第47話 誰のモノだったのかしら?
ラルフの店で装備品を揃えてはいたが、ズボンが白いタイツタイプしかなくそこに不安があったので、迷彩服を入手できたのは有り難った。本当は無くても構わないんだが、あの上に革鎧を付ければ、それなりに見えるだろう。
「でもアレ、誰のモノだったのかしら?」
今日中に宝物庫の整理をしたいという国王の言葉に、二人も加わって片付けながら推測する。
「あの階級章とか●●師団とか書いてあるのを見ると、自衛隊員で間違い無さそうね?」
「う〜ん、それかサバゲーマニアか?いずれにしてもサイズから察するに女性である事は間違い無いと思う」
その話を聞いていた宰相があることを思い出した。
「確か、第15代国王の側妃様が転移者だったような記憶が…」
「あぁ、その話か?」
国王の話によると、近衛兵団の訓練場に転移者が現れ保護したが、あまりの錯乱状態にあったため、王妃がつきっきりで介抱していたらしい。「側妃」というのはただの噂で、決してそのような関係ではなかった。転移者の精神状態が落ち着くまでに1ヶ月程の時間を要したが、一旦落ち着いてしまうと「保護してもらった事」に礼を言い「働きたい」と意欲的な様子を見せた。転移前の仕事で、結構厳しい訓練を受けており、体術のセンスが抜群に良かった事から、王妃の警護を担う事になった。
「あぁ、確かに女性の護衛がいると助かりますよね」
「そうそう。お風呂場とか寝所とかね?」
「王妃様にうかつに触れられませんからね」
ある日、市井の視察に出た際に豪雨に遭い、馬車が転倒し前に進めなくなってしまった。そんな中、その女性だけがテキパキと動き、天幕を作って王妃を避難させ、馬車を修理し隊列を立て直した。
この功績によりバロネスの称号を頂くが、それに慢心することなく王妃の護衛を続けた。そして「水捌けの良い道路整備」の案を出した。試験運用した結果に有用性が認められ、国内全域を整備する事になった。次いで、「住居用の区画整理」を行い街を活性化しつつ、浮浪者などの一時保護施設の建設と両ギルドと連携した仕事の斡旋に乗り出した。これにより、浮浪者の数は圧倒的に減り、低所得者層向けの集合住宅も作られ、街の治安も改善された。
その功績により、子爵に陞爵される事となったが、その式典の最中に皆の目の前で忽然と姿を消した。
「自衛隊員で間違いなさそうね。戻れたのかしら?」
「そうであって欲しいな。その人の名前は?」
「確か、リサとか言う名前だったかと…」
「リサさん、大事に使わせてもらいますね」
ディアナとベアトリーチェは、迷彩服を手に祈った。
途中で食事休憩を挟みつつ夜9時頃迄作業し、やっと終わった頃に大公と侯爵が迎えにやって来た。
「何か掘り出し物はあったのか?」
「そりゃもうザクザク!」
「前国王が書いた愚痴だらけの日記とか」
「23代目が描いたとされる、4コマ漫画とか」
「大爆笑だったよね〜」
「国宝と呼べるのかどうなのか?って部分が面白くて、ついつい手が止まっちゃって」
「あんな物を宝物庫に保管されるって、不憫だと思うよ」
「でも、これが手に入って良かった」
「うん」
迷彩服と安全靴を見せた。
「そんなにいいものなのか?」
「うん。縫製が得意な人に一式渡して、普及させて欲しいよ」
「まず、森や洞窟に馴染みやすい色に柄、汚れが目立たず動きやすい」
「過酷な洗濯に耐えられる厚手の生地」
「ポケットの数が多いのも魅力だね〜」
「私達は、収納スキルがあるから不自由はしないけど、このポケットは使い勝手がいいよね」
「もし、よければ一式くれないか?」
侯爵に一式渡したあと、同じ型の物が出回るのは約5年後の話。




