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第54話 グリーンアナコンダ

 「お父様、相談したい事があるのですが」


 ディアナは黒い森から戻り、グラディウス商会の支部長室を訪ねた。


 「先程グリーンアナコンダを仕留めまして」

 「ぶほっ…グリーンアナコンダだと!?」


 グリーンアナコンダとは、黒い森に生息する中では最も凶暴な爬虫類系魔獣として知られている。成体ならば、その体長は30メートルを超える個体も発見されており、時として人間を馬車や家ごと丸呑みにする事もあるらしい。だが、その鱗は発色の良い鮮やかな緑色で、穿いだ皮は鱗と共に鞄や靴などの革製品に加工され、貴族様垂涎の商品となっている。


 「黒い森に転移したら、たまたまそこがグリーンアナコンダの巣だったっていうね、あはは」


 侯爵は立ち上がりディアナの前に立つと、ディアナの頬を思い切り平手打ちした。ディアナはよろけたが、腕が伸びてきて引き寄せられ、侯爵に抱きしめられた。


 「もう、危ない事はやめてくれ。お前が居なくなるなど、私には耐えられんのだ」

 「心配かけてごめんなさい。でも無理!」

 「そ、そうか、無理か…じゃあ、できるだけ…?」

 「できるだけ…でいいのなら」


 中々に、不毛なやり取りである。グリーンアナコンダの確認のため、商会の中にある最も大きな部屋である大広間に移動する。グラディウス商会では、時々パーティが開かれるので、一棟丸ごと作ったと云う。


 「ディアナ様がグリーンアナコンダを仕留めたんだって」


 との噂が広がり、大広間に到着した時は100人位の野次馬が集まった。ディアナはインベントリから、グリーンアナコンダを引きずり出した。


 「おぉーー!」


 建物が揺れる程の歓声が上がった。長さ約50メートル。剣を突き立てた頭以外に傷はなく、最も濃い緑色をした頭部から尻尾にかけて、緩やかなグラデーションになっていた。


 「美しいな。で、これをどうしたい?」


 侯爵に尋ねられた。


 「オークションにかけたいと思います」


 解体倉庫で「オークションなら倍の値段になる」という話を聞いて、一度オークションを経験したいと思っていたことを打ち明けた。

 侯爵の話では、鱗1枚でも金貨30枚は下らないと云う。眼球や肝は薬の材料に、牙は武器の材料に、肉も高級食材だと云う。


 「解体してからの方がいいのでしょうか?」

 「いや、間違いなくグリーンアナコンダだという事を見せるために、このままがいいだろうな」

 「お父様、手続きなどオークションに関する事全てのご助力を頂きたい」

 「あぁ、勿論だ。だが、手数料はもらうぞ」


 ディアナは了承して、グリーンアナコンダをインベントリに戻した。

 そのあとは、侯爵や法務部による手続きに同行し、何度も商業ギルドを訪れ、その手順を頭に叩き込んだ。

 その最中、ベアトリーチェがダンジョンを見つけたという一報が入った。

 そして「オークションにグリーンアナコンダが丸ごと出品される」と云う噂は瞬く間に広がり、国王の耳にも入った。


 「ベアトリーチェのダンジョン発見といい、ディアナのグリーンアナコンダ討伐といい、あやつらやってくれおるわ」

 

 グリーンアナコンダのオークションは、厳重な警備の元にグラディウス商会の大広間で行われる事になった。

 国外からの参加者は10日後のオークション開催日迄の到着が難しいだろうと思われるが、王都に店や出張所を持つ商会は「見るだけでも」と参加を希望し、王都に駐在する他国の外交官は本国から「必ず競り落とせ」との命を持って参加を希望した。

 10日間の間に続々と王都に国内外から人が集まってきていた。鑑定具による人物識別もよく作動している様で、多くの盗賊の類を捕える事に成功していた。

 そして、開催日当日。グラディウス商会の私兵や騎士団、冒険者ギルドが雇った高位冒険者達が警備にあたる中、オークションが開催された。


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