第68話 メディナ
ルーキウス王国を立って約1ヶ月。やっとメディナ王国の王都に到着した。
その間、倒した魔獣は数しれず、ホワイトティガーやゴールドシープなどは魔法でベアトリーチェが一層し、サンドスコーピオンやロックゴーレムなどの大型魔獣はディアナが倒した。
「この旅の間に、ベアトリーチェ様の戦闘スタイルが確立できましたね」
アイマン皇太子は、ベアトリーチェを褒めた。
「外は戦いやすいからかな?ダンジョンだと周囲の冒険者にも気を配らないといけないから、魔法を使いづらいのよね」
「それはありますね」
「皇太子様は、そのあたりはどうしてます?」
「私は、護衛がゾロゾロついてくるのが難点でして…」
想像すると自然に苦笑いが出た。「レベルを上げたくても、力をつけたくても、うまくいかないのだ」とごちた。
メディナの王城は、とても大きく美しかった。その姿は、ディアナとベアトリーチェの知る、前世の中東地域の宮殿のようだった。
「まず、汗を流して下さい。その後、国王への謁見となります」
二人は女官達に連れられ浴場に案内された。そして、女官達に頭のてっぺんから爪先までピカピカに磨きあげられ、用意されたこの地特有の民族衣装に身を包んだ。
「この服、気持ちいいわね」
「直射日光を遮り風通しが良く、汗を吸いやすくまた発散しやすい生地。よく出来てるなぁ」
ベタ褒めの二人に女官はニッコリと微笑んだ。どうやら、使用人のおしゃべりは禁じられているようで、「どうぞ、こちらへ」などの必要最低限の言葉しか発しなかった。
「おぉ…ベアトリーチェ殿、ディアナ殿。この度は、手間をかけさせてすまなかった」
王の間に通された二人は、王に挨拶と入浴や部屋の手配をしてくれた事に対しての感謝を述べた。
「グリーンアナコンダを見せてくれるか?」
と言う王の要望に応え、インベントリから取り出した。
「このなんとも言えん色合いに艶、素晴らしいな」
翌日、宮殿の広場で解体することが決まっているらしく、国内から解体職人や皮製品の加工職人も集められ、宮殿内に待機しているらしい。また肉に関しては、当初は調理済みの料理を振る舞う予定になっていたが、それぞれ好みがあるだろうからと、切り分けた肉を布に包んで配布することに決定したとの事。
「すまぬが、お二人も参加してもらえないか?」
「喜んで参加させていただきます」
二人は即決した。
その後の食事会は、かなり苦戦を強いられた。米のような穀物に汁物や惣菜を指先で絡め取り食べなければならないのだが、うまくまとまらないのだ。
「指がつる!」
と叫んだベアトリーチェだったが遂に観念して、用意されたスプーンを使った。
「お二人が、こちらの文化を理解しようとしてくれた事に感謝します」
皇太子の言葉に国王も頷いた。そこに、宰相が小走りに駆け寄ってきて、何事かを耳打ちした。
「よい。ここで発表せよ」
「はっ。ルーキウス王国並びにストラトス・トルク連合軍がビーツ軍を退け、奪われた地域を奪還した模様です。尚、元々の国境線に砦を建設し軍を駐留させるも、それ以上の進軍の意志は無いことがガイウス・オブ・ルーキウス国王の名で発表されました!」
ディアナとベアトリーチェは、ほっと胸を撫で下ろした。あの後の事が気になっていたのだ。
「甘いな…」
「ええ、そうですね。ルーキウス国王の判断は甘い」
「!?」
メディナ国王と皇太子の言葉に、二人は「なぜですか?」と、問いかけた。
「潰してやった方が国民の為。そう云う国も存在するのだ」
メディナ国王は言う。皇太子も頷いた。




