4発目
跳んでます。
不毛な弁当押し込み合戦が終わった後…
「そういえばさ」
「ん?なんだ?」
「智哉ってどの辺りに住んでるの?ここから近いの?」
「あー、まあそうだなあ。最寄りの百本松駅から2駅だから近いと言えば近いのかな。」
「へぇー。彩ちゃんとか菊池くんも同じところなんだよね。百本松って降りたことないからわかんないけどどんなところなの?」
「うーん。特に個性がないところが個性…かな。」
そう、我らが地元・百本松は都会でも無ければ田舎でもない、良く言えば緑と調和している街、悪く言えば中途半端に発展した街なのだ。ちなみに各駅停車・準急しか止まらないため、交通の便も微妙なところではある。
俺たちが通っているこの花見台高校がある花見台の駅や街はかなり発展しているため、小さい頃に彩香の家族と共に訪れた時はまるで大都会に来た気分であった。実際鉄道も各駅停車から特急まで全てが止まる主要駅である。
成長するにつれて行動範囲も広がり、同じ東都都の湖袋や天谷、神川県の盾浜市や万葉県の万葉市、蟹玉県のかにたま市、かにたま新都心のような大都市を知ってからはそこまで大都会という印象は受けなくなった。
「じゃあさじゃあさ!今日の帰り案内してよ!私智哉の地元行ってみたいな!」
「個性がないって言ったの聞いてた?」
「生まれてからずっとそこに住んでるから魅力に気づかないだけかもしれないじゃん!私が智哉の地元のいいところ、見つけてあげる!」
「はあ…。まあ確かにな。分かった分かった。でも遅くならないようにはするからな。」
「やったぁぁぁぁ!ありがとう!智哉大好き!」
「調子のいいやつだな…そういえば、梨沙はどこに住んでいるんだ?」
「私?私は桜川駅だよ!」
反対方面か…。
桜川はこの花見台より都心寄りで急行も停車するそこそこ大きな駅だ。花見台の次に急行が停車する駅で、各駅停車だと6駅分くらいの距離がある。つまり百本松からだとそれ以上。
「な、なあ、やっぱ今週末の土曜か日曜にしないか?」
「え?土日も遊んでくれるの⁉︎やったぁぁぁ!」
あ。なんか小躍りしてる。かわいい。
じゃなくて、
「だからさ、今日は遅くなっちゃいそうだから、土日のどっちか朝から案内するよ。それでいいか?」
「うーん。まあ確かに最近遅い時間まで明るいとは言っても、危ないもんね……。わかった!でもその代わり、土日2日間を私にください!」
「うん。暇だからそれくらいはいいよ。」
「やったやった!ちなみにちなみに…今日、花見台の駅までだったら一緒に帰ってくれる?」
「元はと言えば今日で了承したしな…。いいよ。」
「智哉大好き!やった!3日間智哉とデートだね?」
「言い方が…まあそうとも言うのか…。」
クルクルピョンピョンピョコピョコと喜びの舞を踊っていらっしゃるのが可愛くて、訂正する気にもならなかった。
それにしたってこんなに「大好き」だとか「デート」だとか言われてしまうと…勘違いしてしまいそうだ。
跳んでました。
いただいたコメントなどありがたく読ませていただいています。ちなみに、梨沙や(と)智哉の掘り下げ・過去話などは後付のような形にはなりますがいずれ話の中などに入れていく予定です。
更新頻度は長くて3日間隔くらいで収めてのんびり最後までやれたらなあなんてことも考えていますが、やる気元気勇気などにより前後する場合があります。
ありがとうございました。