七話 盾使い、ダンジョンへ
すみません……疲れてるので短めです……。
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翌日の朝。早速、ギルドでダンジョン攻略のクエストを受けるために、受付のヴィオラに声をかける。
「ダンジョン攻略ですね。お二人はFランクですので、Fランクダンジョンになります」
「ええ、分かってるわ」
「それでは、ダンジョン攻略の注意事項ですけど――」
ヴィオラの話しを纏めると、ダンジョンにはモンスターとトラップがあるから気をつけろということだった。
Fランクダンジョンだから強力なモンスターや、促進トラップの類はないらしい。とはいえ、モンスターはモンスターだし、トラップはトラップだ。少しの油断が命取りとなる。
「以前、Fランクダンジョンだからと侮っていた新人パーティーが、全滅したこともありますし……準備は怠らないでくださいね?」
「よーし、行くわよ! グレイ!」
「腕がなるなあ」
「準備を! 怠らないで! くださいね!?」
ヴィオラがうるさいので、俺とシロナは渋々とギルドで必要なものを買い揃える。
万が一の際に保存食を三日分。全身を覆う肌を晒さない服装。ランタンと火種に……回復薬。
おかけで雑嚢は満杯になった。
「勿論、あたしのも持ってくれるわよね?」
「重い」
だが、心優しい俺はシロナの持ち物も半分持ってやることにした。男は女に弱いのだ。仕方ない。
そうして、ヴィオラから「大丈夫です!」と太鼓判を押してもらった俺達は、Fランクダンジョン『死者の墓』へと向かった。
『死者の墓』は、王都の郊外にある共同墓地から入れる、新人用のダンジョンとなっている。出てくるモンスターは死霊系や昆虫系。トラップは強制転移でダンジョンの入り口に戻すというもの。
共同墓地に着いた俺達は、早速ダンジョンの入り口から中へと歩を進める。
「暗いわね……。グレイ、ランタン点けなさい」
「おっけー」
ランタンに明かりを灯して視界を確保する。
ダンジョンの入り口から先は、深淵に続く下り階段のみ。他に道はなく、俺達は迷わず階段を下る。
階段を下った先は、ダンジョンの第一層。
不気味な雰囲気に包まれているこの中を散策し、第二層……第三層まで降りる。そして、第三層にいるボスモンスターを倒すことで、ダンジョン攻略は成功となる。
「んじゃまあ、行きますかね」
「ええ! わくわくするわね!」
こういうのって、女は普通怖がるものではないだろうか。俺は先んじて歩くシロナに、
「怖かったらいつでもしがみついていいぞ」
「胸を押し付けられたいだけでしょ?」
「バレてーら」
「バレバレよ……。でも、お望みならやってあげなくもないわよ?」
マジかよ。お願いしてみるもんだな。
「それじゃあお願いします」
「即答ね……まあ、いいけど」
シロナは半眼で俺を見た後、「えい」と右腕に両腕を巻きつけて胸を押し付けてきた。思っていたよりも、ずっとボリューミー……。
「どう? ご感想は?」
「ご馳走様でっす」
「お粗末さ…………って誰の胸がお粗末ですって!?」
「理不尽!」
俺とシロナがふざけていると、ふいにコツコツとした反響音が木霊した。俺達はすぐに武器を構えて臨戦態勢を取る。
「ダンジョンって密閉空間のせいか、音の方向が分かり難いのよねー」
「右だ。右。スケルトンが三体、正面からアンデッドが四体、左からレイスが五体」
「ねえ、なんか多くない……?」
「さあ? まあ、どいつもこいつも雑魚なんだ。どうでもいいだろ」
「全くその通りね」
俺とシロナは背中合わせに、三方向から襲いかかるモンスターを迎え撃つ。
立ち位置から必然的に、右のスケルトンを担当することになった。ちなみに、正面のアンデッドは半分担当する。
「せやあああ!!」
シロナは抜剣すると同時に、五体のレイスを斬る。しかし、レイスは物理攻撃を無効化する。シロナの剣はレイスを通り抜け、斬ることができない。
「もう! 面倒ね!」
「おい冷静になれ。ヴィオラから聖水買っただろ。そいつで剣を濡らせ」
物理攻撃を無効化するレイスだが、聖水などの聖なる物が苦手だ。聖水のかかったものならば、レイスにダメージを与えられる。
シロナは「分かってるわよ!」と逆ギレ気味に、聖水を剣にぶっかける。と、俺の方もスケルトン達が襲いかかってきたので対処する。
スケルトン達は剣と盾を装備している。盾を装備しているとは、中々どうしてモンスターの癖に良いセンスをしている。
だが、どういうわけか……スケルトン達は剣しか振ってこない!
俺はスケルトンの攻撃を盾で防ぐと同時に――スケルトンを吹き飛ばす。それを三度繰り返すと、スケルトンは全滅。シロナの方も、レイス達を一刀両断している。
残ったアンデッド達は――言わずもがな、二人で仲良く処理した。