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第59話 文字化け

 ベアトリーチェは国王と王妃に、第一王女メラニアと会い、直に会話し触れ合った事を報告した。

 「会えた」「抱きしめあった」それだけで、国王と王妃並びに宰相が涙を流し喜んだ。


 「お姉様は、お母様似のとても美しい方なのですね」

 「そうだろう!生まれた時、豊かな金色の髪、海のような青緑の瞳を見て、咄嗟に『メラニア』と名前をつけたのだ」

 「誰か有名な方の名前なのですか?」

 「『メラニア』というのは、この大陸のリベラ辺りでつけられる名前でな、地域が変わると『ミレーネ』と云う呼び方になるんだ」


 「え、そうなの?」と王妃が国王を振り返る。ミレーネ王妃も初耳の話だった。

 宰相がぷっと吹き出し「陛下が、ミレーネ様に一目惚れした当時を思い出しますなぁ」と笑いながら言った。国王は顔を赤らめ「クレイトス、やめろ。恥ずかしいだろうが…」と手で顔を覆う。

 ベアトリーチェは、父親の事を誤解していたかも知れないと思い始めた。「国王」と云うのが職業とするならば、これまでベアトリーチェの目に映っていたのは「国王100%」だった。そこには、「父親」とか一人の男としての「アンドレア」とか無かった様に思えたが、自分が気づけなかっただけなのかと。そして今、メラニアに向けた「父親」の顔と王妃に向けた「夫」の顔を見せたのだと感じた。


 「何にしても、メラニアと触れ合う事が出来た事は、良かった。冒険の合間でいい、時々会いに来てやってくれるか?」

 「もちろんです」

 「して、あの魔石の事は何か判ったのか?」

 「それが…」


 「ブラックホール、嫌なものいらないものを吸い込む、宇宙にあるのと一緒」という答えをそのまま話す。おそらくこれを理解できるのは、この場では宰相とベアトリーチェだけである。


 「私達が住んでいるこの場所も、幾万とある宇宙の中にある星のひとつです。ブラックホールは、その星々や宇宙に漂うゴミを吸い込んでいると言われてるのですよ」


 宰相の説明に国王と王妃は身を乗り出した。


 「吸い込まれたものはどこに行くの?」

 「わかりません」

 

 王妃の質問に答えた宰相は更に付け加えた「それが本当なのかどうか調べる程の技術がまだ無いのですよ」と。

 ベアトリーチェは、前世で死ぬ直前に見たニュースを思い出した。


 「私が転生する前に、どこかの機関が『ブラックホールの撮影に成功した』と、写真付きで報道していたから、確かにそこにあるのでしょうけど…でも、この魔石がダンジョンの入り口に掛けられた結界や隠蔽魔法を吸い込んだのは事実です」

 「それに関しては、軍務卿や魔道師団長から報告が上がってきておる。そのブラックホールとやらの知識があると云うことは、メラニアは転生者なのか?」

 「私も疑問に思い、ステータス鑑定並びに人物鑑定をかけてみました。ですが…何も判りませんでした」

 「は?何も出なかったワケではあるまい?」

 「えぇ、出るには出たのですが文字化け…いや、記号の羅列で意味が判らなかったのです」

 


【名前】メラニア・オブ・ルーキウス

【種族】人間

【年齢】20歳

【性別】女性

【職業】★☆*

【称号】第一王女

【魔力】∞

【魔法】 ✳+?✕

【スキル】△◎▼●


 ベアトリーチェは見たままを紙に書いて見せた。国王は手に取り首を傾げた。王妃も同じように首を傾げたが、宰相が「う〜ん…」と唸り声をあげ言った。


 「この記号の配列は、ディアナ嬢のステータスにある記号と、全く同じ配列だと思うのですが…」

 


 「ディ、ア…ナ…は、つぎの…★…☆…*…」


 メラニアの寝言を聞いた侍女は、メラニアの頭をなでケットをかけ直した。


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