姉の性別
第7連隊に本部から直々に命令が下りた。内容は「魔人王の城下に有る出入り口を調査して来い」っというモノだった。そこを調査し、危険が無いと判断すれば、そこから侵入して攻めるつもりとの事
「だから! 何故、儂なんだ!」
それには、新連隊長直々に行くようにと御達しが来ていた。
「これ、上も厄介者を消したいんじゃないのか?」
「多分、そうだと思うが……」
「可哀想……」
俺の後ろでアナトリーとボルハ、レイキが小声で話しているのが聴こえてきた。連隊長、同情されてるぞ
「仕方ない……行くぞショウキ!」
「え⁉︎ 俺ェ⁉︎」
突然の指名。連隊の面々には同情の眼差しを頂いた。
「何を言ってる! お前だけではないわ! お前の班のメンバーも一緒だわ!」
「「「嘘⁉︎」」」
俺の他に病み上がりのロザリーさんとアナトリー、ボルハ、レイキ、アンナさん、その他知らない人も選ばれた。俺はアナトリーに同情の目を向けてやれば、無言で目潰しして来ようとしたので慌てて謝った
「よし! 行くぞ!! 儂が有能であると上にも知らせてくれるわ!!」
俄然ヤル気の連隊長に着いて俺達は隠された入り口に入って行く。先頭はロザリーさんで真ん中に連隊長、最後尾を別のルネナイトが張っている。秘密の通路は結構広く、岩場になっており、死角が多い。死角から敵が出て来る恐れがあるので十分に警戒して進む。因みにイノ坊はお留守番だ
「いいか! 絶対に儂を守れよ! 分かったな!」
集中しているのにもかかわらず、大声で怒鳴る連隊長。誰もが心の中でウンザリしているだろう。もう聞き飽きた言葉を永遠と繰り返すのだ。
「連隊長……そんなに大声で喚くと敵にバレてしまいますよ?」
ロザリーさんが注意したが……
「知った事か!!」
聞く耳持たなかった。本当に大丈夫か、この人……
「儂は帰ったら新しい子と籍を入れるんだ! だから早く帰ってやらねばならんのだ!」
それフラグ!! 「俺、帰ったら結婚するんだ……」系のフラグだ!! 止めて!
[余談だが、新連隊長は女好きで既に妻が8人居るらしいが、新たにもう1人増えると風の噂で聞いていた。どうやら、その子と籍を入れるらしい]
「だと言うのに、お前らは! どいつもコイツも愚図で鈍間! 全く役にたッ……」
俺達は目を疑った。今、目の前で連隊長が消えたのだ。慌てて探すと上に、かなり大きなモンスターが居り連隊長を咥えてコチラを見下ろして居た。全く接近に気づかなかった……
連隊長はジタバタと足を動かして藻搔いているが、モンスターが連隊長を離す気は無いらしい。そしてミシっと骨が砕ける音がして血が頭上から落ちて来る。頭がモンスターの口の中に有る為、悲鳴と絶叫は聴こえてこない。
俺はそれを呆然と眺める事しか出来ない
「あはははっ。これが新しい連隊長? 笑える!」
「もう……エル。あまり笑っては可哀想だよ」
「姉……エマヌエル……」
モンスターの更に上に男の格好をしたエマヌエルと、大分大胆なドレスを着た姉が居た。エマヌエルは男の格好をすれば普通にカッコイイ。姉はスタイルが良い為、かなりセクシーだ。
「アンタのお姉さん、お姉さんだったの⁉︎」
「あらやだ! 嘘でしょ⁉︎」
「えっ⁉︎ 嘘! 女⁉︎」
ザワザワザワザワ
姉の性別はバレてなかった所か、疑われていなかったらしい。凄いな姉よ
「あははー。エル、バレちゃったね?」
「バレるでしょ。そんな大胆な格好してたら」
「仕方ないでしょ? これ王様の趣味なの」
姉が本当に姉だった事に驚いた面々は俺とレイキに質問攻めにする。その間に姉とエマヌエルは談笑していた。誰も未だに藻搔いている新連隊長を気にする者はいない
「それより、本当にコレが連隊長? 笑える」
エマヌエルが話を戻してくれた。連隊長の頭から胸下まで咥えたモンスターを見ながらエマヌエルはとっても悪い笑顔を浮かべている。
「うげぇ……エマのこの顔ヤバい。おもちゃを見つけた時の顔だ。甚振って遊ぶ気だコレ」
姉は引き攣った表情を浮かべてエマヌエルを見る。そんなエマヌエルは本当にヤバい顔で連隊長を見ていた。俺達は助けなければっと思ってはいるのだが、いかんせんモンスターの居る場所が悪い。頭上高くに居るし、死角も多い場所なので近付けばコチラがやられる可能性がある
「エマ? せめて楽に逝かせてやろう? こう、遊ばずにさ」
「オウキ、あの事を王様に言いつけていいの?」
「あ、すみません。ご自由になさって下さい」
何らかの弱味をエマヌエルに握られているらしい姉は溜息を吐いき、俺に視線を一瞬向けた後、この場から一瞬で去って行った
「さぁ、お遊びの時間だよ?」




