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第78話 見知らぬ天井

 「知らない天井だ…」


 目が覚めて、自分が言った一番最初の言葉に吹き出した。定番のセリフは、定番になるだけの理由があったと云うことだ。 

 

 「あら、気がついたのね?ここはトルク城よ。あなた、3日間もずっと眠ったままだったのよ?」


 ミーシャに頬を撫でられた。その間、アイマンやベアトリーチェは勿論の事、各国王陛下やミレーネ王妃も見舞いにやって来たのだと云う。


 「戦後処理はどうなってる?」

 「それは他の方に任せて、今はゆっくり休みなさいな」

 「病院の方は?」

 「ソフィア様とマルティナ様が頑張ってらっしゃるわ。早い方はもう退院なさって、復興のお手伝いをなさってると聞いてるわ」

 

 比較的健康だった兵士から、復興の為に働いているらしい。また、ルーキウス王国から住宅建築専門の職人も派遣される事が決まっていて、今日明日にもあの通路を通って到着するとの事。役所の支部やグラディウス商会の支部もトルクとビーツの境に置かれる事になったらしい。

 ディアナは起き上がり、手早く身支度を整えた。


 「どこへ行くの!?」

 「病院。あそこには、まだ親の庇護が必要な子供達がいるの」

 「孤児ならルーキウスの一時保護施設で預かったあと、養子にだされるわよ?」

 「違う違う。日本からの転移者がいるの16〜7歳位の」

 「あぁ、あの子達ね」

 「ちょっと説明が必要だから会ってくる」


 病院に行く前に、グラディウス商会の王都支部に転移し、仕事中だった中野を連れ出した。そこから、ビーツの病院に飛んだ。


 「中野!!」

 「山口?生きてたのか!」


 二人は泣きながら抱きしめ合った。そして、転移してきた高校生達を談話室に集め、ここが違う世界である事、戻れないことを説明した。


 「異世界転移キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」


 と喜ぶ声も、戸惑う声も聞こえた。


 「この世界、転生者も転移者も多くいます。斯くいう私も転生者の一人で、グラディウス侯爵家の長女ディアナ・グラディウスです」

 「もしかして、悪役令嬢だったりする?」

 「ぶはっ!数ヶ月前にちょっとした騒動がありましたが、この国の第一王子との婚約は継続中です。まぁ、テンプレにも色々パターンがあるからね?」


 彼らの今後だが、一時保護施設に移され、里親制度によりどこかの家庭の一員になるか、ステータスと相談の上で仕事をするか、冒険者になるかの選択肢がある旨を説明した。


 「詳しい事は、後ほど役所の方から説明があると思うので、自分がどうしたいか考えておいて下さい」


 彼らの不安が少しでも解消できたならいいのだけど…と、ディアナは笑顔で見守った。


 「あんた、貴族のお嬢様だったんだな。それなのに、あんな格好して助けに来てくれたんだ?」

 「山口、ディアナ様は凄いが、やらかし方も半端ないんだよ…この前な…」

 「あ、やめて中野さん!ボロ出まくるから!」


 貴族とか階級とか、ルーキウス王国ではあまり意味がない。日本と同じ位には自由があるというと、皆安心してくれたようだ。山口は、生徒達の行く末を見届けたら、グラディウス商会に来てくれる事になった。 

 

 「ディアナ!」


 大公妃ソフィアとマルティナに声をかけられた。


 「大分落ち着いて来たようなので、私はそろそろお暇しようと思うの」

 「ソフィア様、この度は御尽力いただきありがとうございました」

 「また何かありましたら、是非頼ってくださいましね」


 マルティナが「内々で話しがある」と言うので、大公妃と中野をそれぞれの家に送り届けてから、再びビーツの病院に戻った。


 「ディアナ様、レベッカが行方知れずになりました」



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