表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/270

第29話 鑑定の魔道具5

 一行に工場長も加わり、エルの案内でアルミニウム工場の中に入った。エルがマメに掃除をしてくれていたのだろう、空気の淀みもなく、埃が舞うこともなかった。

 そして、ドアをいくつか開けて長く重いのれんをくぐると「あっ!」と叫び声を上げる位に圧倒された。

 そこには、日本でもよく見られた精錬用の機械、その向こうには加工用の工作機械まであった。

 小走りで近づいて、機械に触れる。


 「起動スイッチはここ…動力源は、雷の属性の魔石だわ!」

 

 ベアトリーチェはスイッチを入れた。ウィーンと音を立て、ゆっくりと動き出した機械は、次第にスピードを上げ始め一定の速度で安定した。機械類が使える事を確認して、スイッチを切った。隣の部屋には水道が引かれた水場があり、足元には排水溝まで作られている。2メートル四方位のプールは、おそらく水酸化ナトリウムでの下処理用だろう。一連の作業が流れ作業でできるように、部屋の仕切りなどにも工夫が見られた。

 

 「ディアナ様、こちらへ」


 エルに促され入った部屋には、いくつもの薬剤や原料となる鉱石のサンプルが綺麗に整理されていた。そして、たくさんの図面と共に金属精錬のレシピと、宮島の日記らしき物も見つかった。その他に原料庫にもたくさんのボーキサイトがあり、出来上がったアルミニウム板もその隣の部屋に湿気を帯びないよう防水布にくるまれて積み上げられてあった。一山で100kgあるだろうか?その山が10個。


 「これ、鑑定具の金型だと思うんですけど…」


 エルは金型と一緒に、鑑定具の組立図も持ってきた。組立図があるなら、話はもっと早い。パーツもここにあるはずだ。


 「宮島さん、鑑定具を量産するつもりで準備してたんだね、きっと…」


 後に、宮島の日記から判明するのだが、彼はこちらの言葉が全く解らなかったらしい。転移後、当時のグラディウス商会長に保護され、働きながらどうにか喋れるようにはなったものの、読み書きは全くダメだったと。

 だから、宮島が遺した資料は全て日本語で書かれてあるのかと納得した。

 そして、だから「アルミニウム」は放置されていたのだと。


 「工場長、このアルミニウム工場を私に預からせていただけませんか?使用料は支払います。使った薬剤や原料代も払います。既に出来上がっているアルミニウムの代金も支払います。宮島さんが作りたかった物、私に作らせてください」


 ディアナは頭を下げた。ベアトリーチェも横に並び同じ様にした。


 「わかりました。侯爵様には必ず報告して下さい。人員が必要ならば、遠慮なく仰言ってくださいね」


 快諾が貰えて安心した二人はへなへなと崩れ落ち、泣いた。

 泣いたついでに、アルミニウム工場にエルを助手としてもらった。図面や資料は、こちらの言葉に翻訳していずれはエルに渡すつもりだ。最終的には、エルにアルミニウム工場の全てを任せたいと思っている。出来ることなら、優秀なリサイクル素材としても扱えるように、処理方法も一緒に考えて行きたい。

 やりたいことも、やらなければならない事もたくさん有り過ぎて、身動き出来ない時があるよなぁ…そう思ったディアナは、ある暴挙に出る。


 「ねぇ、この工場と王都の工房をくっつけちゃってもいい?」

 「は?」

 「えっとね〜こんな感じ」


 ディアナは空間魔法で、アルミニウム工場の資料室と王都の工房の隅を繋げた。


 「!?」


 人が一人通れる位の隙間ができた。その隙間から王都の工房の職人達がこちらを覗いてきた。


 「ディ〜ア〜ナ〜さ〜ま〜?」


 そしてやはり、こってり絞られるのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ