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最強の武器は、絶対に盾だろ!  作者: 青春詭弁
第一章 盾使い、冒険者になる
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八話 盾使い、埋まる



 途中に現れるモンスター達を屠りながら、次の階層に降りるための階段を探していた俺達だったが――中々見つけられない。


「お、このボタンなんだ?」

「どう見てもトラップだから押すんじゃないわよ? ちょ……なに嬉々とした表情で押そうとしてのよ!」


 そんな一悶着を挟みながら、ダンジョン内をぐるぐると歩き回る。

 しばらくして、シロナが眉を寄せた。


「ん……? なんか揺れてない?」

「揺れてるな」


 地面が揺れている。

 しかも、揺れは収まるどころか時間が経つにつれて大きくなっていく。次第に収まっていったが……少しヒヤッとさせられた。


「ヴィオラからは地揺れが起こるなんて聞いてないんだけどね」

「自然発生的ななにかじゃねえのか。それより、ほれ。下層に続く階段があったぞ」


 俺が指をさした方向には第二層へ続く階段があった。


「はあ、やっと見つけたわね……。さっさとボスを倒してお風呂に入りたいわ」

「それ俺も一緒に入っていいか?」

「頭おかしいんじゃない?」


 などと軽口を叩き合いながら、第二層の探索を始める。

 第二層でも、当然モンスター達が出てくるのだが――聞いていたのとは、少し毛色の違うモンスターが現れた。


『グール!』


 と、暗闇からアンデッド達を引き連れて、グールが現れた。グールはアンデッドが進化したモンスターで、戦闘力が格段に強化されている。ランク的にはDランク相当らしい。シロナが言っていた。


「おかしいわね。Fランクのダンジョンなのに……」

「なんかの手違いか? っと」


 言いながら、横合いから牙を立てて襲いかかってきたグールを盾で止める。グールは盾の上からでもお構いなしに牙を立てる。

 俺は盾を持ち上げて、己の足でグールの足元を払って転ばせる。地面に倒れたグールは、反射的に俺の足首を掴み、噛み付こうと牙を剥く。

 だが、遅い。持ち上げた盾をそのまま振り下ろし、グールの頭部を潰す。すると、グールは忽ち動かなくなる。


「はあああ!!」


 シロナを一瞥すると、大胆に回転しながらグールやアンデッド達の胴を輪切りにしていた。派手だ。

 やがて、ここら一帯のモンスターを倒し終えると、シロナが疲れたような溜息を吐き出した。


「ああー骨のない相手ばかりじゃつまらないわね! グールと言わず、もっと強いモンスターを寄越しなさいよね!」

「そりゃあボスに期待だな」


 そうやって、モンスター達を屠り続け――第二層を突破し、ついに第三層へと下りる。

 第三層には入り組んだ道はなく、下ってすぐが広い空間になっていた。

 暗闇の中、ランタンの灯りで周囲を確認していると――突然、ロウソクの火が俺達を囲むように灯り、視界が晴れる。


「なんだ?」


 円形の広い空間――その奥には玉座が置かれていた。いかにも、ボス部屋っぽい雰囲気のそこに……一人の少女が座っていた。

 少女は俺達に気付くと、真っ赤な瞳で凝視する。


「ぬぬぬ? 人間? 人間じゃと?」


 漆黒の長髪をなびかせ、玉座から立ち上がる。


「まさか妾のダンジョンを突破するFランク冒険者がいようとはな。グールや、スケルトンナイト、グレートレイスを配置していたはずなのだが……」


 少女の言う通り、第二層では明らかにFランクダンジョンに似つかわないモンスターが湧いていた。

 ただ、俺やシロナからすれば雑魚に変わりはなかったが。


「ねえねえ、あの子。このダンジョンのボスっぽいわね? 聞いてたのと全然違くない」

「そうだな。確か、ゴーレムって話だったけど」

「あれどう見てもゴーレムじゃないわよね? 赤い瞳に、鋭い牙……多分、吸血鬼ね。しかも、かなり上位の」

「何をこそこそと話しておる?」


 吸血鬼と思われる少女は不快そうに眉を顰める。

 しっかし……背は低いが、なんともまあ大きな胸なんだ。

 シロナは前に出ると、


「あたしはシロナ。このダンジョンのボスを倒しに来てあげたんだけど……あなたがボスなの?」


 随分と上から目線な……それが気に食わなかったのか、吸血鬼があからさまに顔を顰めた。


「ふんっ……いかにも。このダンジョンの主人は、この妾……アストレア・リーゼベルトである。よもや、低級冒険者が運良くダンジョンを抜け、ここまで辿り着くとは思わなんだ……」

「運? 実力に決まってるでしょ。頭おかしいんじゃない?」

「…………」


 ちょっとちょっとシロナさんや。ボス吸血鬼のアストレアさんが額に青筋立てていらっしゃいますよ。


「ほ、ほう……? 実力で辿り着いたと? ならば、その実力とやらを見せてもらおうか!」


 アストレアは叫び、手の平をシロナに向ける。すると、アストレアの手から、火球発射――シロナに向かって飛んでいく。

 シロナは冷静に腰から剣を引き抜くと同時に――一閃。火球を弾き飛ばした。火球は天井に着弾し、爆発する。

 これにアストレアが感嘆する。


「ほう……どうやら、口先だけではなさそうだな」

「ええ、あなたも強そうなオーラをビンビン感じるわ」


 お互いに実力を確かめ合い、いよいよ本格的な戦いが始まりそうな空気――そこへ魔を指すように、天井からビキビキっと音がする。


「ん?」


 気になって天井を見上げると――さっきの爆発によるせいか、どでかいヒビが入っていた。

 あ、これダメな奴だ。

 そう思った直後――天井が崩落した!






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