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金糸雀はどこへ逃げた?

「…行った、かな?」

「みたい、だね」

あたし達の下をまた黒づくめの人達が通っていく、息止めるのも疲れるよ…あの後すぐに消毒液たちと同じように足につけていた薬を使って匂いを消し、木に登ってやり過ごした。

「お父様からの知識と薬が役に立った!」

やっぱり、持つべき物は植物博士のお父様だね!

…お父様もお母様も厄介事にに首はつっこんじゃいけないって言ってたけど、あたしには見捨てるって選択は出来ない。


それにしたって、人多くない?パーティの人数と同じくらいだよ?ゆうに100は超してるって!逆に会場の奴らは何故気づかない!?いや、気づいた人は消されてるとか?こわ…

「リアム、事情は言わなくていいけど、敵どんくらいなの?」

「……わからない」

そんくらい多いわけだ…じっくり見た感じだと、あたしでも相手取れそうではあるけど…ちょっと数多いなぁ…集団でこられたら、ちょっとやばいかも。

「こりゃ、二人にも手伝って貰わないとかな…」

今頃会場にいないあたしを大声だして探している頃だろうし、絶対にあたしの味方だし。というか、もう何人かぶちのめしてるだろうな、うん。


「二人?」

「うん、あたしのお兄ちゃん達」

現時点であたしが用意できる最高戦力、三人集えば文殊の知恵ならぬ、三人だったら、負けはせぬ!だよ!うん、あんまり上手くないかも。これはあたしの心のうちだけにとどめておこう。

「…ミナトのお兄さんなら、信用できるよね」

「当たり前だよ!二人はあたしが世界を敵に回しても味方でいてくれるって言ってたもの」

リアムの言葉に嬉しくなったあたしは大きくうなずいた、もしかしたら本当にそうなっちゃうかもしれない、この世界が変わってくれないなら、でも二人がいるなら、あたしいくらでもがんばれちゃうんだろうな。

「そっか、いいね…」

そう言ったリアムはなんだか寂しそうだった。



一方その頃

「ルイ様!どこにいらっしゃいますかー!」

「…なんだか、さっきから変な男が襲ってくるけど…なんか今日あるの?」

「少なくとも自分の記憶にはありません、しかしこの者達、ただものじゃありませんね」

「多分、他国か、僕も知らないなら後宮直属の奴らだね…王宮で隠し子騒動でも起きたかな?」

「…不敬罪ですよ、クラウス」

「親父にチクんないでね、ニール」

「まさか、ルイ様の盾に傷つけるような真似はしません、ルイ様を傷つけたのなら話は別ですが」

「そう言うと思ったよ、さて、そろそろ本格的に狩りますか」

「そうですね、ルイ様が巻き込まれないように一人でも多く排除せねば…」


あれ、あそこに月もない夜に輝いてる二人組がいる

「チュロスとニールだ!」

二人ったら背中を合わせて戦って…ホントに仲良いよねぇ、ニールなんてあたしのいないとこじゃ、チュロスのこと、呼び捨てしてるらしいし。

リアムは…仮面でよくわからないけど、じっと2人を見てるみたい、まさかの知り合いとか?ニールはともかく、チュロスは顔広いし…

「…うん、手伝って貰おう」

何かを確信したような感じだけど、自分の方が美形だなぁとか?なわけないよね…リアム、本当に何者?


あたしは二人にこっそり近づいて、静かに回収した。

「…かれこれこーいうわけで、手伝ってくれない?」

「いいよ、ルイの頼みだし」

「ルイ様の命とあらば…」

少しリアムについて疑問はあるみたいだけど、あたしが信頼してるって伝えたからか、二人は承諾してくれた!

「…ルイ?」

リアムが首を傾げる、そっか、あたしミナトって名乗ってたもんね。ルイって言われてて不思議に思うのは当たり前だ。


「あたしの本名はルイ=マナートって言うんだよー、ってわかんないと思うけど…」

今日が社交界デビューの日、変わり者の子爵の娘であるあたしの名が轟くのはこれからなんだからね!それこそ王子にだって知って貰えるくらいに。

あたしが名乗るとリアムがちょっと気まずそうな顔をしてたから、言わなくていいから、気にしないでと笑いかけた。あたしが言ったからってそっちが言わなきゃいけないルールもない。


「敵はかなりの手練れです、クラウス様の敵ではありませんが、数が多くては…」

「一応さっき倒した二十人は木に縛り付けたけど、他によって解かれてるだろうし、全部倒すってことは無理だと思うから、どこか安全なところに…」

ふたりは冷静にこの状況を述べた。そして、倒せてるんだ、さっすがチュロス…まだ16じゃないっけ?まぁチュロスだもんね、10歳でクマ倒してるもんね、不審者くらい倒すか……20人は、あたしには無理だ。そしてニールも足引っ張ってないってどういうことだ、まさか、貴様、おばあさまの時に行ったのか!今度問い詰めてやろう。

うーん、ここ結構あたしたちの家は遠いんだよねぇ、馬車による送迎の時間にはまだ早い、どこか他に安全な所…


「クラウス様の家ならここからいけますよね、それに、騎士団長の家だからあの輩たちも調べられない」

「…あー、でもうちはあのジジィ共がうるさいと思うよ、リアム?だっけ、仮面外せないんでしょ?怪しいものをうちにいれるな!とかキレそうだな…」

「そっかー…ろくなことしねぇなぁ!あのジジィ共!」

あたしはついそう叫んでしまい、3人から静かに、と注意を受けてしまった、敵には運良く気づかれなかったけど、まことに申し訳ない……

あのジジィ共とはなんとか仲良く出来てるんだけど、どっちも頑固だし、ヘタレだし、頼りにならない…

ん?あのジジィと言えば…


「お祖母様!助けて!」

「おや、誰か潰すのかい?」

「…そういうとこ好きだよ!」

…そうです!うちの物騒ば…最強おばあちゃん!最近ここらに引っ越してきたんだった!マジの徒歩五分だった!

「この人を匿って欲しいの、お祖母様なら楽勝でしょう?おねがい!」

あたしはリアムをお祖母様の前に出した。

お祖母様はリアムを見て、一瞬目を大きく広げた、まさか知り合い?え、顔隠してるよね?武術の達人になると、気配でわかるとかそういう?


「そいつは、3人目の男かい?」

3人目……そうね、お祖母様ってそーいう人だった。

「チュロスもニールもリアムもあたしの男じゃない!チュロスとニールはお兄ちゃんで、リアムは友達!てか、いつもあたしはこの国の女王になるって言ってるでしょ!?」

お祖母様がニヤニヤする、あー!もう!あたしは後宮に入るために頑張ってるって知ってるのに!

リアムが困惑してんじゃん!顔は見れないけど、流石にだんだんわかってきたよ!


「事情は言えないけど、追われてるリアムを助けて欲しいの!お願い!」

あたしは必死に頼み込む、後ろでニールたちもお願いってしてるのが分かる。ここ追い出されたらちょっとやばい!

「孫の頼みは聞くさ、でも、その餓鬼の正体がわからないようなら、あたしだって動けない、老い先短い婆くらいには教えな」

老い先短いって…余裕であと四十年は生きそうなのに…!?

医者いらずで百歳はいけるそうなくらい健康に見えるよ!?気配を読み取ってかチョップの構えが…あれは脳が割れるので、このことについて考えんのはやめておこう…


別室でリアムから本当の事情を聞いたお祖母様はすぐにオッケーしてくれた。そして次はあたしが呼び出された。あたしの顔を見た途端、お祖母様は太い葉巻を咥え、ため息をついた。

「あんた、とんでもない金糸雀を見つけたね…」

「カナリア?確かにリアムは綺麗な金髪だけど…もっと淡い色だよ?」

クレープみたいな色だと思う、薄くてやわい生地、それを活かす顔はこの世のモノとはおもえないほどなんだろうなぁ。なんて、ちょっと考えてみたり。


「……ルイ、覚えておきなさい、優しい人でも噓はつく、自分のことを全て偽りなく言う人なんて、そうそういやしないからな」

「…わかってる、よ?」

リアムが噓ついてる?そんなわけないじゃん…だって、リアムは……いや、リアムが何者なのか全く知らない。でも、あたし、リアムを信じたい……

「そんな顔するんじゃないよ、リアムって奴のことはちゃんと守ってやるから」

お祖母様の鍛えられた手があたしの頭を撫でる、お祖母様は約束を守る人だ、リアムには1つだって傷をつけさせない、わかってる。



唯一事情を知るお祖母様が野暮用と言って出かけたので、お祖母様の家の一番奥の部屋でじっとすることにした、ここには大きな窓がないから入る場所は扉だけ。あんまり警戒する必要がないので、気分転換にトランプをしていた、ニールとリアム、結構接戦だ、頭いいんだなぁ、というか、リアムの手、ちょっとずるいって感じだ。いや、くわしくはわかんないけど。


それにしても、リアムは、何がどうなれば助かるんだろう?それすら知らない、何も知らないでただ目の前のことから守っているだけで…

ダメだ、弱気になっちゃいけない、あたしの選んだ選択はこれなんだから、もっと胸を張っていなくちゃ。

深呼吸しなきゃ…すーはー…


……あれ、なんだか……眠…い……





気づいたら、リアムの姿はいなくて、隣にはお祖父様がいた。敵襲にあったらしい、睡眠薬が使われてたらしいんだけど、ギリギリのところで耐えてたチュロスが追っ手を撃退したんだって。

あたしは深呼吸したせいかかなり眠ってて、何しても起きなかったんだって。

事情が片づいて、お祖母様がリアムを家に帰したんだって。

もう、誰かがリアムを狙ったりすることはないって。



そう教えてくれたお祖母様からは微かに血の臭いがした、それは、誰の血?刺客?お祖母様?それとも処分の痕?だって、睡眠薬なんてどこから入ったの?

「昏睡に近かかったけれど、何か違和感はあるかな?」

お祖母様が帰ったあと、お祖父様がそう優しく尋ねた。

「………リアムの姿が、思い出せない」

もやがかかったというレベルじゃない、ゼロ、声も話したことも思い出せない、リアムっていう友達を助けようとしたことだけ。

顔を見てみたかった、そしたらきっと、忘れずにいれたんだろうなー…


さようならリアム、きっともう会えないね。

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