プロローグ的な何か
まだ飛んできません
「そういえば智哉くん、私彼氏出来たんですよ。とはいえ何が変わるわけでもありませんし、これからも今まで通り仲良くしてくださいね。」
高校1年生の6月はじめの金曜日、幼馴染の藤波彩香から言われた一言により、俺の初恋は終わった。
聞けば彼氏は俺の中学からの親友の菊池輝樹だというではないか。
今まで通り仲良く?出来るわけないじゃないか。
そんなこと出来ると思ってるのは彩香くらいだろう。
腰の辺りまで伸びた美しい長い髪を輝かせながら、のほほんといいとこのお嬢様のような笑みを浮かべている彩香。
その笑顔と優しい性格に惹かれていた俺だったが、今日だけはその笑顔を見たくなかった。その優しさを俺に向けて欲しくなかった。
輝樹はいつの間に彩香と仲良くなったのだろうかと考えたけれど、思い当たる節は山ほどあった。
登下校は常に3人だったし、昼食も3人だけという訳ではなかったがずっと一緒だった。今年の春に決めた委員会では彩香が美化委員会に入った後に輝樹も美化委員会に立候補していた。
そういえば俺が学級委員の男子枠に収められたのも、輝樹の推薦があったからだったか。
こう考えてしまうと全ては輝樹の思惑通りに進んだのではとさえ思えてしまうが、輝樹なりにアピールの方法を考えていたのだろうし、幼馴染の立場に甘えて何もしなかったのは自分だったのだ。
それに何より、今ここで「仲良くなんて無理」というのは彩香の優しさを俺が無下にしているようで気が進まなかった。
だからこそ、俺は彩香に笑いながら言った。
「おう、こちらこそよろしく」と。
俺は今、うまく笑えているのだろうか。
別れの挨拶もそこそこに、月曜日に学校に行くことを憂鬱に思いながら家に入ろうとすると、隣の家の玄関から「ではまた、月曜日にここで」と声が聞こえてきた。
流石にイチャイチャを見せつけられながら登校するのはシャクなので、つい言葉を強くしながら
「悪い。月曜日はちょっと早く出るんだわ。」
と言いながら家に入った。
はぁ、月曜日までに立ち直れっかな…
次回から飛んできます。
ありがとうございました。