第27話 鑑定の魔道具3
ゼノンの話によれば、「規格外のステータスが表示される事が、他の生徒達に影響を及ぼす可能性がある為、誰もいない時に個別で行う様、国王陛下からお達しがあった」との事だった。そのお達しは自分でステータス開示ができる二人には、全く意味の無いものだ。だが、誰もいない時にじっくりと鑑定具の解析ができるのであれば、それに越したことはない。
その日、全ての新入生のステータス鑑定が済んだあと、ディアナはゼノンとベアトリーチェに付き添われて球体の鑑定具の前に立った。
「鑑定具を鑑定」
ディアナの言葉で、鑑定の魔導具自体のステータスが開示された。
『魔導具:ステータス鑑定
作製者:錬金術師 宮島達男(転移者)
材質:魔石1(無属性)
魔石2(無属性に鑑定スキル付与)
水晶玉(大)
精度:95%』
「ちょ、ちょっと待て!お前達は何をやってるんだ?」
「何って、新しい鑑定具を作るために、現存する鑑定具の解析をしてるのよ」
ディアナがまだ解析中なので、邪魔にならないようにベアトリーチェがゼノンの質問に答えた。
「解析終わった…てか、驚く程何も無かった…『付与』以外はね…でも、回路図は書ける」
学園から真直ぐ工房へと向かったディアナは、解析結果を基に魔導回路図を書き上げた。その回路図の隅に、製作者名なども書き込んだ。それをスーグに保管してくれるよう頼み、「付与」について尋ねてみた。だが、心当たりは無いと言う。
仕方がないので、グラディウス商会の情報網を使い『錬金術師 宮島達男』に関する資料もしくは、彼が作った魔道具が他に無いか調べてもらいながら、別の作業を始めた。
「う〜ん、素材が…プラスチック無いし…」
ベアトリーチェの頭を悩ませているのは、鑑定具の外部素材の事だった。『構造解析・設計』といったソフトウェアの部分をディアナが担当するかわりに、デザインなどハード部分をベアトリーチェが請け負う事になった。
固有スキル『鑑定』を『付与』する人物のレベルが鑑定具の性能に反映される事を前提で、準備を進めていた。
「ステータスにアイテム、人物鑑定にデータ蓄積もできる鑑定具なんて、国宝級以上ね?」
「グラディウス商会で売り出したいなぁ…ベアトリーチェにも開発料払わなきゃね」
「いずれは、マイナンバーや決済サービスも使えるようにする気なんでしょ?」
「うん。マイナンバーの方は、早ければ来年にもスタートする事になりそう」
「かなりハイスペックな鑑定具になるわね。タブレット型で、回転式のディスプレイをつけたいなぁ」
「あ、あのレジにあるような?あんなの作れたらいいな」
そんな二人の会話を聞きながら作業している職人達は、意味が解らないながらも「とんでもない物が出来ようとしている」事だけは理解した。
そこに、辺境地区にある商会支部から、錬金術師宮島達男が製作したアイテム鑑定用の魔道具が到着した。
「あまり精度が良くないので、使われずに保管してあったもので、これ一台限りです」
薄型で少し腐食が見られる白銀色の魔道具を受け取り、鑑定にかけると同時に構造解析を始めた。
『魔導具:アイテム鑑定
作製者:錬金術師 宮島達男(転移者)
材質:魔石1(無属性)
魔石2(無属性に鑑定スキル付与)
アルミニウム
精度:30%(レベル不足の為)』
「「アルミニウム!?」」
ディアナとベアトリーチェは、顔を見合わせ驚いた。
「作るのに大量の電気を必要とする効率の悪いものだけれど、加工しやすい・軽い・電力を通し安い素材だわ…」
ベアトリーチェは、新しい鑑定具の素材としてアルミニウムの魔力伝導実験をさせて欲しいと言い出した。




