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第15話 ガイウス・オブ・ルーキウス 1

 「陛下、もう充分ではないですか…私達はずっとディアナに助けられてきました。もう、ディアナを解放してやってください」

 「ゼノン…」

 「婚約破棄することで、私が廃嫡されるのならそれで構いません。お願いします」


 ゼノンが頭を床にぶつけるように土下座する。そして、その隣に同じ様にミレーネ王妃が膝をつき、頭を下げた。


 「私からも、お願いしますわ。ディアナは、5歳の頃からあなたの執務の手伝いをし、本来ならば親兄弟に甘えたり、お友達と遊んだりと云う子供らしい事から遠ざけられてきたのです。」


 グラディウス侯爵も隣に膝をついた。無言だが、涙を我慢していることはわかった。


 「私が、間違いを犯したのだな…」

 「え?」


 ぼそぼそっとした言葉が続いた。


 「生まれてすぐに王太子に冊封され、王になる教育だけを受けてきた。誰もがかしづき、誰もが対等には扱わず。友達と呼べる者もいない。だから、他人の心の機微に乏しく、常識も知らない。これまでに、多くの者を傷つけてきたのだろうな…ディアナよ、すまなかった」


 国王がディアナに頭を下げて、謝罪した。


 「陛下!なりません!」


 宰相が叫んだ。だが、国王はディアナが「謝罪を受け入れます。どうか、頭をお上げください」と言うまで、頭を下げたままだった。


 第26代国王ガイウス・オブ・ルーキウス、幼名アンドレア。それが現国王である。なぜそうするようになったのかは定かではないが、代々の国王は戴冠式時に初代国王の名前『ガイウス・オブ・ルーキウス』の名を継いでいる。


 国の歴史を紐解いてみると、何代かおきの国王が転生者だったのではないか?と思われる改革が行われている。


 第1代目に奴隷制度廃止と冒険者・商業ギルド招致。

 第7代目には、戸籍制度。

 第10代目、農地改革。

 第15代目、公共交通網の整備と住居用区画整備。

 第17代目には、医療費の無料化。

 そして、歴代国王の中で最も高い評価を受けている第23代目は、税制改革と農作物生産者保護と相場の安定のための売買ルート確立と義務教育、そして特許制度だった。


 23代目が行った税制改革は、この世界の人には革新的だった。

 改革前の徴税は基本が5割で、領地の領主ごとに違っていた。5割の徴税の内、3割が国庫に納められる。差額は領主の懐に入るという寸法だ。

 例えば、農作物生産者が作ったものを5割以上徴収されれば、残りは自分たちが食べる分しか残らない。いわば自給自足の様な状態になるか、食うや食わずの状態になるかだ。

 その打開策として、全ての商取引の税率を1割と改め、生活に直結した食料品を、領主や商会が直接徴税したり買い付けたりする事を禁じた。そして、財務省と商業ギルドが手を組み市場を開設。農作物は全て市場に集められ、査定された。

 このことにより、農作物の出来不出来により売買値が変動する相場価格が出来上がった。生産者には、この相場✕数量から税率1割を差し引いた金額の現金が支払われた。これまで、領主や商会から買い付けていた小売業者は、市場から商品を買う事になり、購入時に徴税された。

 この事は、一部の領主や商会からの不評を買った。

 しかし、いざ商品として物が巷に出回り始めると、改革前よりも遥かに安い価格な上、品質の良し悪しで値段が違っても消費者が納得して買うことができるため、購買力は上がっていて物もお金もよく回っている。

 これを知った商会は、不評を撤回した。

 だが、自分の懐に入ってくるハズのものが入って来なくなった事に不満を持つ領主貴族は、国王に国外転出の願いを出した。国王は、その貴族達を引き止めるどころか「この国には不要な輩だ」とし、さっさと追放したのである。

 そして新しい領主として、改革の功績が認められた貴族や商会主を置いた。

 なぜ、貴族ではなく商会主を領主に?と云う疑問を宰相に投げかけられた23代目は、笑って「人材不足」と答えたと云う。


 「でも、グラディウス商会なら、何かやらかしてくれそうな気がするんだよなぁ〜」


 そして、それは的中した。

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