第67話 レベッカ・バートン4
「あなたが、本当に『聖女』と言うのなら、力を見せなさい!」
マルティナはレベッカをストラトスに連れ出した。ストラトスの城内にある避難民保護施設で、避難民の怪我を治療したり傷ついた心を癒やす為に、騎士団と一緒にルーキウスからあの道を通ってやってきたのだ。
「なんで私が…」
レベッカはマルティナに叱られ、渋々治療を始める。かすり傷程度しか治せない低級ヒールでも「疲れが癒えたよ、ありがとう」と笑顔を返してくれる人もいて、レベッカは嬉しく感じた。魔力量だけは高いので次々にヒールをかけて行く内に、回復魔法のレベルが上がり回復量も増え、かすり傷を跡も残さず治療できるようになっていた。
そんなレベッカを見てマルティナは、「言われている程ではないのかも?」と期待した。
「レベッカ、上手く出来てるじゃない」
「ありがとうございます。途中でレベルが上がったみたいで、発動もよくなったようなんです」
避難民の治療が完了したのでトルク側に異動する旨をストラトス国王に報告しようとした時、城の中から国王が3人の若者を連れて出て来た。
「マルティナ殿、出発前に紹介しよう。こちら、メディナ王国の皇太子アイマン殿と…」
「…レベッカ?」
マルティナの後に隠れる様に立っていたレベッカに気付いたディアナは声をかけた。
「お仕事、頑張ってるんだね。元気にしてるようで安心した」
だが、レベッカは押し黙ったまま返事をしなかった。そんな様子を察して、マルティナが話をそらせた。
ベアトリーチェのダンジョン発見やディアナのグリーンアナコンダ単独討伐、ルーキウスとストラトス・トルクの併合などに話を移す。
「併合の件は驚きました。しかも、一夜にしてルーキウスとの通路ができるなんて。でもおかげで、こうやって往来ができるので、助かります」
「全て、ディアナのおかげなのじゃ。彼女がいなければ成しえん事で、トルクも救えなかった」
ディアナを絶賛する国王達の話に、レベッカの中でふつふつとした何かが湧いてくる。
「相変わらず、王族に取り入るのが上手なのね。いやらしい」
レベッカはディアナに嫌味な言葉を放った。
「は?何言ってるの?」
ベアトリーチェがレベッカに言い返す。
「だってそうじゃない。珍しいスキルを、これ見よがしに王族の人達の前で使って、ちやほやされて。下心無しで、そこまでやれるものなの?こんなに計算高い女に騙されてる人達が可哀想…」
「レベッカ、騎士団の方に行ってなさい」
その後姿を見ながら「お見苦しいところを」とマルティナが謝る。
「なぜ、マルティナ様が謝罪なさるんです?」
アイマン皇太子が問う。マルティナはレベッカを監督する責任があると答えた。そして、ベアトリーチェはアイマンにレベッカの素性や、これまでにあったことを説明した。
「要するに、レベッカ嬢はディアナ嬢に劣等感を抱いていて嫉妬し、それがこういう形で現れてしまうと…?」
「承認欲求なのでしょうね、『誰か私を見て』『誰か私を愛して』そう云う気持ちが強いのだと思います」
アイマンとマルティナは納得した。
「ですが、彼女は間違いなく『聖女候補』の称号持ちなのです。どうか、彼女を大切に育ててやってください」
ディアナはマルティナに懇願した。
「わかりました。やれるだけの事はやってみます」
そして、ディアナ達はメディナ王国へ、マルティナ達は騎士団と一緒にトルクへと向かった。
メディナの皇太子様イケメンだったなぁ。
なんで、ディアナにばかりいい出逢いがあるんだろう?
ディアナが冒険者でフラフラしてるから?
じゃあ、私も教会から逃げ出しちゃう?




