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土管

作者: 小南廿ふ

周りの世界が変わってしまった話。

高校一年生のとき、中学の同級生の友達と一緒に計七人で遊んだときがあった。

そのときの友達をA,B,C,D,E,Fとする。

皆違う高校だったから、久しぶりに会って興奮してたのよ。

まあ、サッカーとかバドミントンとか外で遊ぶ予定だったんだけど、友達の一人が「その前にかくれんぼやろうぜ」とか言い出して。いやいや、俺は高校生でかくれんぼはちょっと幼稚じゃないのとか思ったんだけど、町を広く使ってやるってことだから、なんか面白そうって雰囲気になって、悪ノリでかくれんぼをした。

鬼はAとCで、それ以外が隠れたのね。10分間隠れて、見つからなかったらまた同じ場所に集合しようって。

俺は公園の土管に隠れた。でも10分経っても見つからないから、俺は入ってきた穴とは逆の穴から出た。それで他の奴らと合流してね。でもどうやら見つかってないのは俺だけだったみたいだ。

「よし、これで全員だな。」

Aが言った。

んん?ちょっと待って。そこにはFが居なかった。

俺「おいおい、Fは」

D「誰だよFってw」

皆Eが居ないことを気にしてなくて。俺もその日はFと話してなかったから、俺も最初からFは今日は来てなくて、俺は勘違いしてたんだとそのときは納得してしまった。

で、その日はその後いろいろ遊んで、家に帰った。

その友達とはそれからあんまり会わなくなった。


その1年後ぐらい後。掃除してて中学の卒業アルバムが出てきて、それを見たらなんとFが居ない。

俺自身、すごく仲がいいわけではなかったのだが、存在は脳にしっかりと焼き付いている。

Fの存在を友人や親に確かめてみても、全く身に覚えがないという。

もう俺は何が何だかよくわからなくなった。Fが消えてしまった。俺がおかしいのか。

その日から俺は精神を病んでしまった。もうFのことは考えないようにしようと決めた。


それから3年ほど経ってようやく精神も安定してきたつい最近、中学時代にFらしき人物と連絡先を交換していたことを思い出した。このとき俺はFは初めから存在しなかったと考えるようになっていたが、断片的に中学の思い出は完全に失われていなかった。

中学当時使っていたケータイ。高1のときにつながらなくなってしまってとっくに使っていなかったが、充電したら電源がついた。

Fのことは考えないと決めていたものの、Fという存在は自分が作り上げた空虚の存在だということを証明したかったので恐る恐るケータイの連絡先一覧を見た。

(まさかな....)

「....は.....?」

そこにはFの連絡先がしっかりと記されていた。

「そんな...嘘だ…。」

俺は、最初はFが消えてしまったと考えていた。それから徐々にF

は存在しないと考えるようになっていた。しかし、ある別の考えが浮かんだ。

もしかして、俺が変わってしまったのでは…??

もともとFが生きている世界線に住んでいた俺は、あるとき、Fが存在しない世界線に迷い込んでしまった。もともとFが存在しない世界線に住んでいた別の俺は、Fが生きている世界線に迷い込んだのだろうか...。

ただ、一つ言えるのは、その"あるとき”が高校一年生の中学の友達と遊んだあの日。公園の土管を潜り抜けたあの瞬間だ。あのとき、自分のケータイをポケットに持っていた。つまり、このケータイがもともといた世界線からの所持品なわけだ。そして、土管を潜り抜けた先にはFが存在していなかった。

「うーん...」

すごくオカルトじみているが辻褄が合ってしまった。

もうすでにあの土管は撤去されている。開き直って生きていくしかないのだろうか。

もうすぐ成人式だ。


異世界転生をキーワードとして登録するか迷いました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] トンネルに限らず、ビルでも小道でも何でも良いから「門の形をした何か」を潜ったら、微妙に異なる世界、あるいは非日常の世界、隠れ里などになるのでは、というのは、雪国に限らず昔から多々ありますが…
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