2発目
2発目と言いつつ、飛んできません。
その後は梨沙と他愛もない会話をしながら過ごしていたが、8時10分を過ぎると他の生徒もぞろぞろと入ってくる。
その中には勿論幼馴染・藤波彩香とその彼氏である親友・菊池輝樹もいた。
俺に気づいた2人はいつものように近づいてくる。その手は恋人繋ぎで繋がれていた。
嘘をついて2人きりにしたのは俺の感情は抜きにしても正解だったようだ。
「おはようございます。智哉くん。」
「おはよう智哉。学級委員の仕事とやらお疲れ様。」
2人して挨拶をしてくるので「おはよう」とだけ返しておいた。朝から見せつけてくれるじゃねえか。
なんて思っていると、輝樹は少し気まずそうに、申し訳なさそうにといった調子で話しかけてくる。
「智哉はおそらく彩香から既に聞いてるかもしれないんだけど…、 僕、彩香と付き合うことになったんだ。」
「おう、おめでとう。」
「うん。ありがとう…。それでなんだけどさ、もしかしてなんだけど僕と彩香が付き合ってるせいで智哉が気を遣って早く家を出た…とかあるかな…?」
「なんだそれ。そんな気を遣えるほど出来た人間じゃねえよ。」
嘘とは言えない嘘をついた。
気を遣ったというのも3割くらいはある。残り7割はカップルになった2人を見たくなかったからだ。
「そうか…ならいいんだけど…。じゃあ今日の昼はまたみんなで食べるのでいいかな?」
イケメンぶりを発揮しないでくれ。
「いやいや、2人きりで食いたいとかねえの?せっかくカップルになったんだろ?」
頼むから気を遣わないでくれ。
「いや、彩香と2人で食べるのも良いだろうけど、やっぱりみんなで食べる方がいいかなって話してて……」
「そうですよ智哉くん。私達に気を遣わなくてもいいんですから。」
お似合いのカップルすぎて吐きそうだ…。だが彼等の気の遣い方は間違えている。
「だって僕たち(私たち)」
やめてくれ。
本当に俺を気遣うなら
「親友(幼馴染)じゃないか(ですか)」
頼むから、カップルになったお前らの横で惨めな気持ちにさせないでくれ。
何かが爆発してしまいそうになった時、横から声が聞こえてきた。
「ごめんねー!彩ちゃん、菊池くん。今日の昼休みはちょっと智哉は私と一緒に学級委員の仕事があるからさ!昼休みいっぱいかかりそうだから、2人はお昼デートを満喫してよ!」
俺の異変に気づいたのか、梨沙が助け舟を出してくれたようだった。
「あ…ごめん智哉…僕もちょっと強引だったかな…。遠慮せず言ってくれたら良かったのに…」
「智哉くんも忙しいんですね。頑張ってください。」
2人はそう言うと、各々の席へと向かっていった。
そして残されたのは俺と梨沙だが……
「智哉の嘘つき…」
何故か梨沙は悲しそうな顔をしていたが、すぐに笑顔を作ると、
「ま!私も嘘ついちゃったし智哉と一緒だ!嘘つき同士、相性良いかもね!」
「俺は嘘なんてついてねえよ」
「あー!また嘘ついた!けど言っちゃった嘘が嘘ってバレたらまずいし、今日の昼休みはよろしくね!智哉!」
と言って楽しそうにぴょんぴょんと跳ねるように席に向かっていった。
飛んでいきましたね。ありがとうございました。