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連隊長

 

「ショウキ、俺が抑えていてやるから、宝剣を取って来い!」

『ぐうぅぅ……何故だ! 取り込んだ時にお前は消えた筈だろう!』

「……油断していてくれて、ありがとうございました」

『貴様ァァ!!』


 見ていて面白い光景だが、いつまでも見ている訳にはいかないので今のうちに宝剣を探しに行く。さて、何処の辺りで失くしただろうか?


「レイキ、もう少し頑張れ!」

「はい、連隊長」

「……俺を、まだ連隊長と呼んでくれるのか」


 背後から涙を誘う話をしている良い魔人王 (連隊長)とレイキ。俺はそれには参加出来ず失くした宝剣を探す


「姉の事は悪かった……助けてやれず」

「連隊長……お姉ちゃんは、どうして」

「あ、有りました! 宝剣有った!」


 やっと宝剣を見つけた。これでOKな筈。


「よし! 早く刺せ! 俺も限界だ」

『おのれ! おのれ!』


 確かに限界そうなので、宝剣を持って魔人王の元に行く。しかし刺そうと思った所で迷った。これを刺せば連隊長は死ぬのでは?


「何を迷っている……俺はお前の敵だ」

『童よ。我を殺せないのであろう? そのまま、その剣は捨てるが良い』

「俺が生きてる限り、魔人王は生き続けるぞ! ここで終わらせろ! 人類の為に!」


 善と悪が交互に出てくるのが笑ってはいけないと思うのだが面白い。


「いや、楽しんでたらダメだ」


 気を取り直して俺は宝剣を連隊長に向ける。それを見た連隊長は微笑み早くする様に促す


「迷うなよ。どんな相手でも迷うな。敵は殺せ」


 それは、何時ぞやに連隊長が言っていた言葉。その言葉を聞き覚悟を決める。


 [ラルトゥールさんを解放してやってくれ]


 ヌンツィオが言っていた言葉の意味が今なら分かる。


「では、サヨナラです魔人王」


 その言葉と同時に俺は短剣を連隊長の心臓に突き刺す。


『ぐおぉぉぉ。やったな人間……』

「俺と共に地獄に参りましょうか」


 連隊長の体から黒い刺青が消え、赤黒いオーラも消える。元に戻った?


「二人共、よくやった」


 久々に聞いた連隊長からのお褒めの言葉。不覚にも涙が出そうになった


「魔人王は一先ず消えた。復活しないとは限らないが問題ない筈だ」


 連隊長は自身に刺さった刀と宝剣を抜いて床に放り投げる。何かこの人、心臓刺されたのにピンピンしてるんだけど……


「連隊長……」

「ふっ。お前もまだ呼んでくれるのか……」


 連隊長は目を伏せ、微笑を浮かべて言った


「俺は恵まれているな」


 そして見た事も無いような笑顔を見せてくれた。その笑顔はとても綺麗で、男の俺も思わず見惚れるくらいだった


「もう、お前達、人間は自由だ。残りの魔人は俺が連れて行こう。この地上はお前達の物だよ。安心して住むといい」


 そう言うと連隊長は振り返り歩き出す。ホントに心臓刺させたのか不安になるくらい、しっかりと歩いているのだが……ホントに大丈夫?


「ほら、向こうの猪も決着ついたみたいだぞ? 行ってやれ」


 一度、連隊長が振り返り告げた。慌ててイノ坊の様子を見ると、確かに戦いは終わり両者とも地面に倒れていた


「連隊長! あの……」


 振り返り、今までのお礼を言おうとしたが、そこにはもう連隊長は居なかった


「……」

「お兄ちゃん、行こう」


 俺はレイキに促されて、この場を後にする。そして痛む肋骨を抑えながらイノ坊の元までやって来た


「終わったんかいな」


 イノ坊は元の100キロくらいの大きさに戻り、抉れ剥き出しの地面にグッタリと横たわっていた。そんなイノ坊に


「終わった。大丈夫か?」


 っと問うと尻尾を少し揺らしてから


「コフッ! 大丈夫じゃあらへん。内臓やられてもた……儂はここで退場やわ」


 大量の血を吐き出し、重い体を更に地に沈めた


「そうか……」

「イノ坊さん」


 俺とレイキはイノ坊の頭部に触れて撫でる。イノ坊はくすぐったそうに目を細めて笑う


「あぁ……故郷が見えるわ。何や、死んだら帰れる感じやってんな」

「え? そんな感じ?」


 アレか、死んで魂は帰るみたいな感じなのか?


「先に帰っとるで。かーちゃんに宜しゅうな」

「あぁ。イノ坊、ありがとう」

「ありがとうございます」


 俺達のお礼を聞いたイノ坊は目を伏せて


「礼を言うのは儂の方やな。ホンマに楽しかったわ。巻き込んでしもて堪忍な」


 っと言う。それから直ぐにイノ坊の呼吸は止まり、もう2度と動く事は無かった……

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