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最強の武器は、絶対に盾だろ!  作者: 青春詭弁
第一章 盾使い、冒険者になる
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六話 盾使い、付き合う



「仮説を立ててみたの」

「なんの」


 午後。

 体調が回復したシロナと共に、再びクエストを受けた。

 内容は討伐クエスト。王都近郊に出現する、トカゲモンスターのドデカゲを討伐するというものだ。

 ドデカゲの現れる丘で、ターゲットを待っている折、シロナが前触れなく言った。


「あんたの技について」

「技?」

「そう。あのチンピラ二人を吹っ飛ばしたあれよ」

「ああ……あれね」


 多分、あれのことだろうと頭の中に思い浮かべる。


「つーか、そんなに気になるもんか?」

「あんたが勿体ぶるから気になって仕方ないのよ。で、仮説なんだけど……あれ、カウンターじゃないかしら」


 カウンターは、一般的に相手の力を使うことで、ダメージを倍にして返す技。

 どこら辺でそう考えたのか尋ねると、


「オセンギョの時とチンピラを相手にした時の共通点。あんたからは攻撃してなかった。前者は盾、後者は素手って違いはあるけど。どっちにしろ、あんたは攻撃を受けてから吹っ飛ばしてる」

「よく見てるんだな」

「ただ……カウンターだったとして、どうやったらあれだけ派手に吹っ飛ばせるのが疑問なのよね」


 シロナの考えでは、オセンギョはともかくチンピラの攻撃を倍返しにしたところで、あれだけ吹っ飛ばせるものなのか、ということらしい。


「ねえ、実際のとこどうなのよ?」

「企業秘密。その方がかっこいいから」

「ケチ」


 頬を膨らませ、シロナはあからさまに不機嫌になる。俺はご機嫌取りも兼ねて、冗談交じりに口を開く。


「んじゃあ、俺と付き合ってくれたら教えてやらんこともねえぞ?」


 そう言うとシロナがぽかんと口を開けて、


「付き……は? なにあんたあたしのこと好きなの? まあ、あたしが超絶プリティキューティクルなのは全世界共通認識だけどね?」

「うぜえ……」


 ただ、可愛いのは認める。


「それで? 付き合えって? どうしようかしらねえ?」

「へえ、以外と考える余地ありなのか? チャンスがありそうでなによりだわ」

「あんたの企業秘密だけだけどね」

「俺の興味ポイントなさすぎじゃね?」


 シロナは俺の話を無視して、顎に手を当てて思案している。それから、ふいに視線が俺に向けられた。


「ねえ、実際のところどうなのよ?」

「どうってのは?」

「あんたはあたしのこと好きなの?」


 ど直球に聞いてきた。

 どう答えたものかと考えあぐね、俺は素直に答えることにした。


「好きだな」

「会ったばっかりなのに? 一目惚れってやつなのかしら?」

「まあ、そんなところだな」

「あたしのどこら辺が好きなの?」

「顔と胸と括れと尻」

「サイテー」


 しまった。素直に答えすぎた。

 彼女の中で俺の心象がダダ下がりになったのか、ジトっと半眼で俺を睨んでくる。

 だが、俺はまだ脚を言っていない。シロナの美しい曲線を描いたスラッと長い脚は、見ていて飽きない。むしろ、シロナの興味ポイントはそこしかないまである。

 と、俺とシロナがふざけている間に――どうやら目的のモンスターが現れたらしい。


『ドデカゲエエエ!!』

「おっ……地面から出てきた!?」

「ドデカゲは地中に生息するモンスターよ! 地面の中に穴を掘って巣を作るもんだから、旅人や行商人がたまに落とし穴的な感じで落ちちゃうのよ!」


 クソみたいだな。

 地中から這い出てきたドデカゲは、人間大ほどだ。

 ドデカゲは俺達を見るなり、わしゃわしゃと四本の足を動かして迫る……!

 シロナは臆することなく、腰の剣を抜いてドデカゲを真っ二つに両断した。うわあお…………。

 ドデカゲの体が左右に割かれて倒れた後、シロナはかっこよく剣を鞘に戻してこちらに振り返った。


「まあ、Fランクのモンスターなんてこんなものよね」

「呆気ないもんだな」

「さっさとランクを上げて、もっと手強い相手と戦いたいものね」

「だったら、さっさとダンジョン潜ろうぜ」

「そうね。明日、早速行きましょ」

「おっけー」

 

 シロナはクエストを終えたからか、既に帰ろうと王都に向かって歩き出している。

 俺もシロナの後ろに続いて帰ろうと――シロナが突然振り返り、


「付き合ってあげなくもないわよ?」

「え?」


 シロナが頬を赤らめた表情で、上目遣いにそう口にした。

 俺は意外な返答に戸惑ってしまう。


「いや……マジでか」

「ええ。嘘は言わないわ」

「……自分で言うのもなんだが、俺ら昨日会ったばっかりだぞ?」

「本当に自分で言うのもあれな奴ね……。でも、まあ……別にいいでしょ? あたしと付き合えるんだから」

「いや、理由を聞いてるんだが……」

「い、いいから! さあ! 帰るわよ!」


 恥ずかしいのか、耳まで真っ赤にしてシロナは帰路を歩いていく。

 俺はふいに、彼女も俺に一目惚れでもしたかなと、自分に都合の良い馬鹿なことを考えながら、彼女の後を付いて帰路に立った。





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