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俺が弱かったから……

 

「うわぁぁぁあああ!!」


 俺は絶叫した。目の前で姉が消えて心に(つか)えていたモノが溢れ出す。そして、絶叫と共に涙も出て来る。


「何で! 何も言ってはくれない! 何で、そんな顔で消えたりしたんだ! 何で満足気な顔をして……」


 俺は力の限り叫ぶ。そして、涙が後から後から出てくる。


「ショウキ……」


 アナトリーが俺の背中をさすってくれた。そこで一瞬だけ涙が止まる。何故、アナトリーが居る?


「これより突入する。後は任せろ」


 知らないルネナイトの人が俺の肩を叩き、奥に向かって行った。そして、それに第7連隊の殆どの人が続く。


「障害は消えたから……ここから突入できるわって伝えたのよ。後は彼らに任せて1度砦に戻りましょう」


 ロザリーさんに促され俺たちは1度砦に戻る事に。砦に戻り、ゆっくり休む様に言われたのでベッドに横になり眠ろうとしたが、姉の最期の笑顔が過ぎり眠る事が出来ない。


「うっ……ぐず……」


 お嗚咽が漏れ、肩が震え、後悔が湧いてくる。何故、助けられなかったのか。何故、殺したのか……


 それは、俺が弱かったから……


「だから……何も話てはくれないのか?」


 俺はベッドの中で泣き崩れた。泣いて、泣いて、しゃっくりが出て、声が枯れるまで泣いた。

 泣くのに夢中で気付かなかった。イノ坊が俺を申し訳なさそうに見ていることなんて……





 気がつくと朝になっていた。いつのまにか寝ていた様だ。


「スッキリしたか?」


 起きてボーとしていると、声を掛けられた。ボルハだった。どうやら彼女は俺に朝食を持って来てくれたらしい


「悲しい時、苦しい時は全力で泣いた方がいい。スッキリする」

「そうだな。ありがとう」


 思ったより酷い声が出て思わず笑ってしまった。こんなにガラガラになっているとは……


「今日は1日ゆっくりしていても、いいそうだ。だが明日からまた戦わねばならない。今日で気持ちを切り替えろ」

「分かってるさ」


 うじうじするのは今日までだ。明日からは気持ちを入れ替えて魔人王討伐に挑まねば……


「魔人王は連隊長なんだよな……」


 そこまでの仲ではなかったが、俺を認めてくれて「よくやった」っと褒めてくれた時の事が蘇る。あの時、素直に嬉しかった……


「仕方あるまい。魔人は我々の敵なのだ」

「分かってるよ」


 俺は手を目元に乗せて空を仰ぐ。


 分かっているのだ。でも、心が追いつかないのだ……


「分かってる。分かってるから姉さえ手に掛けたんだ。ちゃんと、やるよ」


 座っていた所が丁度ソファーだったので、そのまま後ろに倒れる様に寝転がる。そして溜息を吐くと、止まった筈の涙がまた出てきた。


「私は元々奴隷でな……」


 ボルハが俺の近くのソファーに座り自身の生い立ちを話してくれた


「家族揃って魔人から逃げたが、生き残ったのは私だけだった……その時は泣いて泣いて後悔をしたものだ。だから、家族を亡くす辛さはよく分かる」


 話が終わるとボルハは立ち上がり、


「私は外に出ている。落ち着いたら、レイキも泣いていたので様子を見に行ってやってくれ。隣の部屋だ。情けない事に私では慰めにならん」


 っとだけ言って部屋から出て言った。


「レイキ……」


 そうだ、悲しいのは俺だけではない。レイキだって姉を亡くしたんだ。他でもない(オレ)の手で……

 逢いに行かねばっと思い、起き上がり部屋を出た。そして、姉のペンダントを一撫でして、隣の部屋に向かう


「レイキ……居るか?」


 俺はノックして声をかける。すると中から、声が掛かったので入る事に


「大丈夫か?」


 レイキはソファーの上で体育座りをし、顔を膝に伏せていた。泣いているのだろう


「お兄ちゃんこそ」


 妹の声は、なかなか酷く夜通し泣いていたのだろう。そんな妹を気遣ってやる事が出来なかった自分を責める。妹がこんなになっているのに……


「……ごめんね。辛いのはお兄ちゃんなのに……1番辛い事させちゃってゴメンね。お姉ちゃんだけじゃない、カティルやエマヌエルもお兄ちゃんに任せて……」


 妹は泣きながら俺に謝ってくる。そんな妹を見ていると止まった筈の涙がまた出てきそうだった


「レイキ……あれは俺でよかったんだよ。姉もお前にさせるつもりはなかったんだと思う。姉だけじゃない、カティルやエマヌエルもそうだったと思う」


 だから姉は俺にヌイグルミを渡したんだろうし、エマヌエルの魔法封じの薬もそうだろう。はなっから俺に殺させるつもりだったに違いない


「姉はお前を溺愛してたんだ。始めからお前に殺らせるつもりはなかった筈だ」



 俺はレイキの横に座り頭を抱える様にして撫でてやる。これは、よく泣くレイキを宥める時に姉がよくやっていた事だった。姉の真似をして安心させるつもりはないが、少しは紛れるかと思いレイキが落ち着くまで撫で続けた

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