ひとりごと
真夜中、一人の部屋で見たのは、
自分の首筋から転がり落ちた、
魂だった。
白くぼんやりとした物は、
人目見て、魂だとわかった。
なぜなら、
それは人の形をしていて、
時々、自分の顔を映していたから。
驚くというような、
そんな気持ちにはならなかった。
むしろ、懐かしいような、
帰りたいような、
そんな気持ちになる物だった。
魂は、ずっと黙っていた。
当然、危害を加えようと
する様子もなかった。
とりあえず、魂に話しかけてみる。
「どうしてそこにいるの?」
魂は、小さな声で抑揚なく言った。
「……願いのようなものが
いっぱいで、居場所がないんだ」