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第65話 すまん、つい…

 「ディアナだな?ディアナがやらかしたんだな?」

 「お察しの通りです…」


 マルティナが帰り、応接室に差し向かいで座る国王が二人。

 ベアトリーチェは、自分がここにいてもいいのか?と宰相を振り返った。


 「ストラトス国王を連れ帰ってもらわねばなりませんので」


 と言われて、仕方なくその場に残る。


 「アンドレアよ、トルクに派兵する気はないか?」

 「そ、それは…」

 

 トルク王国にコレと言った産業はなく、ほぼ自給自足で成り立っている国である。しかし、この十数年に及ぶ隣国ビーツとの争いで疲弊していた。国民の他国への避難は毎日数十人を数え、おそらく今は国王と兵士しか残ってはいないのではないかとさえ言われている。

 ストラトス王国とトルク王国は、現国王同士が幼馴染で学友だった事もあり、国境を無くしても良いと云う位の同盟国である。また、婚姻関係によりストラトス王国の同盟国となったルーキウス王国は、トルク王国とは同盟こそ結んでいないものの、ストラトス王国を挟んだ友好国であるのは間違いない。


 「他国同士の争いに介入するのは、ちょっと…」

 「嫌か?」

 「嫌と言うよりも、嫌がられるのでは無いかと。だから、支援のみに徹していたのですが…」

 「なぜ、嫌がられると思うのだ?」

 「他国から兵が出張ってきて『守ってやったぞ!』と言われたら、その国の人達のプライドが保てないのでは無いかと。復興が必要ならばいくらでも支援は惜しみません。ですが、復興を成し遂げるのは、その国の人達の手で成されなければなりません。『自分達の手で成し遂げた』と言うことが、その国の誇りになると私は思っています」

 「そうか、わかった。ならば、トルクとストラトスがルーキウス王国の一部になるとしたら、どうじゃ?」

 「は?」

 「いずれそうするつもりで、トルク王と話し合って調印の書類を作成しておったのじゃ」

 「いったい、いつから…」

 「10年前じゃ、でもトルク王を慕う者も多く、逆に混乱を招きそうじゃったのでな、書面だけ作って保管しておいた」


 その直後、王城の小会議室でストラトス国王を含めた緊急会議が開かれた。

 その間にベアトリーチェは、グラディウス商会に戻りディアナを捕まえた。


 「ディアナ、ストラトスの城とルーキウスの城を繋いで!」

 「へ!?」

 「トルクが陥落する前に、ルーキウス王国がストラトスとトルクを吸収し、派兵するって話になってる。取り敢えず、王城の小会議室まで来て!」

 「ミレーネ王妃に会いたくて行ったんじゃなかったのか?」


 侯爵も驚いて、書類をバラ撒きながら立ち上がった。


 「転移!」


 ディアナとベアトリーチェは二人して、王城の小会議室に転移した。


 「おわっ!?」


 一同が驚く中、ゴツン!とディアナの頭に国王のげんこつが降りてきた。


 「ディアナ!スキルや魔法を使う時は注意しろとあれ程言っただろうが!!」

 「…ご、ご、ごめんなさい…」


 痛い頭を抑えながら涙目になったディアナの頭を国王が引き寄せ、チュッとひとつキスを落とした。


 「すまん、つい…」


 国王とディアナ以外の者は、一瞬だが固まった。

 誰しもが「陛下はこんな事をする人だったか?」と思った。


 「ディアナ、まずストラトス城の執務室への道を開けてくれるか?」

 「はい」


 言われたとおりに、道を繋げた。

 

 「おぉ」


 という驚きの歓声と共にストラトス国王が自分の執務室に戻り、鍵のかかった机の引き出しから4枚の書類を出した。そしてストラトスの宰相を伴い、ルーキウス王国側に戻って来た。


 「道は、これからも使うだろうから、そのままにしておいてくれ」

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