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怪獣対決

 

 恐らく今の攻撃で軍の総本部や砦は深刻なダメージを受けた事だろう。


『手始めにお前達の街とやらを壊してやろう』


 巨大魔人はゆっくりと街の有る方角に歩き始める。ここから街までは、あの巨大ならそう時間は掛からないで着くだろう。それはマズイ


「おい! 儂を放置すなーー!!」


 なんとか瓦礫から脱出したイノ坊は巨大魔人に怒鳴り、なんと……


『これなら、どうだ?』


 体長500メートルくらいで、二足歩行の姿に変身した。アレは確か、大きくなりすぎて戦えなかった筈だが、大丈夫なのだろうか?


『行くぞ!』


 俺の心配をよそにイノ坊は巨大魔人に勝負を挑む。


「なんだか、怪獣対決みたい」


 昔見た、ゴ◯ラvs◯◯◯や、ウ◯トラ◯ンvs怪獣、◯◯戦隊の合体ロボvs怪人みたいな特撮感のある戦いだ。男なら一度は見た事がある胸アツな展開である


『やれやれ、あの者は向こうに行ってしまったのか』


 俺の近くから魔人王の声が聞こえてきた。驚いて、そちらを向くと


「なんで……」


 魔人王が立っていた。あの巨大な魔人は魔人王ではなく別の魔人? まさかの召喚した感じ?


『アレは我の力の化身。かつての我の姿だ。老いて体を変えて来たが……アレだけは健在でな』


 意味がイマイチ分からないが、アレが初代の魔人王の体という事でファイナルアンサー?


『そうなるな』


 俺が問うと魔人王は親切に答えてくれた。優しいー


『さて、退屈凌ぎにお前で遊ぶかな」


 優しくなかった。俺で遊ぶって……怖い……


『確か、腕と首を斬り落としてくれた借りがあるんだったかな』


 そうだ。俺は前の体の魔人王の首や手を斬り落としたのだった。これはマズイ。イノ坊、カムバック!

 俺は引き攣った顔で魔人王を見ていると、


 [奴が全力を出せる様になれば……そこで殺せば奴は永久に消える]


 そこでヌンツィオの言葉が蘇った。そして、


 [我の力は漸くこの体に馴染んだ。よって、真の力を見せてやろう]


 あの魔人王の言葉。これは魔人王が全力を出せる様になったから今がチャンスという事か?


「いや、全力出されたら勝てないし」


 ヌンツィオめ……簡単に言ってくれる。しかし、ここで仕留めたら魔人王は永久にこの世から消えて無くなる。ならば、なんとしても此処で仕留めたい!


『来い、童』

「童じゃないけど!」


 俺は魔人王に突っ込む。俺のその攻撃を魔人王は軽くいなす。しかし、めげずに何度も何度も攻撃を続けていくうちに、だんだんと食らいつける様になってきた。


『よくやる』


 魔人王は口角を上げてほくそ笑む。その姿が、いつぞやの連隊長に重なった


「……ホント、酷い奴だよアンタは」


 俺は魔人王と刃を交えて押し合いたがら連隊長の姿をした魔人王に言った


「実の姉と戦わせてみたり、仲間を斬らせてみたり、挙句の果てには尊敬していた上司と戦わせてみたり」


 ホントに酷い奴だ。


『ふん。それは奴らが選び、お前が選んだ事だ』


 魔人王は俺の腹に蹴りを入れて距離を取り、魔法を放ってきた。俺はそれに魔法で応戦する。

 しかし、流石は魔人王だ。俺の魔法の威力を格段に上回る威力の魔法を放ってくる


「チッ!」


 俺の魔法は魔人王の魔法によって掻き消され、残った魔人王の魔法が俺に襲いかかって来たので、走って避ける。この魔人王の魔法により広範囲に土煙が舞い、魔人王は俺を見失った


「これで!」


 魔人王が俺を見失っている隙に後ろに回り込み、首を落とそうとしたが歯で刀を止められた


「嘘だろ⁉︎」


 歯で止める⁉︎


 そして、魔人王は刃を噛み砕く。無残に砕けた刀。俺は丸腰になる。

 その隙を魔人王は見逃さず、俺に自身の持っていた剣を振り下ろす。態勢を崩している俺は自慢の足で走って逃げる事は出来ない


 ーー絶対絶命……此処までか……ーー


 この距離では防御魔法(ウォープロ)は間に合わない。

 急に地面が揺れ、魔人王がバランスを崩した。そのおかげで俺への攻撃位置が若干ずれ、胸を軽く斬られただけで済んだ


『何事だ?』


 魔人王は俺から視線を外し、辺りの様子を伺う。俺は斬られた胸元を抑えて、後ろに下がった。


「いてて……」


 軽く斬られただけとはいえ、痛いものは痛い。こういう時、回復魔法(クーラー)が使えたらな……っと思ったりもする


『ほう……あの勇者、なかなかやりおる』


 ハッとして俺は魔人王から視線を外し、イノ坊の様子を伺う。イノ坊は初代魔人王の肉体を引き倒し、マウントポジを取って殴り付けている最中だった


「物理攻撃多いな……」


 怪獣対決なら口から光線だしたり、必殺技を撃ってみたりとかないのだろうか? さっきから殴り合いばかりしている


『余所見をしててもいいのか?』


 魔人王の声が近くで聞こえて、慌てて視線を戻すと目の前に魔人王が居た。イノ坊に気を取られていた俺は魔人王の接近に気付かなかったのだ



 全く間抜けな話しである

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