◇80 魔王と勇者の二人三脚
「よよぼう」第五章までのあらすじ
突然の思いつきでRPG同好会を立ち上げた、中等部二年の西原詩音は、様々な伝手で強烈な個性の仲間たちを集めていく。しかし、その隠されたもうひとつの目的は、憧れの担任教師佐伯十三との縁を深めることにあった。
波乱の夏が過ぎ、秋も半ばを迎えるころ、RPG雑誌編集者の道脇環が、かつての佐伯先生の教え子であり、詩音同様の想いを抱いていたことが判明する。過去の環を継いで決意を新たにした詩音は、もうひとつの将来の夢を胸に抱き始める。
同じころ、後輩の山科美雅は、複雑な家庭事情を巡って悩んだ末に、ついに実父と暮らすことを決意し、笹嶋美雅となる。
秋の終わりが近づく中、それぞれの想いと願いが次第に明らかになっていく。と同時に、その入り組んだモザイク模様のパズルはより一層複雑さを増していく…。
主な登場人物
□女性/■男性
《RPG同好会の面々》
□西原 詩音
担任の佐伯先生に想いを寄せる中等部二年生。RPG同好会の会長だが、威厳の欠片もない引っ込み思案娘。
何故かトラブルに好かれる体質で、意地と気合で難題に立ち向かう、出たとこ勝負の精神的ハリボテ勇者。
□白岡 彩乃
詩音のクラスメイトで、ホビーショップ『Colline Blanche』の看板娘。明るくマイペースなボクっ娘で、根っからの商売人気質。
店に集う年下の子供たちからは人気の高い姉貴分だが、従姉弟の謙佑に初恋のリベンジを誓う乙女でもある。天邪鬼な鉄砲玉トラブルメーカー。
□香坂 夢莉
詩音の幼馴染みで隣のクラス。体操部の期待の星でもあり、男女問わず人気の高いスタイリッシュ女子。
毒舌系百合剣士といったクールな雰囲気ながら、人情に脆い苦労人。実質的な詩音たちのストッパー兼防波堤。
■島本 涼太
詩音と夢莉の幼馴染み。夢莉のクラスメイトで家もお向かいさん。夢莉にあからさまな挑戦を続ける残念トリックスター。
夢莉にいいように使われつつ、思慮深く陰ながら支える縁の下の力持ち。自称、ジョナサンの兄貴分。
□山科 美雅
中等部一年の体操部員。夢莉を目標に鍛錬を欠かさぬ努力家。気分屋で周囲から孤立しがちな人見知りツンデレハリネズミ娘。
複雑な家庭環境のせいでかなり達観した言動も窺える。戸籍上は新たに笹嶋姓となったが、学校内では山科で通している。
□神楽 樟葉
図書委員の中等部三年生で、地元名家の一人娘。完璧主義で融通の利かない修道女的性格も、詩音たちの影響で丸くなりつつあり。
実際は、次期当主としての境遇と自分自身の目標に悩む年相応の少女であり、渾名の「鋼鉄の冷嬢」とは程遠い温和な性格。詩音のライバル?を公言中。
■ジョナサン ウェリントン
樟葉の遠縁の金髪男子。美雅のクラスメイト。明るく陽気な爽やか系男子で、編入早々から女子の注目度も高い。涼太とは凸凹コンビの間柄。
偶然か必然か、詩音の遭遇するトラブルの救世主的な存在で、詩音にとっては微妙に気になる存在。
《その他の人物たち》
■佐伯 十三
詩音と彩乃のクラス担任の国語教師。RPGの造詣も高く、心理描写重視の演劇スタイルが得意。なし崩しにRPG同好会の責任者となる。
詩音の憧れの存在であり、生徒からの評判も良好の好青年だが、環との経緯から生徒との距離感に戸惑いを感じる一面も。
■鷹取 謙佑
ホビーショップ『Colline Blanche』のアルバイトの大学生。彩乃の従兄。RPGのほか、様々な玩具に詳しい。
相応にイケメンだが、かなりアバウトな性格で、一見掴みどころがない存在。彩乃の良き相談相手であり、目下の攻略目標。
□赤木 風歌
詩音のクラスメイトで。クラスを引っ張るまとめ役的なさっぱり系。小麦色が健康的な姉御肌。お祭りやイベントが大好きでとことん楽しみ尽くすタイプ。
体育祭の男女混合騎馬戦で詩音や越谷、吉川と組んだことで、思いがけず詩音と越谷の、というより詩音の相談相手になっていく。
◇80 魔王と勇者の二人三脚
しどろもどろの破綻した論理展開で、正直な自分の気持ちと越谷の想いとの折り合いをつけるように、なんとか話を纏めにかかる詩音だったが、どうにも歯切れが悪すぎる。
朗読では超がつくほど褒められた詩音の国語力も、文章の構成力に関してはからっきし、ということなのだろう。
「何言ってっか、ちっともわかんねぇぞ、詩音ぇ…」
そんな様子を見かねてか、残念会に乱入する一組の男女が声をかけてくる。
「りょ、涼ちゃん! え、何でここに?」
「まぁ、いわゆる、『話は聞かせて貰った…』っていうアレよ。それにしても、まぁ、詩音も隅に置けないねぇ…」
「ゆ、夢莉も? って、二人とも話聞いてたの? いつから?」
唐突に姿を見せた夢莉と涼太に、詩音の心は激しく動揺する。まぁ、今さらの話ではあるのだが、他人に、しかも幼馴染みの二人に聞かれていたというのは、思いもしない最悪の展開だった。
「あぁ、うーんと、『大事な話があるから、聞いて欲しい…』とかって辺りから?」
「全部じゃん! 酷いよー!」
先ほどとは違う意味で真っ赤になった顔で、二人に涙目を向ける詩音である。
「ぐ、偶然よ偶然! そういう事もあるんだねー、あはは…。たまたま二人で戦勝祝い?やってたら、突然奥の席から『西原さん!』とか聞こえてきて、あたしもビックリよー、ははは…」
あからさまに不審な夢莉の弁解である。詩音は冷ややかな視線で横目に夢莉の顔を睨み見る。
「嘘だ…」
「まぁ、その、アレだ…。お前に万一のことがあったらヤバイから、こっそり見届けろ、ってな…」
「誰がぁ? いったい誰が覗いてこいって?」
涼太の言い訳に反応して、さらに詰め寄る詩音の予想外の迫力に押されて、涼太の視線は空しく宙を彷徨う。
「誰…って、そりゃあ、なぁ、おい…」
「あぁーやぁーのぉー?」
助けを求めるように走った涼太の一瞬の視線が、彩乃に向かったことを悟った詩音が、心の底からの低い唸り声を上げる。
「は、はへっ? ぼ、ボクは知らないなぁ…。何のことかなぁ?」
涼太の視線の彷徨いが移ったかのように、今度は彩乃の視線が挙動不審な動きをみせる。何処からどう見ても、誰が見ても、黒幕が誰なのか明白だった。
「あー、保険、ってコレの事ぉ?」
半ば蚊帳の外に置かれつつあった風花がそう呟いたことで、彩乃の容疑は完全に確信に変わった。
詩音は珍しく、無言のままグーパンチを彩乃に繰り出す。椅子に座ったままの姿勢なのに、なかなか腰の入った良いパンチだ。
彩乃は間一髪でその攻撃を掻い潜ると、あっけらかんと笑いながら謝罪の言葉を口にする。
「ごめんごめん、悪かったってば。でもまさか本当に、その…越谷が詩音に告白するなんて…」
「言うなぁ! 語るなぁ! 喋るなぁ! 話すなぁ! 忘れろ忘れろぉ!」
真っ赤な顔で抗議の声を上げながら、ぶんぶんと闇雲に彩乃めがけてパンチを繰り出し続ける詩音は、ちらりとさり気なく越谷の顔色を窺う。
「僕は…うん、僕は忘れて欲しくないかな…。西原さんにはもちろんだけど、話を聞いちゃった、知っちゃった皆にも、僕が西原さんを好きな事実と、とりあえず自分の気持ちはちゃんと伝えられたという勇気?だけは、忘れないで憶えていて貰いたいかな…」
「あー、うん…忘れない、っていうか、しばらく忘れられない、と思う…」
越谷の言いたいことは何となく理解できる。詩音は急にしんみりした気持になって、神妙な表情に戻っていった。
「俺も、まぁ、忘れられないだろうなぁ…」
「あ、うん、あたしも…ね」
涼太と夢莉が反応する。
「そうだね。島本君には悪いけど、僕は思い切って自分の素直な気持ちを告白した。事実はたったそれだけ…。君がどうするかは知らないけど、幼馴染みだからって、どんなに長く一緒にいたとしても、黙っていても通じ合える、わかり合える、だからきっと大丈夫…なんてことは無いはずだよ? 自分の気持ちは伝えないと伝わらない…。きっとどんなに毎日近くにいても…ね」
「お、おう! っていうか、お前いったい何様だぁ? そもそも何か勘違いしてねぇか? それに…よ…、その発言は…ちょっとアレだぜ?」
越谷の些か挑発的な発言に涼太が応えるも、その言葉はかなり歯切れが悪い。涼太自身も複雑な思いを抱いているからだ。
涼太の視線はそっと隣の夢莉を窺う。
「…だよね。近くにいても、長く一緒にいても、言葉にしないと気持ちは伝わらない、よね…」
夢莉は自分自身に言い聞かせるように、ぽつりと越谷の先ほどの言葉を繰り返すように呟く。
「ったくよぉ…」
「クラスター爆弾じゃん…」
涼太の微妙な溜息に被るように、彩乃が唐突に聞き慣れないことを言い出す。皆の不思議そうな視線が一斉に彩乃へと注がれる。
「あー、多弾頭ミサイル? 散弾銃? ショットガン? とにかく狙った相手もろとも、その周りの奴らもついでにぶちのめす、とばっちりマップ兵器?みたいなやつ…」
「白岡ぁ、お前の例えはちっともわからんわ…」
黙って事の成り行きを見守っていた吉川が、呆れ気味にそう呟く。
「まぁ、何にしても、この件はここだけの話、ってことで、皆、他所で喋ったりしちゃダメだからね! 絶対だよ?」
一番口の軽そうな彩乃が皆に口止めを促すのは、何処か一抹の不安を感じさせるが、本人にそんな自覚はないし、恐らく他意もないのだろう。
結局、越谷の勇気を振り絞った大胆な告白は、お断り気味の返事保留というしっくりこない状況に終わることになった。いわゆる「持ち帰って検討します」というあれである。
そう、様々な波紋をそれぞれの心に刻みながら、事は一段落を迎えた…。
次の登校日、体育祭から三日が過ぎていた。
週末と特別休校を挟んだおかげか、佐伯先生はどうにか無事に復帰を果たしたようである。多少痛々しさの残る包帯まみれの手足ではあったが、その見た目ほど大事に至らずに済んだのは幸運だっただろう。
もちろん、何も変わることなく生徒たちの前に立って、朝のホームルームを始める時にも、その表情に陰りは見えなかった。
「あー、それから、先生の怪我が完治するまで、西原に授業を手伝って貰う事になった。まぁ、助手というか、書記みたいな感じだ」
唐突な発表にクラスの生徒たちが僅かなざわめきをみせる。クラスの何人かは保健室に様子を見に行った時に既に知っていただろうが、大多数の生徒にとっては寝耳に水の話である。
「何で西原が…?と思う者もいるだろうが、知ってのとおり、西原には同好会で散々面倒事を押し付けられてきたからな、たまには恩返しをして貰おう、というだけの話だ。特別扱いはしないから、覚悟してよろしくな、西原…」
「は、はひっ! よろしくお願いしまふ!」
慌てふためく小動物のように、詩音はうわずった声で返答する。傍からみている限り、憧れの先生に指名を受けて狂喜している生徒というより、面倒な仕事を仰せつかった残念な生徒にしか思えない。
だから他の生徒たちも、あーそうなんだー、程度の認識しかしていないのは、詩音にとっても佐伯先生にとっても幸運だった。
「じゃあ、また後で授業でな…」
日直の号令に合わせて礼をして、佐伯先生の退出を確認すると、早速、隣の席の彩乃がニヤニヤ顔で詩音を揶揄いにかかる。
「はひっ! よろしくお願いしまふ! って、詩音、緊張し過ぎぃ…」
「あー、うん、何ていうか…死ぬほど緊張した…かも」
「まぁ、クラスメイト全員の前で大々的に発表されちゃうとねぇ…。何か芸能人の交際宣言の会見みたいな?」
「いや、流石にまだ、そこまではないから…」
詩音は少し寂しそうに呟くが、それこそ、たとえ仮にそんな事実があったとしても、クラスメイトの前で気軽に言える話ではないだろう。一歩間違えば、中等部全体を揺るがす大不祥事となりかねない。
「あぁ、何だ、そういう事かぁ…。そりゃ、越谷もご愁傷様って話だよねぇ…。ようやくあたしもわかってきたよ…」
詩音の後ろの席から、風歌の興味津々といった声色の言葉が投げかけられる。詩音が振り返ると、彩乃以上に目を輝かせた風歌の満面の笑みが、視界一杯に飛びこんでくる。
「ん? え? あっ! ち、違うし…全然違うし!」
「だいじょぶ、だいじょぶ! 越谷には何も言わないって…。でも、へぇー、ほぉー、意外っちゃあ、意外ぃー」
狼狽える詩音に全く取り合う様子をみせず、風花は小悪魔的な悪戯っ娘の表情を浮かべて、にんまりと詩音の顔色を眺め続けた。
「ほ、ほんとに、何もないんだから、まだ…」
風歌に抗議の声を上げながらも、思わず言葉の端にさり気なく本音の漏れる詩音であった。
詩音が待ちに待った、夢のような時間がついに訪れた。
とはいえ、所詮は何の変哲もない国語、つまりは現代文の授業である。極めて退屈な、そう、詩音以外の大多数のクラスメイトにとっては、相当に退屈極まりない眠気を催す授業であろう。
だが、詩音にとっては大活躍の見せ場である。と同時に、想いを寄せる佐伯先生に対して、僅かながらも助けになることができる充実感と幸福感を満たしてくれる、まさに至福の時間でもあった。
教室の前に立ち、佐伯先生の指示に合わせて、できるだけ読みやすい綺麗な字を心掛けながら、ホワイトボードに文章を書き連ねていく…。
単にそれだけのことなのに、先生と一緒に授業をしている、という何とも言えない気持ちは、勝手に詩音の中で様々な幸せのエネルギーに変換されていく。
まぁ、自分自身でも、何て単純で扱いやすい生徒なんだろう、と思ったりもするが、幸せなものは幸せなんだから仕方がないじゃないか、とも思う。
ひとまず板書が途切れると、詩音は後ろを振り返るようにしてクラスメイトたちに向き直る。
教室全体が見渡せるここからなら、一人一人の生徒たちの授業態度も表情も手に取るように窺える。それはまさに日々、佐伯先生が詩音たちを見守っている視線そのものだった。
―ふぅーん、佐伯先生は毎日こうやって、私たちの事、眺めてるのかぁ…―
もし将来、詩音のもう一つの夢が現実になって、本当に先生という仕事についたのなら、こんな感じで毎日を過ごすのだろう。そう考えると何だか不思議な気分になってくる。
ふと目が合った彩乃が、何か言いたげなニヤニヤ顔で見つめ返してくる。詩音は思わず唇の端を引き攣らせながら、笑えない笑顔で応えた。
視界の端では、越谷がじっとこちらを見つめている。とはいえ、授業に集中しているというわけでもない。その視線の先が佐伯先生ではないのが明白だからだ。
考えてみれば、越谷のその妙なベクトルの視線こそ、普段詩音が佐伯先生に対して投じている眼差しそのものなのだろう。そのことに気付いた途端、詩音はいてもたってもいられない気恥ずかしさに包まれていく。
―うへぇ…、この状況が当分毎日続くのかぁ…―
佐伯先生の助手ができると心躍らせていた詩音の浮かれきった心は、まだ初日の授業が終わらないうちに、早くも溜息に霞みつつあった。
「頑張れ、詩音先生ぇー」
げんなりした詩音の表情に気付いたのか、風花が唐突に声援を送り始める。
「おいおい、赤木、それじゃこっちが西原の助手みたいじゃないか…。それとも西原、お前、明日の授業、先生の代わりにやってみるか?」
「え、ええぅ! 無理無理無理ぃ…無理ですぅ!」
そんな突拍子もない提案を急に振られても、詩音としては対処できるわけもない。考えようによっては、滅茶苦茶気の早い一日教育実習体験と思えなくもないが、そんな悠長な状況ではないだろう。
「冗談だ、安心しろ。お前の授業風景を一度見てみたい気もするが、怖すぎて代理は頼めそうにないな…。試しに次のところ、ちょっと読んでみろ…」
「は、はひっ! あ、教科書…」
急な指名に慌てながら、詩音は自分の机の上に置き去りのままの教科書に視線を走らせる。
「ほら、これ使え…」
佐伯先生は、詩音に自分の指導用教科書を手渡して、受け取るように促す。
おずおずと受け取る詩音の視線に大きく頷いて、佐伯先生はいつもと変わらぬ笑顔を浮かべる。
―あ、これ、佐伯先生の字…―
詩音が手に取った教員用の指導用教科書には、生徒用には書かれていない指導要綱や注意点が赤字で記され、さらにその上から手書きの自筆メモが走り書きされている。
―そっか、先生もばっちり予習してるんだ…―
何故か嬉しさがこみあげてきた詩音が、大きく深呼吸しようやく覚悟を決めて、指示された箇所から教科書の長文を読み上げ始める。
かなり緊張しているせいか、いつものような滑らかさは若干薄れていたが、それでもなお、丁寧で表現力のある詩音の朗読は、生徒たちの心と頭に自然と浸透していった。
詩音の朗読が終わると、佐伯先生は詩音に形ばかりの誠意のない感謝の言葉をかけて、他の生徒たち全員に語りかける。
「…さて、ここでの主人公の心情っていうのはとても複雑で、表面上の、文章に表れない、文字になっていない裏…というか、いろいろ察する余地があるんじゃないか…って話だな。もちろん感じ方、考え方は人それぞれだと思うから、どう捉えるのが正解、っていう事はないんだが…」
佐伯先生のわかりやすい説明を聞きながら、『お願いですから、私の気持ちも察してくださいよぉ…』などと、あらぬ妄想に耽る詩音である。
「そんなわけで、次の授業までに、この主人公の気持ちについて皆にも考えて来て欲しい」
はぁーい、という気だるげな、やる気不十分の返事が教室のあちこちから返ってくる。
「で、次の…ん? おい、西原、どうした、ちょっと疲れたか?」
ぼーっと呆け眼のままの詩音に気がついて、佐伯先生は心配そうにその顔を覗きこんだ。若干遅れて、瞬間的に我に返る詩音であるが、反応が何処かおかしいことを隠すことはできない。
「あ、はいっ! だいじょうぶでふ!」
「うん、大丈夫じゃないな、それは…。ほら、お疲れ様、席に戻れ…」
クラスの片隅から小さな笑い声が聞こえてくる。多少の気恥ずかしさはあるが、でもそのくらいがきっと丁度いいのだろう、と詩音は思う。
詩音は自分の席に戻りながら、佐伯先生に隠れるようにとびきりの満足した微笑みを浮かべて、心の中でガッツポーズを披露していた。
「あー、これは、幸せが相当重症…ってやつだなぁ…」
呆れ顔を通り越した半眼の表情で、彩乃は詩音に冷ややかな視線を送っていた。
◇81 驚きの超展開へ に続く
ご意見ご感想イラスト等もぜひお寄せください
●ご注意
この連作小説は、原則的に毎週月曜日の10:00に更新掲載しています。
第一章は別途掲載中の「あの世とこの世の冒険譚」を分割したもので、第二章以降はその続編部分となります。
現在、第六章を2024/7/1より掲載中となります。
真鶴あさみです。初めまして&毎度どうもです。
完全に長期週刊連載となってしまった「よよぼう」ですが、お陰様で少数ながらも固定の読者様にご支援いただけて、大変感謝しています。
今後ともよろしくお願いしますね。
一見、学園ラブコメ風のこの作品ですが、いわゆる『RPGあるある』を軸にした趣味物語でもあります。懐かしのテーブルトークRPGの世界を、少しでも楽しんでいただければ嬉しく思います。
もちろん、本題である詩音たちの恋の行方にも忘れずに注目してくださいね。
挿絵用のイメージ画像は、KISSの「カスタムオーダーメイド3D2(COM3D2)」にて作成しています。知識と能力の不足で、再現精度があまり高くないですが、ご容赦ください。
それではこれからも、詩音たちRPG同好会のお馬鹿な冒険の数々を、お楽しみいただけると嬉しいです。
ご意見ご感想、AIイラストなども、切実にお待ちしています。
■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、只今、絶賛放置中
■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定
■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)




