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第34話 だから、金貨1枚っていくらなの?

 ゼノンの遊学出発日、ディアナとベアトリーチェは王城での見送りに参加した。下宿先がリベラ共和国の首都プロイスにあるグラディウス邸と云うことで、レオナルドも同行する事になった。


 「本当は、もっとディアナと話したい事がたくさんあるんだけど、仕方ないよね。冒険者になったら、プロイスにも来てね」

 「お兄様、今日はゼノン殿下のお見送りに来てるのに」

 「あぁ、そうだったね〜」

 

 心なしか、ゼノンが不機嫌そうな表情を見せた。

 

 「殿下?」

 「行ってくる」

 「はい。いってらっしゃいませ」


 たった一言だった。


 「なんか、また頭の中でぐるぐるさせてるんでしょうね。気にする事はありませんわ」


 ベアトリーチェが言う。

 だが、ディアナには思い当たる節が無いこともない。婚約発表のあの後、突然自覚した国王陛下への想いに戸惑いつつ、それを払拭するために「ホストAI」製作に没頭し、ゼノンの事を放置していたのだから。

 役所に冒険者ギルドと商業ギルドが引っ越して、新しい鑑定具が設置された。その冒険者・住民登録第一号がゼノン達5人になった。

 大げさにしたくないと言うゼノンの希望で、出立パレードは取りやめになり、極僅かの近衛兵団と騎士団の護衛のみで正門に向かった。


 「なんだか、素っ気無かったですわね」


 ミレーネ王妃の言葉に国王は「そうだな」と返事をした。


 その後、侯爵に呼ばれてディアナとベアトリーチェは、グラディウス商会王都支部を訪れた。クリエで供出した炎の魔石の代金が出ると言う話だった。支部長室に入ると、クリエの副支部長ルッツもいた。


 「お久しぶりです、お嬢様方。鑑定具の件、凄い事になってますね。あのときは、知らぬ事とは言え失礼致しました」

 「いえ、こちらこそ」


 3人の挨拶が終わるのを待って、侯爵が口火を切った。


 「炎の魔石の代金の事なんだが、1個金貨40枚の850個、合計金貨3万4千枚で精算させて貰う事になった」

 「え?1個金貨10枚なのでは?」


 クリエの副支部長ルッツの説明によると、鍛冶に炎の魔石を使う場合、魔石から炎属性の魔力を引き出す魔道具を使うのだそうだ。その魔道具には爆発防止の為に、一定量以上の魔力が放出されないようストッパーが付けられているが、天然の魔石を使用した場合爆発することもあれば、火力が全く上がらない事もあるのだとか。それに比べ、今回供出した炎の魔石は火力も十分ある上に出力が安定していて、従来の5〜6倍の時間長持ちしたらしい。そのおかげで、用意した魔石の半分も使用していないのだが、継続して購入したいと鍛冶屋及びクリエ支部からも依頼があったのだと言う。


 「わかりました。高く買い取って頂けるのは嬉しいです」

 「それと、宮島鉄工所で使用している雷属性の魔石も、1個金貨40枚の千個で、金貨4万枚」

 「あ、それもあるのか…」

 「いや、まだあるぞ…」

 「鑑定具に使っている無属性の魔石が1個金貨30枚の千個で金貨3万枚、印刷のスキルを付与した魔石が1個金貨千枚の千個で金貨百万枚、鑑定のスキルを付与した魔石1個金貨千枚の千個で金貨百万枚」

 「え、え〜と…?」

 「しめて、金貨210万4千枚だ」

 「!?」

 「これだけじゃない。ホストAIも予約が入ってる。が、値段を決めかねててな…」

 「す、す、すみません…私、とんでもないモノを作って…」

 「まったくだ…」


 ディアナとベアトリーチェは、顔面蒼白となった。

 今後の魔石作りは、依頼が入った時のみ作成となった。冒険者になってから各支部に立ち寄り、依頼を受けて欲しいとの事だった。

  

 「だから、金貨1枚っていくらなの?」

 「金貨1枚は、金貨1枚なんじゃないの?」

 「…お前達、何を言ってるんだ?」

 

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