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第77話 …無念

 「マルティナ様、あれ…」


 ディアナは鉱山入り口の脇から見える崖の先を指さした。それはアイマンの記憶から読み取った映像で見た、不要な人間を捨てるゴミ捨て場だった。山盛りに盛られたそれから、不穏な黒いモヤが発生し、渦を巻いて立ち昇りつつあった。


 「マズいわね。過去、火葬しない地域の墓地がアンデッド系のダンジョンになったことがあるわ。浄化作業をしましょう」


 二人がかりで浄化魔法をかけた。すると、ほぼ全ての遺体がキラキラとした光に包まれ消え去った。


 「ちゃんと、成仏できますように…」


 ディアナは手を合わせた。


 「それは、前世の風習?」


 マルティナが笑いながら聞いてきた。


 「そう言えば、転生者の人の中には、食事の前に『いただきます』と手を合わせる人も見かけるわね」

 「人は生きる為に、肉や魚や植物など命ある物を摂取しますよね?だから『命をいただく』と、命を差し出してくれた事への感謝と、命を無駄にしない無駄に消費しない事を誓って手を合わせてから食べるのですよ」

 「へぇ、素敵な考え方ね。今、手を合わせたのも、亡くなった人への祈りと云うわけね」


 マルティナが手を合わせ「どうか、皆に幸せな来世を」と、言った。どうやら、理解して貰えたようだ。

 それにしても、浄化されずに残った遺体は何なのだろう?と気になり覗きこむと、遺体の腕が少し動いた様に見えた。


 「もしかして、まだ生きてる?」


 ディアナは、崖から飛び降りた。


 「ディアナ様!?」


 距離指定転移で崖下に着地した。


 「あ…う…」


 うめき声がする。ディアナは崖上のマルティナに向かって叫んだ。


 「まだ、生きてる!」


 その場で4人にハイヒールをかけた。しばらくすると、4人が目を覚ましむくりと起き上がった。


 「俺達、まだ生きてるのか…?」

 「えぇ、生きてますよ」


 ディアナは4人を回収し、崖上に戻る。


 「私達はルーキウス王国の者です。ビーツ国王ロドリーゴ・イルマとその家族は拘束しました。あなた方は、もう自由になったのです」


 4人は、泣きながらお互いを抱きしめ合った。そして、地上に出された円筒形の病院施設に保護された。


 「ディアナ、よくやってくれた」


 トルク城に戻ったディアナは、ストラトス国王とトルク国王の二人に迎えられた。トルク国王とは初対面になる。丁寧な礼をとると、ストラトス国王が笑って「お前、そう云う事もできたんだな?」とからかってきた。


 「予定よりかなり早かった様だが、何かあったか?」

 「協力者がいたのです」

 「協力者?」


 ディアナはビーツで遭遇した山口の事を話した。


 「そうか不憫な経緯があったのだな。これから、好転してくれれば良いが…」

 「作った医療施設はトルクとビーツの国境砦近くに設置しました。患者がいなくなっても、両国復興の為の宿泊施設としてお使い下さい。不要になった時は、言って下さればすぐ回収しますので」

 「助かる。で、イルマ家の事じゃが…その…なんじゃ」

 「ん?」

 「一応、裁判は行われる。まぁ、処刑は免れんのじゃが…」

 「はい。立ち合いますよ」

 「いや、若いおなごには、ちょっと…」

 「いえ、ビーツへの進軍もイルマ家の解体も、私が言い出した事ですから」

 「ディアナ、お前と言う奴は…」


 ストラトス王から小言が飛んでくるか?と思われた瞬間、目の前が真っ暗になった。(ブラックアウトだ…2週間、ほとんど寝てなかったからなぁ…。)


 「……無念」


 ディアナは、その場に倒れた。



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