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退却!

「ほら見ろ、罠だったじゃないか。これで僕らはオシマイダー」


 俺がふざけ半分で言うと


「黙れや。そろそろ撤退するか。敵がバカでかい弓出してきたし」


 クレイは、俺のコメントをスルーしてとてつもなくめんどくさそうに言った。その弓で近くの人が軍服の下に着ている薄い金属のプレートをぶち抜かれて胸から血を流しているのが目に入らないのか。


 助けたほうがいいかな?人を背負って走ればいい的になるからやめておこう。そもそも、間もなく死ぬだろうし。


「退却しろ!」


 クレイが周囲の兵士に命令した。確かにこれ以上進むのは無理そうだ。


「砲手があれを壊そうとしてうっかり俺のことをひき肉にしてしまうかもしれないからな」


 全速力で退却しながら少しジョークを言った。


「お前のジョークは面白くない。そして気持ち悪い。そして味方の大砲の前に敵の矢の心配をしろ。もう五人やられた」


「俺のこのセリフをジョークだと分かったやつはお前だけだ」


「だろうな。俺が分かってることを感謝するんだな」


「常日頃から感謝してるよ。いざというときだけはお前の命令を聞いている」


 俺は飛んできた矢を体をひねってよけながら言った。


 そのままの流れで銃を構え、バリスタを操作していた兵士の頭を吹っ飛ばした。


 弓矢や味方の大砲が降り注ぐ中、全速力で退却している時に話すことではないな。


 避難訓練でおしゃべりするより良くない。しかも俺、一応今退却している一個大隊、合計四百人の副長だからな。しかもこいつ長だし。そんな長と副長を持った部隊四百人は不幸だ。


 周りの仲間のかなりの人数がバリスタで撃たれていた。当たり所にもよるが、バリスタで撃たれると遺体の判別が困難になる。


 退却する俺らを見て調子に乗って襲ってきた敵歩兵を、味方の砲弾が吹っ飛ばしていた。バリスタも半数以上破壊されている。


 俺らは、ギリギリのところで塹壕に飛び込んだ。


 その頭上を大量の矢が駆け抜けた。

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