ラスボス前
次日、俺達も前線に出向く事になる。前線では、魔人と壮絶な戦いを繰り広げており、仲間が1人また1人と倒れていく
「俺は無事で帰れるのだろうか?」
そんな不安も過ぎる。
「大丈夫よ。アンタ、しぶといし。結構、ヤバかった時とか有ったけど、全部乗り越えて来たんだから大丈夫よ!」
自分も不安な筈なのに励ましてくれるアナトリーに心が温まる。そんな彼女達の為に俺はなんとしても勝たねばならない。そう思い直す
「さぁ、お喋りは終わりよ」
近くにいたアンナさんに注意されたので大人しく敵だけを見据えて、心を閉まっておく。仲間が死んで悲しむのも、自身の行く末を案じるのも後だ。今は戦いに集中せねば
「突撃!!」
俺達は唯ひたすらに戦い続けた……
「坊主」
何体か斬り伏せた所で背後からイノ坊に呼ばれた。俺は周りに魔人が居ないか確認した後、イノ坊を振り返り「どうかしたか?」っと問う。すると……
「儂、行かなアカンねん」
っと言い出した。行く? 何処に?
「おい!!」
問いかける前にイノ坊は走って何処かに行こうとするので慌てて追いかける
「おい! 止まれ! 何処に行くんだ!」
イノ坊のスピードに余裕で追いつける俺。なかなか凄くね?
「しんどいやろ? 乗るか?」
俺の問いには答えずに逆に問うて来たので、文句を言おうと思ったがイノ坊の言った通り疲れて来たので遠慮なく乗る事に
「で、何処に行くんだ?」
イノ坊の背中に乗り、再度問うと……
「魔人王の所や!」
っと返ってきた。
「魔人王が何処に居るのか分かるのか?」
「おん! 勘でな!」
「勘って……」
それ、分かっていだろう……
「早よせな大変な事になってまう!」
なんだかよく分からないが、大変な事が起きるらしいので、無線でアンナさんにイノ坊に同行する旨を伝え、イノ坊に乗って魔人王の所に行く事に……
「しっかり掴まっときや!」
イノ坊は羽を広げて空に羽ばたく。そのまま城の最上階付近まで飛んで行くつもりらしい。ズルい……
「アカン! 敵襲や!」
空からの侵入を警戒して居たのか魔人達が俺達を見つけるや否や襲い掛かってきた。慌てて回避して飛び回るイノ坊。
飛び回るのはいいが、乗って居る俺の事を気遣って欲しい。俺は振り落とされない様に結構必死なのだ
「くっ! アカンは、緊急着陸や!」
どうやらイノ坊では魔人達を振り切れないらしく、急遽近くの広場に着陸。しかし、そこの広場にも魔人達が大勢居た
「どうするだよ……」
この絶望的な状況をどう打破すればいいのだろうか?
「決まっとるやろ! 撃破や、撃破! 儂は猪やさかい、空の戦いは向いとらんけどな、地上での戦いはお手の物やで!」
ドヤっといった感じに言う猪。なかなかドヤる猪って居ないと思う
「なら、頑張るか……」
面倒な所に落ちてしまった。前方には魔人、後方にも魔人、左右にも魔人、何処を見ても魔人だらけ。正直、勝てる気がしない。遠い目で魔人達を眺めていると、
「行くぞー!!」
広場に増援が来た。どうやら、この増援は俺達がエマヌエルや姉を倒して作った道を通り内側から城を攻略してた組らしい。それに結構な人数なので、これなら勝てる筈だ!
「ほなら、儂らは行くで!」
「え?」
イノ坊は広場の魔人を放置して進むつもりらしい。どうすればいいか悩んでいた俺に恐らくルネナイトの人が
「君は先に進むと良い」
っと言ってくれので魔人は置いて進む事に。
「さっきの人、第7連隊のバッチ付けてたな……同じ隊だったのか」
俺は、姉の様にあまり交友関係が広くないので、さっきの人が誰なのか分からないが同じ隊なのは確かだろう。ならば、任せられる。彼らも同じ元連隊長の元に集った仲間なのだから!
「行くぞ、イノ坊!」
「はいよ!」
俺とイノ坊は魔人王を目指して走る。途中で魔人に会ったが見事にスルーして通り過ぎてやった。驚くぐらいのスルースキルであった。
「付いたで!」
「なんか仰々しい扉だな……」
俺達は魔人王の部屋思われる扉の前に立っている。その扉は、かなり派手で仰々しい作りだった。姉の着ていた服というかドレスといい、扉といい、魔人王は派手なのが好きなのかもしれない
「ほなら、行くで!」
「あぁ」
ここがゲームで言うラスボス前だろう。ゲームならしっかりセーブして持ち物を確認して挑む所だが、生憎とこれは現実なのでセーブポイントなんて気の利いたものはない。
持ち物も特にないし、正直言ってこのまま突入しても良いのか不安だ
「大丈夫かな?レベルは足りてるかな?」
取り敢えず、俺は落ち着く所から始めようと思う。ハイ! 深呼吸!




