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はじめまして、ヒロインちゃん

転生してないヒロインちゃん登場

「…さて、すこーし、離れて貰うことは…」

「オレはお前の護衛なんだぜ?なんで離れなきゃなんねーんだよ」

「……だとしても!あたしの腰を抱く必要は無いでしょ!?」

「あるある、すっごく、オレのやる気が上がる」

……分かる、チャラいんだ、この人、チュロスと一緒だ、でも違うのはこいつは強引なところがあるってこと。強引なチャラ男…俺様みたいなもん?仕事があるから、と兄2人は泣きながらどこかに行っちゃって、おじさん騎士も何かやらなきゃ行けないことがあるらしくて、2人きりで王宮の中を歩く。

こんなとこ、見られたら終わりなのに…誰にも会わない。


「…王宮なのにこんなに人が少ないの?」

「…そりゃ、いまは後宮の準備に忙しいんだろ、異例の数らしいしな」

「……グレース嬢のお慈悲でね」

そう、女子のカリスマグレース嬢はあたしの情報網では、私も後宮入りしたいです!と言った子達全員に賄賂を使って後宮への招待状を出させたらしい……なんてこった。


「お金ないのに、大丈夫かな?」

グレース嬢にはあるけど、王宮は王族たちの無駄遣いで火の車だとニールから聞いていた、後宮維持費の捻出なんてできるかな?

「…大丈夫じゃないから、2人で1室で護衛、メイドも1人しか付かないんだろ」

「うーん、不安しかない」

ゲームでは1人1室だったのに、2倍くらい増えてるのか…まぁ勝ち残りだから相応しくないとされた子たちが次々と実家に帰って、一人部屋、メイドと護衛1人ずつになるだろうけど…グレース嬢が変なことしてなかったら!


前も言ったけど、大抵の女の子はグレース嬢派だ、そして未だにグレース嬢はあたしのことを憎んでる、チュロスを誑かしてる女ってことでね、この状況的にあたしのこと、転生者って気づいてるのかな?それともバタフライエフェクトと認識してる?うぅん、頭は回らなそうだから余計に考えが読めない。


「…ねぇ、あたしの同室って誰か…」

あたしは質問の途中で言葉を切ってしまった、どうしようもなく驚いてしまったから……

「…あなた」

「……え、あ、わた、私ですか!?」

あたしの目の前を歩く、小柄で可憐な少女、令嬢にしては少しドレスを着なれていないみたい、これは、間違いない、このゲームのヒロインだ。


「私はルイ=マナート、あなたは?」

貴族同士の挨拶には不適切だが、彼女にはこれくらいが分かりやすくてちょうどいいだろう。慌てていた彼女は何回か深呼吸したあと、大きな目であたしを見つめて口を開いた。

「す、素敵なひと……」

うん、それはそう、だけど、違うね、いや、あたしが素敵過ぎた?ごめんね、超絶美少女で。


「お嬢さん、あんたの名前も言わなきゃな」

そうシャノンが柔らかくした声音で優しく彼女に促す、ふーんいいとこあるじゃん、まぁ悪い人とは思ってないけど、いつの間にか腰だくのもやめてたし、空気は読めるし、極端な公私混同はしないようでよかった。


「わ、そうでした…私はエスメラルダ……いえ、メイです、ただのメイ…」

……メイ、それが彼女の名前か、エスメラルダは後宮入りしたくないといった、彼女が使用人として仕えていたおうちの男爵令嬢の名前だ。本当は他の男爵令嬢にあんたなんか知らない!っていわれて自分は平民であると明かす。そしてここには相応しくないと出ていこうとしたところで、チュロスが…可愛い子だからいてもいいんじゃない?みたいなことをいって、その夜、大臣に承認させたよ、と言って、そのまま彼女の護衛に…ってならないのよね、ここで自分からバラしたし、チュロスは護衛になれないし…


「…こんな綺麗な人がこの国に居るってことを知れただけで良かったです、私には、ここは…」

「…ルイ」

俯くヒロインことメイちゃんをよそ目にシャノンがあたしにあることを教えてくれた。ふむ…

「…あなたにも、ここに来なくてはいけない事情があったのでしょう、私は責めるつもりはありません、でも、引き止めていいかしら、メイさん、あなた、私と同室みたいなの」

シャノンが教えてくれたのはエスメラルダがあたしの同室となっていたこと、グレース嬢の息がかかっていない子は貴重だ、ここで逃すわけにはいかない!だってあたし!お友達いないんだもん!!


「…私のツテであなたのことは特例ということにできなくもありません、だからまだ残ってくれないかしら…あなたのような可憐な人が一緒なら嬉しいわ」

「……え、えっと、よろしいのですか?」

「もちろん」

いや、分かってますよ、みんな、あたしのこと、素敵って言ってくれたからそうしようとしてるのかな、と思ってるんでしょ!全く違います。


この子、転生者じゃないみたい、あたしの挨拶になんの疑問も抱いてないみたいなんだもん、でも、メイって…この国ではあまりない名前だ、だから、転生者が何かしらの形で関わっていそうでならない。

……あ、やば、もしかして、あたし……部屋の中でもこの令嬢モードでいなきゃか??それは、ちょっと辛いな、いや、どの子でもきっとそうだったんだろうけど、改めて考えると疲れてしまう…しかも、完全にあたし、この子に憧れられてる、いいことなのは分かってるけど!ボロでそう…


「あの、ルイお姉様って、呼んでもいいですか?」

うっわ、メイちゃん可愛い、あたし、前世では一人っ子で、今世では兄2人いるから、弟とか妹って存在に憧れてたんだよね…孤児院の子供たちはどうしても支援してる立場、みたいなのがあって、そこまで妹!弟!みたいに接して来た子はいない、前世の孤児院の子達も皆、仲間!って感じが強くて…


「えぇ、私はメイさんと呼ばせてもらうわね」

「はい!ルイお姉様!」

確か、エスメラルダは5つ上の姉がいた、その呼び方に憧れでも持っていたのだろう、可愛い子だ。

しかし、どうしたものか、この子を令嬢とし続けることは出来ない、それこそチュロスの伝手で何とかできるけど……


お姉さまか……


「うちの養子になります?」

「えぇ!?」

「私には養子の兄がいますから、お父様もお母様も承諾してくださると思いますの」

まぁ、だとしても急な話だよな、でもヒロインの養子の話ってひとつのルートにはあるんだよ、攻略対象の養子になるルート、あ、もちろんチュロスのルートじゃないよ、チュロスのは典型的駆け落ちルートで、優しいタイプのチャラ男だからすごくロマンチックなんだよね…いいエンドだった。


「か、考えさせてください!」

おや、結構いい反応、まぁ貴族のうちの子になれるのはいいこと、なんだよね、当たり前か。それにしても、メイちゃんが妹か……ニールと上手くやれるだろうか、ニール、少し病んでるからなぁ、病んでる有能なナルシストの義兄って、こういう子には合わないかも…あぁ、というかまたニールの属性盛られてる、そろそろ攻略対象よりもキャラが濃くなってるんじゃ……ただのモブなのに!


よく考えたら、こんなにキャラ濃いシャノンもモブか。知らないもんな、こんな人…

「……ルイ、どうした?そんなにオレの顔を見て、惚れたか?」

「……いいえ、随分と整った顔はしていますけれど、お兄様達には敵わないな、と、思っていただけです」

そう、シャノンもイケメンだ、でも溢れ出るモブ臭、茶髪の髪に黒い目をしているからだろう、前世でもこういう俺様系のチャラ男は見たことある。

ヒロインちゃんも、やっぱり茶色系でふんわりはしてるけど、あたしとニールの方が色的にも目立つ……なぜ?


「さて、まずはクラウス兄様にお手紙を出しましょう、もう後宮の部屋に行ってもいいのかしら?」

「いや、予定では1度大広間に集まってから部屋割りを発表する決まりだ、専属のメイドと護衛もな」

パチンっと最後にウィンクを添えてシャノンはそういった。キザだな、しかも慣れてやがる、そういうのに慣れてないうぶなヒロインちゃんがはわわって顔してるぞ、許さん、あたしのヒロインちゃんだ。

まぁでも、ってことはあたし、かなり優遇されてるんだな、今の段階でここまでの情報を知ってるの…

「どれもこれもあなたが暴れたからなのですけど…」

「そりゃあ、暴れるさ、5年前に惚れた女にようやく会えて、しかもオレが護衛だ、こんなの神様がオレたちをくっつけようとしていると感じるに決まっているだろう?」

「……呆れた、私はこの国の女王になるためにここにいるのよ、あなたとの運命なんてありえないわ」

あたしは強めに否定した、これはゲームじゃない、この人を攻略したら次の人って、できるわけがないし、同時攻略だってありえない。あたしは王子とのフラグしかいらない。

だからシャノンとくっつくわけ…


「本当に?」

また彼はあたしを抱き寄せて、そう尋ねる。さっきより強く、彼の胸に手がピタリとつく、あたしは直ぐにその手を押して離れた。

「…ふざけるのも大概にしなさい、このような場で、人の目の前で、することでは無いでしょう?」

メイちゃんの前だ、彼女が誰かに告げ口するとは思えない、だけど、こんなことは人前ですべきじゃない、あたしとシャノンはあくまで護衛する側とされる側、甘いことになる関係じゃない。


「……悪かったな、ルイ、いや、ルイ様」

「はぁ……分かればいいのです。これからは控えるようにお願いしますね」

……シャノンは悪い人じゃない、本気であたしのことを邪魔したくないんだろうなってのは、さっきの申し訳なさそうな顔でわかった、そして胸に手が触れた時の激しい心臓の音、口ではあたしの事を惑わそうとしてるのかな、って思うくらいよく回っていたのに、チャラいのに、あんなに早い心臓の鼓動を聞かせられたら、あたしのこと本気なんだな、って、分かっちゃう。


それにしても5年前、あたしが社交界デビューした年か、いた、かな?シャノンみたいな髪色の人いっぱいいたからパッと思い出すことは出来ないし、もしかしたら街中で出会ったとか…ありうる、だってあの時からあたし一目惚れできるほどには美少女だったし!

……メイちゃんがいない所でもし時間があるなら聞いてもいいのかな、いや、でも、こういうのって気持ちに応えられないのに聞いていいものなの?教えて、恋愛マスターのチュロス!



……あ、ダメだ、さっきの晒し首が、強すぎてどう考えても殺れ!としか言わない、殺りません、そんな物騒な、いや、物騒なのはあたしの脳内?まぁ機会があったら聞いてみようかな、恋バナ、うん、ただの恋バナってことで!


「さて、大広間に行きますか…メイさん?」

「……私、行ってもいいんでしょうか……気分が悪くなったことにして、どこかに休んでいた方が」

なるほど、さすがに気づいているか、自分が代わりである事を見破るような人が出てくること。

「そうですね、大広間に行く必要が見当たりません、どこかに隠れていましょう」

多分80人とかくるだろうから二人くらい居なくてもバレはしない、はずだ、もしそうなってもなんとかしてくれ、発表の場にチュロスかニールが居たらなんとかしてくれるだろう、うん、さっきのことがあるからシャノンと一緒にいることで邪推されるかもだけど。


「そうだ、庭園に行きませんか?私の父が作ったバラがあるのです、とても美しいのですよ」

「ルイお姉様のお父様が……見てみたいです!でも私、花には詳しくなくて……」

「花を見る時には花を美しいと思う心を持つこと、それだけでいい、そう私のお父様が言っていました、詳しいかどうかなんて、知識が必要なのは、それこそお父様のような方だけですわ」

あたしもよく分からないもの、花はね、見分けるのがちょっと難しいや、バラは色とか模様とか花びらとか違ってものすごい種類に分かれてるし……バラを目の前に姉ヅラできるか不安だ、全部、バラ!としか言えないかも。


「オレもお義父様のバラ、見に行ってもいい?」

なんだお義父様ってもう結婚する気でいるのか!全く、油断も隙もない人!あほたれ!とか言ってやりたいけど、ここは我慢だ、なんせ目の前にはあたしを姉と慕う女の子。……いつか素でお話できるかな、でもこのモードじゃないと幻滅しちゃう?でも養子にするならあたしのお父様にも会うし、お母様に何してるのって言われちゃう、どうしよう、じゃない!今はシャノンを怒らなきゃ。

「あなたは私たちの護衛なのでしょう?当たり前のことを聞かないでくださいますか?」

全く仕事を放棄するつもりなのかな、この人は、着いてきてもらわないと困るよ、どこにこの美しさを狙う刺客がいるかも分からないのに。


「ルイは、優しーな」

「はい!ルイお姉様はとてもお優しい方です」

え。待って、怒ったよね?あたし怒ったよね?なんでそうなってんの?もう!2人で意気投合しないで!あたしを置いてかないで!


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