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死体は残らない

 

「カティル……」


 カティルから淡い燐光が出始める。そしてカティルの身体が透け始めた


「お前……」

「……流石にこの毒キツイな……」


 苦笑気味にカティルは言う


「待ってくれ! 聴きたい事が有るんだ!」


 消え行くカティルに叫ぶと、カティルは肩を竦める


「話せる事ならな」

「……お前達は何故、裏切ったんだ?」


 これが一番疑問だった。カティルや姉達が裏切らなければ勝てた戦いだったのに……向こうが有利だった訳ではない。なのに、何故向こうに付いた?


「運命さ」

「運命?」

「そう、運命。それは始めから決まっていたんだ。どんなに足掻いても逃げられなくて……だから、俺達は諦めた」


 どう言う事だろうか? 運命? 諦めた?


「俺は連隊長と違って割と自由が効いててな。おかげで色々出来たし……まぁ、満足だ」


 カティルは満面の笑みを浮かべて言う。そんなカティルの身体は大分透けて消えかかっている。


「死体は残らない。もう、喰われたからな」


 笑っているが悲しげな目をしている。そんなカティルを俺は黙って見ている事しか出来ない。なんて声を掛けて良いのか……


「お前達は良くやったよ。おかげで、やっと自由だ。オウ吉達には悪いが先に抜けさしてもらうぜ!」

「カティル……」

「じゃぁな」


 そしてカティルは消えてしまった。本当に亡骸は残らず、そこには燐光があるだけで……それも直ぐに消えて、カティルの居た痕跡は跡形もなく消えてしまった


「……はぁ」


 カティル自身は満足して消えていった様だが、俺は残された謎で悶々としている。悩み事が増えた……

 溜息を吐き、後ろを振り返るとキャンディーが真後ろに立っていた……


「うぉ⁉︎」


 慌てて飛び退いた俺を奴は『ギャラギャラ』という鳴き声を上げて嘲笑って来る。コイツ……前に会った奴なんじゃないのか?

 そのキャンディーは鳴き終わると、さっさとこの場から去っていった。なんだ?


「えらい遊ばれてんな」

「イノ坊……」


 小さいサイズに戻ったイノ坊が肩に飛び乗って来た。そして途中から傍観体制だった他の皆んなも寄ってくる。


「手伝えよ……」


 傍観していた面々に呆れた様に言うと……


「入る隙がなかった」

「邪魔になると思った」


 等の言い訳を並べられた。


「はぁ……」


 溜息しか出ない





 軍本部に戻るとカティルを倒したという事で盛大に出迎えられた。その後、俺は傷の手当てをしにクリスさんの元に行き、傷が塞がり手当てが終われば、新連隊長に呼ばれ出頭。褒められたり、貶されたりしたが、なんとか乗り切った。そして……


「カティルがね……あの子、本気で戦わなかったでしょ?」


 前回の一斉討伐の際に大怪我を負い、未だに入院中の赤いモヒカンが目印のロザリーさんに出会った。ロザリーさんはカティル達とよく一緒に任務に行っていたらしく、仲も良かった模様。そんなカティルが居なくなり悲しんでいる様だった


「多分……手を抜いていたというより、俺に戦い方を教えようとしてるみたいでした」


 俺はカティルと、そこまで付き合いは長くないが、それでもやはり悲しい。付き合いの長いロザリーさんは俺より悲しい筈だ。


「そう……」


 ロザリーさんは作戦当日、姉や連隊長と一緒だったらしい。なので一番近くで彼らが裏切ったのを見ていたのだ。そして、一番最初に斬られて重傷を負った


「カティルの最後は燐光を上げて消えました。肉体は残りませんでした」


 俺がカティルの最後を告げるとロザリーさんは驚いた顔をして、一斉討伐時の出来事を語ってくれた


「あの子達と連隊長とアルはね、いきなり苦しみ出して、倒れたのよ。そして苦しみ終え、立ち上がった連隊長は何かに取り憑かれた様に高笑いした後、未だに苦しむアルの首を掴み締め上げた。そしてアルは燐光になって消えたわ。そう、カティルみたいにね」


 あの時、アルトゥールさんが見当たらなかったのは既に居なかったからなのか……連隊長は先ず双子の兄弟から亡き者にした。そして、カティル……


 何故ですか? 連隊長……


「あれは連隊長ではないと思うけど……断言出来ないしね。カティルがそうなって消えたのなら貴方のお姉さんも、そうなって消えるわよ」

「でしょうね」


 カティルは喰われたと言った。ならば姉も喰われたのだろう。何に喰われたかは分からないが、きっともう二度と姉は戻らない……


「悲しみに浸るのは終わってからよ。もう少ししたら2回目の一斉討伐が行われる。その時はオウキは敵よ」


 噂では聞いていた。もう一度、一斉討伐が行われると……早すぎる気がしないでもないが、早く魔人を片したい上層部としては遅い方なのだろう


「カティルが抜けたからって、後3人も強敵がいるのよ。あの子達は迷わない。だから、気を引き締めていかないと……一瞬でも迷えば殺られるわ」

「えぇ。分かってます」


 そう、分かっている。それは、俺もレイキも分かっているのだ。だから、他の誰でもない俺が終わらせる気でいる



 ーー実の姉の命をーー

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