第22話 私が守るから
大中小ある会議室の小会議室に案内されたディアナは、一度部屋に集まった人たちを見回した。
国王、王妃、第一王子、第二王子、オクタヴィア大公、ベアトリーチェ、宰相、軍務卿、近衛兵団長、騎士団長、魔道師団長、王立学園園長が長テーブルに着いていた。
「どうして、レベッカさんがいるの?」
ベアトリーチェが尋ねてきたので、仲間にする旨と国王の了承を得ている事を説明した。「仕方ないわね」位の表情でベアトリーチェは頷いた。だが、ゼノンが噛み付いてきた。
「大丈夫なのか?俺は彼女を信用できないんだが?」
レベッカの体がビクっと動いて固まった。ディアナはそんなレベッカの肩を抱き「大丈夫。あなたの事は、私が守るから」と安心させた。
「彼女は『聖女候補』の称号を持つ転生者です。」
会議室がざわついた。光魔法と回復魔法の同時発現から見ても、間違いなく彼女は聖女になる。と、ディアナは断言した。
だが、学園の訓練では卒業するまでに、レベルが2〜3上がる程度が関の山。教会に所属して回復魔法だけを使い続けても、浄化魔法は発現しない。浄化魔法を発現させるには、光魔法と回復魔法の両方がある一定レベル必要になる。
そこで、冒険者になって経験値を底上げし、学園を卒業する頃には『聖女』になった彼女を返すと国王に約束したことを打ち明けた。
『国王と約束した』と云うところが肝だ。
彼女が確実に聖女になる人材だと判れば、学園や魔道師団や教会もレベッカ確保に乗り出す事は目に見えていた。
だが、きちんと育成出来なければ、宝の持ち腐れだ。おそらく、今までに何人もの聖人候補を潰してきたのだろうと推測できる。だから、ディアナは国王と約束する事で、レベッカに手出しできないよう先手を打ったのである。
「皆さんが今日私に尋ねたいのは、属性魔法の派生、魔力量の増幅や魔石の有用性についての事でしょう?」
「そうだ、それだ。説明してもらえるか?」
軍務卿から説明を求められたディアナは、ベアトリーチェとレベッカにステータスを開示するように伝えた。
「まず、私達のステータスをご覧下さい」
開示されたステータスを見て、驚いた彼らは一斉に立ち上がった。
「何なのだ、この数字は!?」
ざわつく人たちを抑え、ディアナが説明を始めた。
『聖女候補』として転生しながらも、何の訓練もしてこなかったレベッカのステータスは、各属性の熟練度も、職業としての魔道士のレベルも1のままである。
そして、魔石に魔力を流し込む事を続け、魔力量増幅と元の風属性魔法から多くの属性魔法を派生させ、その熟練度を上げた、職業レベル1のベアトリーチェのステータス。
それから、魔力量・属性魔法・剣術・体術を上げ、実際に魔獣を討伐して経験値を得て職業レベルを上げたディアナのステータス。
それぞれの基本値に多少の違いはあれど、三者のステータスの差は一目瞭然だった。
「ディアナよ、お前には長い間、王都からの外出禁止命令を出していた筈だが?」
国王の鋭いツッコミに笑ってごまかすしかないディアナに、やれやれという表情を見せ「有用な情報をくれたので、そこは不問としよう」と言ってくれた。
実は、ディアナは皆が寝静まった夜中に転移魔法で王都を脱出し、王都の西側の国境沿いに広がる『黒い森』と呼ばれる森林地帯まで距離指定転移を使い小刻みに移動した。転移魔法は、一度行った事がある場所にしか使えないため、その方法を取らざるを得なかった。そして、そこで魔物討伐を行っていたのである。ちなみに、その時に討伐した魔獣の類はまだディアナのインベントリの中である。
「属性魔法の派生条件は、基本的に熟練度をLv.100まで上げる事です。ですが、必ずしも派生する訳では無いという事をご理解頂きたい。おそらく、適性があるか無しかに関わりがあると思われます」




