呪い
それからはエマヌエルと行動を共にする事となった。エマヌエルも私と同じで【眼】を見た事が有る為、呪われているのだとか……
「僕は奴隷だったからね」
っと重大発表された事も有った。
学校では常に共にあった為、仲が良いと勘違いされていたが好都合だったので訂正する事はなかった。別に嫌いではないのだが、性格がアレなので正直怖かった。
それに慣れた頃、私は軍に正式入隊した。私は自身の呪いが無くなるまで家に帰らない事を心に決めて出て行く。
出て行く間際に母が私達さんにんにプレゼントをくれた。レイキとショウキにはウエストポーチ、私にはヌイグルミだった
「あの……母さん? 私のだけ何だかヌイグルミみたいに見えるんだけど……2人はウエストバッグなのに私だけヌイグルミなんだけど!アハハ、お母さんの間違いかな? おちょこちょいだな、もー!」
「それじゃ行ってらっしゃい」
「聞けーー!!!」
こんなやり取りをした。後になって気づいたのだが、このヌイグルミは私が昔欲しがっていたヌイグルミに酷似していた。それは、昔にレイキが買って貰ったヌイグルミ……でも、姉である私には「我慢しなさい」っと言われ買って貰えなくて愚図った覚えのあるヌイグルミだった。
それを母が渡したのは、私が戻らないと薄々気付いていたからかもしれない。
軍では私達と同じく【眼】を見て呪われたカティルとヌンツィオと同じ部屋になった。入って早々にエマヌエルが
「この子、男の娘って事になってるけど、本当は女の子だから」
「おいー!! お前、何言ってくれてるの⁉︎」
「うん?」
「あ、申し訳ございませんでした……」
ネタばらししてくれた。なので、部屋の中では性別を偽る事なく過ごせて楽だった。それからは4人で行動が多くなった。休みの日はゲーム三味、連隊長から与えられた任務では4人でワチャワチャしながら過ごす。
私にとってはとても楽しい時間だった
「4人で魔人を3体狩ってこい」
連隊長の無茶振りな任務にブーイングをかましながらも4人でやりきった。【眼】を思い出して恐ろしくなった時は、同じ呪われた者同士なので、弱音だって吐けた。そして、だんだんと呪いの事だけでなく色々な悩みを話す様になる。私は自身の超回復を話した。皆、受け入れてくれたので、随分とホッとしたものだ。
その後、冗談を言うように「私異世界から来たんだー」とか言ってみた。冷めた目を向けられた……
「俺とアルはハーフだ」
連隊長達とも絆を深めていき、理解し合えて来たなーっと思っていたある日、明かされた秘密。彼らは魔人王の息子で生まれた時から呪われているのだと知った。
そして、私の回復能力を知っている連隊長は【血】を提供する様に言う。私はそれに応じ、血に飢える彼らに血を与えた。
「本当にグロい関係だな」
「本当にね」
「だな」
「シャラップ!!」
仲間達からはグロいだのエグいだの言われたが、命令なんだもの……仕方ないじゃないか!
体が縮んだり、毒を食らって死にそうになったりもしたが私は楽しかった
呪いなど、いずれ無くなる。その内、家に帰れる。そして、元の世界に……
ある日、夢を見た。とても幸せな夢だったのだが、私だけが、そこに居ない夢だった。その夢は何度も見た。その夢を見る度に言い様のない不安が私を襲う
誰にも打ち明けられ、日は過ぎて行く。ある日、軍本部が襲撃された。慌てて現場に駆けつけると、そこには魔人王が佇んでいた。彼を見た途端に体の中で息を潜めていた呪いが動き出し、藻搔いて苦しんだ。全身が熱くなるような、指先から力が抜けて行くような、そんな感覚が私を襲った。
動けなくなったのは私だけではなかった。エマヌエルやカティル、ヌンツィオもだった。そんな私達に連隊長は近づき離れて休むように言ってきた。なので、その場から離れようとしたら、ある魔人の足に引っかかり攫われてしまった。
「あーれー」
「オウ吉⁉︎」
「ちょっと! 何してるの⁉︎」
攫われた先で幸運にも弟に会い、助けてもらう。
呪いでまともに動けない私の代わりに弟と妹が必死に戦ってくれて、嬉しかった。
魔人王が死に呪いが消えたかと思ったが……
「魔人王は死んでない。俺の中に居る」
連隊長が真実を告げる。それが始まりだった……
魔人王は老いた自身の肉体を捨て、新たに用意していた連隊長の体を乗っ取る気でいた。だから、魔人王は軍本部に攻めて来たのだ。
魔人王は死ぬ事なく生きている為、私達の呪いは消えない。
「魔人王の復活と同時にお前達の呪いも完成し、自由を失う」
魔人王と接触してから、私達の体の中にジワジワと広がる異物感。別の何かが体の中を這っている様なそんな感覚が私達を襲う。
何度も体を掻きむしった。しかし、そんな事で紛らわす事は出来ない。この感覚は体の中からで外ではないからだ
「俺の体は、いずれ魔人王に取られる。そしてアルは喰われる」
連隊長自身も呪いに侵されて、藻搔き苦しんでいた。日に日に広がる呪いに、私はとうとう……
生を諦めた……




