カティル
「いや〜お見事! 恐れいったね!」
「「「⁉︎」」」
ほのぼのとしていた所に聞き覚えのある声が聞こえてきた。それは、つい最近まで姉と共に行動していた……
「カティル……」
が、そこにいた。何故、奴かここに居るのだろうか?
「そんな顔すんなよ。王様に頼まれて様子見に来たんだよ」
「誰のだ?」
「猪」
カティルは木の上から俺達を見下ろしながら言う。やはり魔人王は勇者(笑)であるイノ坊を警戒しているようだ
「どうだ? ちょっと手合わせして行くか?」
カティルは木から飛び降りてきて剣を構える。問いかける感じに言って来たが、逃す気は更々無いらしい。
「仕方ないか……」
俺達は剣を構えてカティルと向き合う。カティルは元々は仲間だ。しかし、今や魔人に成り果てた裏切り者。こうなった以上は倒さねばならない。
「迷うなよ? 連隊長も言ってただろ? 『どんな相手でも迷うな。敵は殺せ』ってな。俺は敵だ。だから迷うな」
「分かってる」
不敵に微笑むカティル。その姿が一瞬だけ姉に見え決心が鈍りかけたが頭を振りその考えを捨てる。
ーーいずれは姉も、この手でーー
「来い。俺を倒せなきゃ、魔人王は倒せないぜ?」
その言葉を聞いた直後に俺は動く。カティルの懐に入り込こみ斬り掛かるが、寸前で後ろに身を引き避けられる。そして俺の腹に蹴りを打ち込こんできた
「がはっ⁉︎」
肋骨がメリメリと音を立てた。これ、また肋骨ヤったのかな……
「甘いぞ!」
崩れ落ちる俺にカティルはもう一撃与えようとすると、横からボルハとアナトリーが突っ込む。しかし簡単にあしらわれ、彼方に飛ばされる。その後はレイキとアンナさんも攻撃を仕掛けたがボルハ達と同様に飛ばされた。
「童! 儂ならどうじゃ!」
イノ坊とカティルは良い勝負だった。流石、イノ坊強い! 俺も負けてられないと思い参戦。2対1で押し切る
「おいおい……流石に1匹と1人は辛いモノがあるぜ?」
とか言いっているが結構余裕そうである。かつて共に任務を受けた際、姉に誰が1番強いか問うた事がある。その時、姉の話ではカティルが1番強く、2番手がエマヌエル、3番手がヌンツィオで最後が姉っと言っていた。なんでも姉はカティルに勝った試しがないとか……
「勝ち目低いな……」
姉にさえあのザマだったのだ。姉が勝てない相手にどうやって勝てばいいのか?
「アイツ……化け物だな」
「そんじょそこらの魔人と桁が違うな」
最近、魔人に慣れてきていたのだが、魔人版カティルには手も足も出ない
俺とイノ坊が必死で攻撃を繰り出すが、全て避けられて逆に攻撃される。それを避けても追撃が……なかなか相手のリズムを崩せない
「ほら! どうした? 俺の相手なんて王様よりマシだぜ!」
2対1なのにもかかわらず全く怯まないカティル。しかし、好機が訪れた。イノ坊が空中からの攻撃に切り替えた為、意識がさっきよりイノ坊の方に向く。そのおかげで俺の刀がカティルの左手を掠る。この刀は掠っただけで死ぬ。なのでカティルも……
「チッ!」
カティルは迷う事なく左手を自身で斬り落とす。そう、毒が回るより早くに
「名コンビだねー」
残った方で手を振り、戯けてみせる。片手を切り落としたが、まるで痛みを感じてない様な振る舞い方だ。
「カティル……」
「迷ってるのか? それは俺を殺す事か? それとも自身の姉を殺る事か? どっちでもいいが、王様倒さなきゃ帰れないぜ?」
「……⁉︎」
今、帰れないって……それは元の世界の事か?
「オウキは2度と戻れない。なら、せめて終わらせてやれよ! 後、俺もそろそろ終わりにしたい」
そうカティルが言った後、剣を構えて突っ込んでくる。しかし、先程より攻撃は弱い。何故か?
「ほら、さっきの所で攻撃しろよ。隙が有っただろ?」
しかも、俺を指導する様に攻撃してくる。まるで俺を強くしようとしているみたいに……いつの間にかイノ坊は攻撃するのを辞めて静観している。
「そうそう! なんだ、出来るじゃないか! なら全力で来いよ」
俺は再び構えて……カティルに凄いスピードで突っ込む。カティルはそれを見て微笑んだ後、直ぐに表情を無にし、自身も構えて俺の攻撃を真っ向から受けて立つ気でいる
俺とカティルの刃は交わる事なく……カティルの刃が俺の肩に深々と刺さり、俺の刃はカティルの腹部へ突き刺さる……
「カティル……」




