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02

「父さま、この闇夜に浮かぶあの湖面、私には路面をゆく先導のようにも感じます」


「しばらくは、この先導についてゆきましょう」

そう少女は静かに言う。


「お前がそういうのなら、このまま進もう」


父はこの娘にたいして信頼を寄せている、この少女の力にたいしての絶対的信頼。

命の危険にたいして己で考えることを放棄するくらいに。


それがある種少女には危機感を感じさせているともしらず。


サーシャはこの自分に宿った力をコントロールはできても、心の中までは御しきれずにいる。


皆が、自分を儀式時に崇拝する姿勢と恍惚の表情が、ある意味受け入れられずにいるのだ。



尾長鳥の目の覚めるような青と黄緑と黄の混ざった長い羽を頭の布に差し、白いドレスを纏わされ中心に置かれるなか、皆が輪になり自分を囲いまわる。

サーシャを残し、皆がひたすらまわるのだ、祝いの衣装の裾が翻り、まわることで人はトランス状態になり恍惚となる。


恍惚が極まる頃、サーシャは昔から伝わる歌を歌い始める。

伝承されてきた言い伝えを。

そしてその後に、放たれる予言。


その恍惚の状態は人の意識を無防備にしてしまう、言わば刷り込みが行われるのだ。


サーシャは己の予知能力と歌う声をかわれて今のポジションに祭り上げられている。

それと同時に、トランスからの刷り込みを皆が盲目的に信じ崇拝している危うさも感じている。


サーシャが言わば巫女のような存在として祭り上げられたのは、約1年と半年前の事。



もともとサーシャは女王が支配する帝国の生まれ育ちだ。

その帝国は、鉱物や香辛料などの交易で大きく潤っていた。

そして、神託により鉱物を新たに見つけだし、組み合わせる技術を告げ、配下と造り上げることこそが女王の仕事だ。



女王は大きな時計楼がある宮殿に住まう、その周りを貴族と大きな商館が軒を連ねて一重円の地形。

さらに庶民や、商人、技術者、学者に、呪術者等の大多数が生活する大きなニ重円目。

もっとも外れの三重円めに傭兵やならず者、またパブや飲み屋、賭け事をする店が構えられている。



周りを豊かな海で囲まれているため、傭兵や船漕ぎたちは大きな守り手でもある。

働き手として縁の下の力持ち的存在でもあるが、手に負えない荒くれ者たちも多数いるのが現状だ。


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