第45話 冒険者登録完了
「昇降機見せてもらっていい?」
「はい。こちらです」
ガコン!と手動で上下に扉を開き中を見る。奥に長い長方形の箱型の部屋。手動で車輪風の取手を回すと、滑車が回転し綱が巻き取られたり解けたりして、箱が上下に移動する。井戸に近いが、確かにエレベーターだ。解体場の職員に聞いてみる。
「オークとか、大変じゃない?重さ、耐えられるの?」
「結構、苦労してますよ。場合によっては、上で半分に切り分けて降ろすとかしてますけど…ところで、お嬢様どちら様?」
「あ、ごめんなさい。ディアナ・グラディウスです。本日、冒険者登録に参りました。以後、お見知りおきを」
今までの会話とは全く違う様相を見せるディアナに、一同面食らっていた。
「グラディウス侯爵のご令嬢って、新しい鑑定具を作った?」
「はい。その鑑定具のディアナ・グラディウスです」
解体場が一斉にざわついた。
「あんた、若いのに凄いなぁ」
「いやぁ、でも10年かけてやっとですからね〜」
「10年って、始めた時はあんたガキんちょだったろ?」
と、男は指を丸めてCの字を作った。
「やだ、それ何のサイズですか!その大きさなら、私はまだママのお腹の中ですよ」
「違えねぇ!」
「お貴族様の娘とかどんなだよって思ってたけど、アンタ面白いな」
ディアナは、ニコっと笑った。
「昇降機が気になるか?」
「えぇ。私ね、キングサーペントやシルバーサーペントも収納に入れっぱなしなんですけど、あのクラスの大きさになると、ぶつ切りにしなきゃ昇降機に乗せられないなぁと思って」
「どえらいモン倒したんだな。見せてみな」
ディアナはインベントリから、ズルリとキングサーペントを出した。「うおぉ」と声がする。
「ほぼ無傷じゃねえか!」
「皮が売れると思って、脳天突き一発でいきました」
「ヒュー。これ程キレイだと、確かにぶつ切りにすんのは嫌だな」
「でしょ?新しい昇降機、作ってみようかなぁ…」
せっかく出したんだからキングサーペントも置いて行けと言われ預り証と交換し、ディアナはギルマスの元に戻った。
「お待たせ致しました」
ギルマスが使いに出していた職員が宰相を伴って戻ってきた。
「確認だけすればいいものを、なぜわざわざお呼び立てしたんですの?」
ベアトリーチェが怪訝な表情で言う。
「いやいや、こちらがあなた方二人に用があったのですよ」
宰相クレイトスがニッコリと微笑み、そして国王の封蝋のついた書面をギルマスに渡した。
「お二人の冒険者登録許可証です。他に知られるとマズいので読み終えた後は、私の目の前で処分して下さい」
ギルマスが封蝋を取り書面を広げ、目線を動かす。そこに何が書かれてあるかはわからないが、途中から驚く様子が見てとれた。読み終えたあと、はぁ…と溜め息をつく。
「解りました。お二人の冒険者登録を承りました」
そして書面は、宰相の目前で燃やされた。
そこに副ギルマスが鑑定具を持って現れ、その場で登録をする事になった。
「確か、銀行口座の開設も希望しておられましたな」
「はい。ひとつ質問があるのですが、個人の口座の他に、パーティの活動資金の口座を持つ事は可能ですか?」
「はい、可能です」
「では、それもお願いします」
「パーティ名は何に致しますか?」
「アイアンメイデンで!」
すかさずベアトリーチェが言い、ディアナが口を挟む間もなく登録されてしまった。
二人は、住民・冒険者・商業に✔点が付いたカードをそれぞれ受け取り、パーティ用銀行口座のみのカードを1枚受け取った。
「これで、登録は全て完了致しました」




