2章
祭りの後の夜の事、女王はすでに身に余る不安に苛まれ神と魂で会話を続けている。
けれど、生身の人間である以上相当の肉体的エネルギーを消費してしまう。
「大神よ、この地で近頃災害や疫病が多発しており、人の心の善なるものと悪なるもの行いが拮抗しはじめております。
それが更なる恐怖を呼んでいる、どうしたらいいのでしょか」
「答えよう。
それについて今言える事は、この退廃した悲劇をもたらすエネルギー、
あるいはその原因を一度洗い出し改心を迫ろうと思う。
そうして、改心があったものをカルマという仕組みにより魂を磨かせる」
「カルマというと?どうなるのでしょう?」
「初めは苦しいだろう。
破産、病気、苦労など、自分が手に染めた悪事がまたはその因果が襲って
こよう。
しかし、この因果の解消が出来れば魂を救済しよう」
「これは人間にはコントロールができぬ、が、このカルマを解消し魂が
磨けさえすれば暗闇の中で照らす灯明がもたらされる。
以前より心身がクリアになり、よりよく命を生かす歩むべき道が示される」
そうすると、女王の頭の中に天使の梯子から救いの光が降りてくるイメージが見え始める。
「大神よ、この苦しみや混沌は一時的な平和への歩みへと繋がるものなのでしょうか。
この先は、どのような未来が持たされるのをお示しください」
「今後の未来は二つだ。
一つは、混沌を生き抜いた磨けた魂が再び豊かな心と平和的に生きてゆくための規律という知恵を神より与えられ平和な世界を作り生きてゆく。
一つは、滅びを招くようではいけない、神にとり非常に良い感情を与えない。
よりよい人間にならねばならない、3回の忠告の間に改心なき者は間引く」
代々の女王が大神より引き継いだ教えが、このエリザの脳裏に浮かぶ。
神と人間との約束が太古よりある
以前は10の戒律を降ろしていた
けれど守れるものは減り続け妥協案として
今はたったの3の戒律として魂をはかる
人は文明が進むとより魂が汚れてゆく
魂に見合うだけの開発した危険な物を使いたがる悪か
その者たちと反比例するように良い心の者も生まれだす
生れながらにして魂が善悪どちらかに属する人間は半々である
生まれてから善悪とどちらに影響され始め心が支配されるか
これが善の中の悪、悪の中の善となり現れる
増やせ増やせ、神なる導きを感じる人間を
称えよ讃えよ、穏やかな自然やもたらされる恵みを
「エリザよ、神はお前に今後教えを授ける。
いかに人は良い心になり生きて行けるかを、そして、自然と文明の
安全なる共存の仕方を」
「ありがとうございます」
「その導きを人々に伝えなさい。
どう人々は動き魂の本質を自覚し自制しながら生きてゆくか。
そのヒントを伝え、また平和への導きを伝言しなさい」
そう伝わると、大神の光の気配が消えた。