物はだめでしょ!?

「まぁ、これは女王が悪い、なンせ、感謝を伝えたいなら私に花を贈りなさいって言ったンだと」

「それなら、ルイの父親はいい選択をしたと思うかな」

「そのような事情でしたなら…」

それはちょっと聞いたことなかった、多分ルークさんも知らないな、ガイドしてくれた女の子に感謝のしるしとして、ってニュアンスだったし、あたしの親だけあって現イケオジ、元イケメン、この国じゃ植物狂いの残念美形って言われてる。でも自然豊かすぎる南の国なら受け入れられるのかな、ってか、あたしが考えてるのでいいんだよね?


「お姉様のお父様にカミラ様のお母様は好意を抱いていたということでいいのでしょうか」

うん、言い辛いことを言ってくれてありがとう、流石あたしの可愛い妹だ。

「ま、そーいうことだ」

かなり大変なことを簡単に認めたカミラにちょっと脱力した。

うん、そういう縁か、なるほど。


「もうべたぼれだったらしくてなァ、綺麗な花を渡したなら求婚ということにして囲おうとしてたんだが、満面の笑みで食虫植物だろ?あっけにとられて何もできないまま国に帰らしちまったらしい」

「食虫植物であってるんじゃないかな?」

「うん、オレ様もそー思う」

多分天然で渡したんだけど、グッジョブだぜ、お父様。聞いたらどうせ、南の国ではよく生えてるから、とかいうんだろうな、たしかハエトリソウとサラセニアとウツボカズラ……

カズラ?


「カミラの名前……もしかして」

「お、そーなんだよ、オレ様と姉ちゃんたちの名前、その草たちからでな、これも初恋の娘(ルイ)がでるってことで仲良くなって来いって言われたんだよな。」

うん、ちょっとルイ=マナートの名前、轟かせすぎちゃった。


さて、アウェイになると思ってた宮廷生活だけど、そうそうにヒロインと謎の縁を持つ人達と仲良くなっちゃったな。


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