第83話 リカルド・グラディウス
ディアナはイオニアの冒険者ギルドに通い、下水道掃除や薬草採取などの依頼をこなし、やっとダンジョンに入る事ができるDランクに昇格した。
昼はリカルドと遊びつつ、リカルドの魔力循環訓練なども行った。
「リカルドの事ですが、スキルは鑑定と収納。収納は私のインベントリと同じタイプのものです」
「どちらも商会の仕事をするには、うってつけのスキルだな」
「魔力量が500。あの年齢で何の訓練も受けていない割に高い。このまましばらく訓練を続けてもいいでしょうか?」
「ああ、頼む。空の魔石が必要なら千個位はすぐに出せる」
空の魔石に魔力を注入させ続けて一週間、リカルドの魔力はあっさりと1万を超えてしまった。
そこで、ディアナはリカルドに自分の属性魔法とスキルを全部コピーしてみた。何一つ成功しなかったが、驚くことに新しいスキルが出現した。
「新しいスキルは『ラーニング』」
「ラーニング?」
「ええ、見るだけで魔法やスキルを自分にコピー出来るスキルです」
「そんなスキルが存在したのか!?」
「普通は攻撃を受けたりして覚えるものなのですが、リカルドの場合『見るだけ』なのです」
ディアナが国内の商会支部と本部を繋ぐ為に移動するのにも付き添い続けたリカルドは、転移魔法と結界魔法を習得していた。
「ちなみに、私が持つ属性魔法とスキルを使って見せたところ、全てを習得しました」
「規格外は、お前だけじゃなかったか…」
ディアナは苦笑いした。
「私以上の規格外っぷりですよ。『見るだけで』が事実なら、私が習得出来ない称号持ちの人のみが使えるスキルも、魔獣が持つスキルも習得出来る筈です」
「そう言う事になるな…」
侯爵は、少し困惑した表情を見せた。
「取り敢えず、私が新しいスキルを習得するたびにリカルドにも習得させようと思いますが、よろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む」
そして、ついにリベラ共和国内の商会に道を繋げる事になった。リカルドは「やっとお兄様に会えるのですね!」と張り切って同行した。
「レオナルド兄様!」
「えっ、リカルド!?」
「えへっ、来ちゃった♡」
リカルドのかわいい姿に萌え死にしそうな、兄姉だった。
「来る途中で魔獣に出くわしただろう?」
「はい。怖かったですけど、お姉様がバッタバッタ倒してくれました。僕も結界を張ってお手伝いしたんですよ!」
「へぇ、リカルドは結界魔法が使えるのか?スゴイなあ」
はしゃぎ過ぎたリカルドは、その日熱を出しプロイスの屋敷で寝込んだ。
商会の道を全て繋ぎ、プロイスのグラディウス邸と王都の屋敷、領地の屋敷も繋ぎ終えた。
あとは、外国にある支部10件と、この後に出来る予定のトルクとビーツの支部だけとなった。
「ディアナは、魔獣掃討作戦には参加しないの?」
「私は、魔獣よりもネイサン国やシャーメン国の出方の方を危惧してる。なんかいい方法が無いかと考えてるんだけど…」
「一番わかり易いのは、国境を囲う事だよね?」
「そうなの。囲いを作った上に結界魔法を付与する方が簡単なんだけど、それがいつまで保てるかわからない。魔力の供給源を確保する方法を考えてる」
「それは地元の人にお願いしてみては?」
「やはり、それが最善策ですよね」
「自分達を守る物だもの協力してくれるだろう?」
色々と二人で思案した結果、結界の魔石と魔鉄を使った建設資材を作ってみることにした。
翌朝、熱が下ったリカルドとプロイスの街を歩いた。プロイスにはドワーフやエルフや獣人もたくさんいて、はしゃぎ過ぎたリカルドは、またもや寝込んでしまった。
鑑定してみたが病気でもなく、疲れがややあるものの至って健康体だった。
「知恵熱かしらね?」




