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第40話 はじめてのおつかい5

 ベアトリーチェのウィップに改良を加え、グリップに魔石を埋め込む穴を作った。その穴に自分で作った無属性の魔石をはめ込むと、スッと馴染んた。


 「これで属性の発動が早くなるハズだ」


 同じ様に、ミスリルの剣にもディアナが作った無属性の魔石をはめ込んだ。すると、それぞれの武器に奇妙な機能がついた。


『ミスリルウィップ:ベアトリーチェ専用

 ベアトリーチェ以外の者が使うと壊れる。』


『ミスリルの剣:ディアナ専用

 ディアナ以外の者が使うと壊れる。』


 「ぶほっ!」

 「魔石が異様に馴染んどったからなぁ」


 マリアンヌに依頼した指輪も、もうすぐ出来るらしいので、装備品の会計を済ませることにした。


 「ウィップが金貨700枚、剣が金貨2000枚の計金貨2700枚。防具はサービスだ」

 「え?それは悪いわ」

 「いやいや、高い武器を買い取ってもらったんだ、これ位はさせてくれ」

 「じゃあ、そのお礼と言っては何ですが…」


 二人は炎属性の魔石をそれぞれ20個ずつ出して、ラルフに渡した。


 「これは、あの炎の魔石か?」

 「そうです。使って下さいね」

 「ありがとよ」


 丁度その時、指輪も仕上がったようでマリアンヌが、ベアトリーチェの手を取り指に嵌めようとして吹き出した。


 「なんか、結婚式みたいなんですが…」


 一同を笑いの渦に巻き込んだ。

 台座や指輪にミスリルを使用し、石の色と台座の色が少しグラデーションの様に見えて美しい仕上がりになっていた。魔石を取り囲む様に配された彫金の柄が回路図となっているらしい。

 ベアトリーチェは、魔石に軽く魔力を流し結界を展開させた。あっと云う間に、店を覆う程の結界ができ小さくなりながら、ベアトリーチェの体サイズに収まった。


 「「凄い!!」」


 ベアトリーチェは、指輪の加工代金金貨50枚にミスリルの代金金貨300枚を合わせて支払った。


 「こんなに頂けるんですか!?」

 「命を守るもんを作ったんだ。もらっとけ!」

 「ありがとうございます」

 「こちらこそ、いいお買い物をさせて頂きました」


 こうやって、二人の「はじめてのおつかい」は終了した。

 帰宅したディアナは、侯爵から何を買ったか尋ねられ、装備品の話をした。すると「ミスリル自体が高額なのに、その機能でその値段はかなり安い」と驚かれた。やはり、お友達価格のようになってしまっていたか…と。周辺国ではミスリルの武器さえそうそう持てるものじゃないと聞いていたので、自分達が払える金額で入手できたのは、かなり幸運だったとディアナは思った。


 「お父様…」

 「ん?どうした?」

 「装備品を買って見て解ったのですが、相場価格がわかりません」

 「だろうな」


 侯爵は、ディアナに10枚程の紙の束を寄越した。


 「それには、現在グラディウス商会で取り扱いのある一部商品の相場が書かれてある。上物であればそれより上に、下級品であればそれより下に修正して買い取る。それを見ながら、明日の午後の買い取りに同行してみるか?」

 「はい、是非ともお願いします」

 

 その夜、ベッドに入ってからディアナはある事を思い出した。今日、幸運にも自分とベアトリーチェは、いい装備品を入手できたが、レベッカはどうする?彼女にもそれなりの装備品を仕立てなければ、何もかもがレベル1の彼女が冒険者活動をするのは厳しくないか?と。明日、自分が価格調査をしている間にベアトリーチェにレベッカの装備品の件を任せようかと考えた。

 ところが翌朝、学園でその話をするとベアトリーチェは拒否した。


 「あの娘と二人っきりだなんて、御免こうむりたいわ」

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